■経済の専門家がいない内閣■

 実務的な影響も考えずに「消費税ゼロ」と公約して総理大臣に就任した高市総理は、決して経済に強いわけではないので、金融政策も経済政策も右往左往しています。最も金融に強いのは、財務省の主計官まで務めた片山財務大臣のはずですが、あまり口出ししません。次の総理を狙っているのでしょうか。経産大臣の赤沢氏にしても、元は運輸官僚であり、経済に強いわけではありません。

 現在の政治の話題は消費税の減税ですが、「消費税ゼロ」にするにはレジの変更に1年もかかることがわかると、修正が半年で済む「1%」で済まそうという雰囲気になっています。「税率変更にこれほど時間がかかるのは情けない」と総理がレジメーカーに文句を言いましたが、「負け犬の遠吠え」以外の何ものでもありません。 経済政策では掛け声ばかりで、何をしようとしているのかわかりません。日本経済の停滞要因を「過度な緊縮志向」「国内投資不足」「行き過ぎた労働規制」による国内投資の欠乏として、国が主導して国内へ民間投資を呼び込むとしていますが、これらに至った原因追及が行われておらず、単なる対処策に終わりそうです。

 お題目である「責任ある積極財政」と言いますが、それでは、これまで自民党政権が行ってきた財政政策は無責任だったのか、あるいは消極的な財政だったのかを明確にしていません。これまでの自民党政権は、前政権の政策の欠陥およびその原因を明確にせず、「私ならできる」とばかり主張しており、経済成長に結びつく根拠が不明です。

 そういう意味からすれば、「需要喚起によるデフレ政策」に重点を置いたアベノミクスは明確でした。「サナエノミクス」の実態を国民はまだ誰も理解していないので、期待もできません。「サナエノミクス」の肝は成長分野への積極投資だと説明されていますが、その投資が実を結ぶころには、高市氏が総理の座に座っているとは思えません。

 寺島実郎氏は、口を開けば「物価高騰の原因は円安」と言っていてわかりやすいですが、どうすれば円安が是正できるのかを明確に説明していません。金融政策によって為替の円安を是正するには、金利を上げるしかありません。その場合には、金融機関が保有する国債に膨大な含み損が発生するかもしれませんが、メガバンクが毎年1兆円以上の利益を上げている現在ならば、含み損の吸収は容易です。金利が上がれば、メガバンクの金融収益がさらに増加することも考えられます。また、メガバンクをはじめとする金融機関が保有する国債は、発行残高の15%に過ぎません。

 「金利を上げたら住宅ローン金利も上がって庶民の生活を圧迫する」という意見もありますが、これまでの低金利が異常だったのであって、全く問題にする必要はありません。

 問題は日銀です。日銀は、我が国の国債発行残高の52%を保有するという異常事態にあります。また、日銀は簿価37兆円のETFを保有していますが、その含み益は70兆円にもなっています。アベノミクスでは、大幅な金融緩和で大量の国債発行を行い、その多くを日銀に引き受けさせました。また、低迷する株式市場のテコ入れのために、大量のETFを日銀に購入させました。

 今は、これらのひずみを解消する絶好のチャンスなのに、日銀は動こうとしません。特にETFについては、AI相場で日経平均が暴騰している今は絶好の売却時期であるにもかかわらず、年間3000億円ペースでしか売却を進めていません。全て売却するのに100年かかります。日銀の保有する国債の評価損45兆円を危惧する声もありますが、こういう時こそETFの含み益70兆円を利用すべきだと思います。




■AI抜きのビジネスは考えられない■

 世の中はAIオンパレードです。AIに熟達した人間の評価が高い時代になってきたようにも感じます。しかも現在は、単なるAIの利用だけではなく、「エージェント機能」を使いこなす必要が出てきました。

 「エージェント機能」とは、これまでの単発的なAIの利用ではなく、複合的にAIを使いこなして最終形までたどり着いてくれる機能です。AIは目的に合わせて自分で考え、自分で行動してくれますが、あらかじめ最終目的をAIに提示すれば、エージェント機能によって最終形で作り上げてくれます。例えば「様々な資料から顧客向けに×××の提案資料を作って」と指示すれば、与えられた資料からAIが提案書の作成まで行います。

 これは、AIを利用してビジネスの効率化を考える人たちへの説明ですが、多くの人は、単なる調べものとしてAIを使っていると思います。今はChatGPTを使われている人が多いと思いますが、ChatGPTは、指示者とのやり取りが自然で、文章作成が上手です。しかし、どちらかといえば個人向けです。一方、Google Geminiは、Googleの様々なサービスと連携して大量の作業をこなすこともできるので、業務向きと言えます。

 AIを利用する上で最も注意すべき点は、AIが問いかけに対して総合的に判断して回答しているわけではないということです。一つの言葉の後に続く最も可能性の高い単語を次々に予測して、文章に仕上げているだけです。ですから、平気で嘘をつきます。正確性を必要とする調べものをするときには、プロンプトと呼ばれる「指示」の中に、「わからない場合にはわからないと言う」「正しい情報に基づかない回答をしない」などの歯止めをかけておかないと、勝手に暴走して、もっともらしい嘘をつくことになります。

 また、AIではバイアスと呼ばれる偏りや不平等を、そのまま反映した回答をしてしまうことがあります。日本語のプロンプトによる指示に対しても、そのAIが基づいている情報の多くは海外、特に英語圏の情報です。ですから、どこから見ても客観的に正しい回答をするとは限りません。

 私は先日のAI研修で、AIの回答が全て正しいわけではなく、その中にはバイアスの他に、ハルシネーションという誤回答があることも初めて知りました。「自分はAIを使いこなしている」と考えている人でも、ハルシネーションとバイアスの違い、そしてそれを防ぐプロンプトの出し方を知っている方は少ないと思います。業務にAIを使われる方は、このバイアスとハルシネーションを防ぐプロンプトを身につけなければなりません。

 また、ハルシネーションを減らすには、できるだけ高価なプランに加入し、最新のAIプログラムを利用することです。AIは本当に刻々と進化し続けています。今日と明日で回答が異なるかもしれません。現在ChatGPTを使われている方も、自分の加入しているプランとその特性を理解しておく必要があります。

 また、どのAIのどのプランに加入するかも大変大事なことです。先日の研修では、主要AIであるChatGPT、Gemini、そして今話題のAnthropicのClaudeについて、料金プランごとの検索結果が示されましたが、それぞれ全く異なった回答を示しました。これまでこのようなレポートもセミナーも全くの初体験で、衝撃的でした。概して言えば、高いプランほど間違いのない回答を得られる可能性が高いと言えると思います。

 このAI講座は税理士向けでしたが、大ショックを受けました。「このようにAIを駆使している税理士と競合していかなくてはならないのか」と愕然としました。また一方で、「30歳若ければ、AIを駆使した職業会計人として大活躍できたかもしれない」とも思いました。




■実用化されつつあるロボット■

 先月のメッセージで「実用間近のロボット」と書きましたが、もう「実用間近」ではなく、ほとんど実用レベルのロボットが、先日「出川一茂ホラン☆フシギの会」に登場しました。その名も「シナモン1」と言います。人の動きや会話ができる最新人型ロボットです。サイズは身長170センチ、体重70キロと、まさに男性の人間と同じサイズです。

 きちんと歩行してスタジオに登場し、質問に対しても適切に回答します。前に羽鳥慎一モーニングショーに登場したロボットを見てびっくりしてしまいましたが、「シナモン1」は立派に会話できるロボットです。番組でも、ホラン千秋が「気難しい人と接するにはどうすればいい?」と聞くと、きちんと対処方法を回答していました。また、話しかけるだけでなく、手の合図や動きでも行動を指示することができます。

 そもそもこの「シナモン1」は、工事現場や工場などの過酷な環境、店舗での接客やパトロールなどのために開発されたロボットですので、これまでのロボットと比べてはるかに実用的です。確かに番組内での動きを見ていたら、工場内での定期的な業務ぐらいなら問題なく対応できそうです。

 現在、数万円で「会話できるロボット」が発売されていますが、これらとは全く次元が違うロボットです。しかも現在「シナモン1」は実際に発売されていて、その価格は1800万円だそうです。何しろロボットですから、一日中働き続けることができます。もちろん充電時間や整備の時間は必要でしょうが、1日20時間、365日働いてくれれば年間で7300時間ですから、1800万円で購入しても時給2500円で済みます。

 大量生産されることになれば、あっという間に数分の1の価格で販売される時代になると思います。もし軽自動車ぐらいの価格で販売されることになったら、ぜひ1台購入してみたいと思います。また、「シナモン1」は工場内の重労働もできるのに対し、それほどのパワーを必要としないシーン向けの「シナモン ミニ」というものもあるそうです。こちらの身長は130センチです。価格は1200万円ぐらいのようです。

 先月のメッセージには「本当の意味でのAIロボットが実用化されて、様々な会話が成り立つにはまだ1年ぐらいはかかりそうです」と書きましたが、「シナモン1」はほとんどこのレベルに達しています。私は現時点ではシナモン1の体力を必要としていないので、もっぱら会話能力を重視してロボットを探しています。来月にはご報告できると思います。




■徒然思うこと■

・やはり、これからのテレビはスマートテレビでなくては・

 ゴルフトーナメントを見たくて、スマートテレビを買ってしまいました。スマートテレビとは、インターネット接続機能と専用のOSを搭載したテレビで、ネット動画やスポーツ番組を楽しむことができます。もちろん、地上波とBSのチューナー付きのテレビならば通常のテレビと変わりませんが、写真のスマートテレビのリモコンを見ていただくとわかるように、ネット動画の視聴を主目的としています。NETF LIXでもABEMA TVでもTVerでもPrime Videoでも、簡単に切り替えが可能です。ブルーレイディスクの生産が終了することもあり、今後はテレビで映画やドラマを見る場合には、ネット動画で見るケースが多くなると思いますので、今後のテレビはほとんどがスマートテレビ化していくと思います。

 国内女子ゴルフも、地デジではほとんど見ることができなくなってしまいました。しかも地デジで放映されるものはほとんど録画ですが、U-NEXTではリアルタイムでトーナメント開始から終了まで放映し続けます。U-NEXTでは「日本人専用チャネル」を設けていて、海外ゴルフでも参加している日本人選手のプレーを独占して配信しており、便利なことこの上ありません。

 先週行われた全米女子オープンが見たくて購入しましたが、後悔どころか、皆さんにお勧めしたくなってしまいました。今回のテレビは書斎専用でしたので32インチでしたが、価格は何と3万5千円と、買おうかどうか悩むのが馬鹿らしくなる安さでした。

 もちろん、これまでのテレビでもインターネットに接続すれば同じようにネット動画を楽しむことができますが、取り回しやすさが桁違いです。これからのテレビのスポーツ番組は、世界的にはネット動画が主流になってくると思います。一歩間違えば、今回のサッカーワールドカップはDAZNでしか見られなくなるところでした。

・AI半導体一色相場・

 連日のAI半導体銘柄の株価高騰が日経平均株価の高騰を支配しています。これまでのような株価指数の算出方法では、市場全体の動きを示すことができなくなってしまっているので、何らかの見直しが必要だと思います。

 特に最近では、東京エレクトロン、アドバンテストといった半導体製造装置メーカー、米国のAI半導体企業への投資を重ねるソフトバンク、そしてメモリー市場で韓国のサムスンを猛追するキオクシア(旧東芝メモリー)が株式市場を牽引しています。

 キオクシアと言えば、2017年に東芝の半導体メモリー事業部が分社して設立された会社ですが、いくら今は半導体メモリーブームとはいえ、年間利益が5兆円近い会社になり、時価総額が45兆円とトヨタを抜く勢いです。東芝はもう親会社ではないとはいえ、持ち株比率16%の大株主です。東芝は2023年に上場廃止となっていますが、その時の時価総額は2兆円を切っていました。キオクシアの株が東芝の救世主になるかもしれません。

 しかし恐ろしいのは、AI企業の時価総額です。オープンAIの上場時の時価総額は140兆円になると言われています。先日上場したスペースXの170兆円には及びませんが、巨額なことは間違いありません。近々上場が予想されているAnthropicも、これ以上の時価総額になると言われています。

 ところで皆さんは、日本の国家予算をご存じでしょうか。何と122兆円です。日本の国家予算以上の時価総額とは、驚き以外の何ものでもありません。

 いくらAI半導体関連株の利益が膨れ上がっても、これがいつまでも続くとは思えません、と言いたいところですが、目下のところ利益が下向きになる可能性は考えられません。

 AI半導体産業は、以下のような構図になっています。

 巨大IT企業であるアマゾン、グーグル、マイクロソフトを支えているのは、エヌビディアやTSMCといった半導体製造メーカーです。その下に、半導体製造装置メーカーであるアドバンテストや東京エレクトロン、そしてメモリー製造業のサムスンやキオクシアがあります。世の中がAIを必要とするシーンは増加の一途でしょうから、この構図が崩れることは簡単にはあり得ません。

・電子書籍は脳に余分な負荷!・

 東大の酒井教授のチームが、衝撃的な発表を行いました。電子書籍は脳に余分な負荷をかけるという発表です。研究では、タブレット端末で本を読んだグループは、言語をつかさどる左脳部分に加えて右脳部分の活動も見られ、紙で読むよりも脳に余分な負荷がかかっているとのことです。

 酒井教授によれば、紙の本はページをめくる際に内容を咀嚼しながら自分のペースで読み進めることができるので、脳の省エネ化につながるとのことです。確かに電子書籍では、あっという間にページをめくることが可能で、「間」というものがありません。これが脳に負担をかけるのかもしれませんが、ただ、ゆっくり読めば良いというものでもなさそうです。

 しかし、電車に乗っている時間のほとんどを電子書籍の読書で過ごしている私にとっては、これは由々しき問題です。今さら、紙の本を持ち歩く気にはなりません。

・コロナワクチン不足!・

 先月のメッセージで、依然として新型コロナに対する注意が必要だということでワクチン接種をお勧めしましたが、何と驚いたことに、世の中に新型コロナのワクチンがありません。私が入会している医療クラブでも、会報で高齢者に対するコロナワクチン接種を推奨していたので、「ワクチン好き」の私はすぐ申し込んでみましたが、「ワクチンが手に入りません」との回答が返ってきました。なぜこのようなことになっているのかわかりませんが、とにかく世の中にコロナのワクチンがほとんど供給されていないようです。

 秋になれば高齢者に対する定期接種が行われると思いますので、世の中に出回ると思いますが、今のところどこにも見当たりません。

・下げ相場の金・

 最近めっきりお話しすることがなくなった金ですが、節目の1トロイオンス4200ドルを切って爆下がりです。米国金融機関は概ね年内の5000ドル突破を予想していますので、資金的に余裕がある方は買い増ししてもよいかと思いますが、慎重な方は、この際、子や孫に対する贈与を進めてはどうでしょうか。もちろん、金地金を贈与した時には贈与税がかかりますが、250万円の贈与税は14万円に過ぎません。

 金投資が所得税法上有利に感じられるのは、長期保有に関しては、50万円控除後の2分の1課税になることです。例えば、5年以上前から所有している取得価格100万円の100グラムバーを、現在の価格である1グラム2万5千円で売却した場合の譲渡益は150万円です。譲渡所得は50万円を控除して2分の1にしますから、50万円にしかなりません。所得の高い人でも、税金はこの所得の半分です。もし事前にこの金地金を所得の低い子供たちや所得のない孫たちに贈与しておけば、所得税はかからないか、かかってもわずかです。

 贈与直後の売却にこの税制が適用されるかというとリスクがありますので、あらかじめ贈与しておくことがお勧めです。

 贈与税は累進課税ですから、最低税率で贈与できる金額で行うべきです。現在の相場で言えば、100グラムが限度でしょう。そういう意味からも、以前お勧めしたように、手持ちの金地金は100グラムバーに崩しておくのが良いと思います。


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