■令和のコメ騒動■

 政治劇を見ているかのように日々様々な動きを見せる令和のコメ騒動ですが、最も驚かされたのは政治家の政治力です。江藤農水大臣が辞任してから僅か10日で市場に新たな備蓄米が出現するとは思いませんでした。小泉農相の政治力もさることながら、多くの小売業者にトップ争いをさせたことが功を奏しました。

 一方3月の2回の競争入札で放出した備蓄米21万トンのうち、5月11日までに市場に出回ったコメは僅か12.9%の2万7369トンに過ぎませんでしたが、直近の情報としては、JAが競争入札で落札した備蓄米29万6195トンについて6月5日時点で49%に当たる14万4595トンを卸売業者に出荷したと発表しました。先月中旬の調査では僅か2割しか市場に出ていなかったものがこれから急速に市場に出回り始めます。これも「小泉効果」です。それでも落札から3ヶ月近く経過しているのに未だに半分しか卸売業者に出荷出来ていないJAの怠慢ぶりには驚かされます。

 先日の記者会見でJAの会長は「競争入札で落札した備蓄米を政府に買い戻してもらう気はあるか?」と問われて「落札した備蓄米全て卸売業者への売却が決まっているので買戻しを求めることはない」と発言しました。また備蓄米の目詰まりについて「卸売業者側の受け入れ態勢が進んでいないから」と発言しました。巷にはコメが不足しているのに急いでコメを小売業者に出荷しないのは卸売業者の売り惜しみが原因なのか、引き取り先が決まっているのに積極的に卸売業者に出荷しないJAの意図があるのかどちらかですね。結局JAも卸売業者も積極的に備蓄米を消費者に届ける気がないことが見え見えです。

 但し60キロ当り税抜き約2万円の価格で競争入札された令和5年産と4年産の古米ですが、これらが市場に出されるとすると、どんなに安くても5キロ3000円以上の価格になると思います。消費者も3500円ぐらいまでは許容すると思いますが、5キロ4000円を超えるようなコメについては二の足を踏むようになると思います。

 5月の中旬に遡って今回の国のコメ価格の政策の失敗を振り返ってみましょう。

 1.高騰しているコメ価格を抑制あるいは引き下げるために備蓄米の放出をしたのに、なぜ高値に
   なることがわかりきっている競争入札で売却したのか?例え国有財産だからと言って入札を
   行わなければならないという法律はありません。

 2.国が取得した価格が1万~1万2000円のコメが実際には2万2000円以上で落札されま
   した。これに対して「国が儲けてどうするんだ」と言う小野寺政調会長の発言がありました。
   正論です。

 3.これまで競争入札で放出したコメの量は31万トンです。これは1袋5キロの袋に換算すると
   6200万袋です。一方日本の世帯数は5600万世帯です。と言うことは競争入札した備蓄米
   が迅速に市場に出回れば1世帯に1つずつ備蓄米が行き渡ったはずです。やろうとしたことは
   間違いではなかったけれどやり方とそのフォローがなされなかったためにこのような状態を招き
   ました。


 ただ備蓄米を放出する場合には玄米で放出されますので、誰がどこで精米するのかと言うことに関しては政治が介入する必要があったかも知れません。

 そう言っている間にも銘柄米のスポット価格が下落して来ました。帝国データバンクの調べによると5月の最終週には玄米60キロ当たり4万円台後半であった銘柄米のスポット価格が6月第1週には4万円台前半まで下落して来ました。やっぱりJA以外の業者が売り惜しみをして価格を釣り上げていたことがはっきりしました。株価と同じで、これ以上価格が上がる見込みがなくなり米価が下降トレンドに入って来たことを察知した業者がこれから続々と売り物を出して来るでしょうから、これから銘柄米は急激に価格が下落してくると思います。これで困ってしまうのは銘柄米を在庫して店頭に並べている小売店と小売業者です。「5キロ2000円」が頭に入ってしまった消費者はもう5キロ5000円近いブランド米に手を出すことはないでしょう。消費者のもう少しの我慢でさらなる米価の下落が期待出来ます。

 現在ネット上では最も高価な銘柄米の「ななつぼし」が10キロ1万2000円で売られています。これが市場価格の指標となると思いますと書いていたら、6月8日にはAmazonで10キロ10500円で売られていました。卸売業者間のスポット価格ばかりでなく末端でも値下がりして来ました。どうしてもブランド米を購入したい方は値下がりの激しい千葉産と茨城産に狙いを絞るのが良いと思います。新潟や東北に比べて令和7年産のコメについては千葉産と茨城産が早めに市場に出て来ますので、令和6年産のコメを在庫している業者は「古米」になる前に必死に売り切ろうと考えるでしょうから8月にかけて価格が急落していくと思います。

 現在令和6年産の銘柄米を抱えている業者は頭を抱えていると思います。8月になれば新米が出て来ますので、令和6年産は「古米」になってしまいます。高値掴みした株式なら塩漬けして持ち続けるという判断もあるでしょうが、あと2か月もすれば価格が下落することがはっきりしている銘柄米を在庫している業者は必死になると思います。投げ売りが始まるかも知れません。情報通の消費者はもう高値の銘柄米には手を出さないと思います。

 最も焦っているのは小売店かも知れません。厳密に賞味期限は記載されていませんが、精米されたコメの美味しく食べられる期間の目安は1~2か月と言われています。特に高温の時期にはこの期間が短くなります。現在店頭に並んでいる精米済みのブランド米は夏まで持ちません。店頭に一度並んだお米を今更低温保存することも出来ません。気の毒ですが、早晩投げ売りとは言いませんが、目に見える形での値引きをして消費者に購入してもらうしかないと思います。

 当初の随意契約で放出された30万トンについてはあっという間に捌けてしまうでしょうから、これで5キロ袋6000万個の供給です。我が国の1世帯当たりのひと月のコメの消費量は10キロ~15キロと言われていますからこれでは足りません。しかしそう言っている間に目詰まりしている入札分の6万2000袋が市場に出回ります。前述したように日本の世帯数は5600万世帯、平均して1世帯当たり12.5キロ消費するとしてひと月に28万トンあれば足りるはずです。21年、22年の備蓄米も売り出しが始まりましたから、6~8月の3ヶ月を乗り切れば8月末には今年の新米が出回ることになりますので、無理して高いコメを買わなくても新米のシーズンまで乗り切れるということになります。そう言っている間に売り控えしていたコメが慌てて市場に出て来ると思いますので、今年のコメの供給の心配は無くなります。めでたし、めでたしです。

 現在問題になっているのが「消えた17万トン」と言われるコメです。JA等の集荷業者が買い集めた24年産が昨年の11月末時点で191.9万トンと23年に比べて17万トン少ない量しかありませんでした。この17万トン買い集めた業者が売り渋ったために今回の高騰騒ぎが起きたと考えられています。農家からの直接購入以外は集荷業者の販売伝票をたどって行けば誰が元凶かわかるはずですが、農水省はそこまではやりません。結局江藤前農水相はこの点についてきちんと追及せずに退任してしまいました。この「流通の闇」を解明しないと、またこういうことが起こると思います。今年はコメの卸売業者の好決算が相次いでいるという話も聞こえてきます。この辺に闇を解く鍵があるような気がします。

 しかし今後想定外の市場価格の下落が起きたらこの消えた17万トンが慌てて市場に出された可能性があります。そういう意味で現在以上に米価が高騰する可能性は無くなったと言って良いと思います。
 

・やり玉に挙げられたヤマタネと木徳神糧・

 ところで小泉農水相が「コメ卸会社で営業利益が前期の500%になった会社がある」と発言したことで消費者の怒りが卸売業者に向いていますが、どうやら営業利益が前期の4.9倍になったのはコメ卸大手の木徳神糧のようですね。コメ卸売業者で上場しているのは木徳神糧とヤマタネの2社ですが、木徳神糧は5月21日に2025年12月期の業績予想を上方修正し、過去最高利益の予想となっています。同社は「2024年産コメの品不足で価格高騰が続いたことが業績を押し上げた。取引先との交渉を通じた価格転嫁を適切に進めることが出来た」と許しがたいコメントを発表しています。

 要するにキロ当たりの利益でなく、高値になっても利益率を変えないで値上げしたので利益が増えたと言っているのと同じですね。スーパーでのコメの平均価格が1年前と比べて2倍以上になっているのに、主食提供業者としての自覚は無いのでしょうか?株価に至っては両社とも昨年の12月から現在に掛けて3割近く上昇しています。

 儲かっているのは卸売会社だけではありません。JAも十分な利益を計上しているはずですが公表していません。本来ならばJAは儲けが出れば組合員である農家に利益を還元すべきだと思いますが、それどころかJAの資金を運用する農林中金が外国債の運用に失敗して2025年3月期に1兆8000億円も赤字を出しています。何故組合員から非難の声が巻き上がらないのか不思議です。

 ところで競争入札分の31万トンの備蓄米については原則5年以内に同量を国が買い戻す条件が付いていますが、これって落札者から買い戻すということは、主たる落札者であるJAが新たに買い戻しのためのコメを購入して国に売り渡すということになるのでしょうか?その場合にどんなコメを購入して引き渡すのか非常に興味深いです。古古古米ということは無いとは思いますが。

 さあ、これからは「古古古米は鶏のエサ」と言いまくっている立憲民主党の原口議員のお詫び行脚が続くことでしょう。サンドバッグ状態になること確実です。尤も先に「あと1年経ったら家畜の餌」発言で謝罪に追い込まれた国民玉木氏もそうですが、古米が時期が経過すると家畜の餌になると指摘するよりも、そもそもこの制度がおかしいことを指摘すべきです。2010年までは備蓄米は「回転備蓄」と言って一定の年数が経過したら主食として販売する俗に言う「先入れ先出し法」で回していました。それが2011年から一定の期間を過ぎたコメは非主食用に回されることになりました。これによって国の負担は500億円も増加したと言われています。そしてこの備蓄方法の変更はJAの要求によるもので、それまで3年サイクルであったものがその時に5年サイクルに変更になりました。そのおかげで膨大なコメが2年分多めに備蓄されることになりましたが、この保管料は全てJAの懐に入ることになりました。

 先の2人の議員も古くなったら家畜の餌になるという事実と、この制度全体に関してもう少し疑問を持って質問をしてもらいたいものだと思います。




■徒然思うこと■

・呪われたか足立の花火・

 昨年に続いて足立の花火大会が直前で中止になりました。昨年は開始25分前の中止決定でしたが、今年は開始2時間前の決定でした。高温と雷雨を避けて5月末開催に変更された花火大会ですが、今年は強風に見舞われてしまいました。小雨模様の中で開始を待っていた人は今年も散々なことになりました。

 しかも今年は千住宿が開宿して400年を記念して例年の13000発に1010発追加して1万4010発の花火が打ち上げられることになっていたのに本当に残念です。私も今年は天気は大丈夫だろうと、打ち上げ場所からちょっと離れたコインパーキングに車を止めてゆっくり見物しようと考えていましたが、開始3時間ぐらい前になったら強風が吹き始めたので諦めました。コインパーキングの下見までしたのに残念です。

 しかし花火屋さんにとっては大損害ですね。聞くところによると去年のも今年のも打ち上げなかった花火は廃棄するしかないそうですね。保険には加入しているとは思いますが本当にお気の毒です。ウハウハだったのは北千住駅周辺の飲食店ですね。

・リカバリウェア・

 現在「リカバリウェア」が話題となっています。「リカバリウェア」とは特殊繊維の効果で、着ているだけで身体から発せられる遠赤外線の輻射効果により「血行促進」「筋肉の凝りをほぐす」「疲労回復を助ける」が期待出来るとされています。

 私は最も効果があると言われている櫻井翔君のテレビCMで有名な「疲労回復パジャマ バクネ」を早速購入してみましたので使用感のご報告をしてみましょう。結論から言うと私は効果を感じませんでした。ただ薬と同じで効果を感じなくても、もし服用しなければもっと身体の状態が悪化していたかも知れません。自分の身体は一つしか無いのでビフォーアフターではありませんが、同じ体で着用した時と着用しなかった時の実験は不可能です。今回はそれほど疲労感の無い日に着用したので実感しなかったのかも知れませんので今度は猛烈に疲れた日に着用してみようと思います。とは言っても「一般医療機器」としてその効能は認められているので「何かご利益があるだろう」と思って毎日来ています。問題はその価格です。多くのメーカーのパジャマ上下の価格は2万円以上です。いくら効能があるにしても「しまむら」に行けばパジャマが980円で買えるのであまりに高すぎると思います。

 と言っても何かにつけて「機能性商品」という言葉に弱い私は現在片っ端から購入して試しています。尤もネット上ではAOKIとかLOGOSと言った多少ネームバリューのあるメーカーの1万円以下のLサイズのパジャマは殆ど売り切れです。「とりあえず試してみよう」と言う方には、まだ一般医療機器申請中ですがワークマンのリカバリウェアをお勧めします。ワークマンのリカバリウェアの「メディヒール」の価格は何と驚きの上下で税込み3800円です。但しオンラインストアでは長期間品切れが続いていますので、お近くに店舗のある方は覗いてみてはいかがでしょう。しかしワークマンは郊外型の店舗展開ですので残念ながら山手線の中には銀座に1店舗あるだけです。

 それと一つご注意を。私が購入した物の中にはポリエステル100%ではなく、綿との混紡だったり、更にそれに対してポリウレタンも混ざっている物もありましたが、これらの商品は今の時期にはちょっと暑すぎです。

 また「リカバリウェア」の購入をお考えの方は薬機法に基づいて「医療機器(クラス1)」として届けられている製品を選んで下さい。説明に「一般医療機器」として届出済みと表示があれば大丈夫です。

・トラブル続きの大阪万博・

 毎日平均して10万人近い入場者となっている大阪万博ですが、メタンガスの噴出、ユスリカの大量発生に続いて今度はレジオネラ菌問題が発生しました。水上ショーや足湯が楽しめるウォータープラザと子供たちが水に触れて遊ぶことが出来る「静けさの森」において基準値の20倍を超えるレジオネラ菌が検出されました。これだけでも大変なことですが、保健所から検出の報告があったにも関わらず利用禁止措置を取りませんでした。万博協会は「保健所から直ちに使用禁止と言われなかった」と説明していますがとんでもないことです。メタンガスもそうですが何しろ万博協会は危機管理意識が低過ぎます。こういう体質の組織が運営する施設には行きたくありません。何だかんだ言っても「一度は行ってみようか」と思っていましたが、本当に行かないことになりそうです。

・全車両に衝突防止装置を・

 相変わらず高齢者の暴走事故が後を絶ちません。子供の列に暴走して突っ込むという事件があちらこちらで起きています。教習所でのいい加減な検査で高齢者の運転を野放しにするからこういうことが起こります。お金さえかければこのような事故は無くすことが出来ます。先日車検時に提供された小型のドイツ車の安全防止機能は素晴らしく、何度か飛び出してきた歩行者を検知して自動的に急ブレーキがかかりました。そこまで完璧なものでなくても、現在販売されている多くの車は暴走して人を撥ねることが無いようになっています。高齢者には一定水準以上の衝突防止装置の付いている車以外の車の運転を禁止してはどうでしょうか?もちろん「そんなに高い車は買えない」という意見が数多く出て来るのはわっていますが、こうでもしないと高齢者の暴走事故はなくなりません。私もこの年になって人身事故を起こして市原の交通刑務所に入るのは嫌なので、絶対人を撥ねない車を探し続けています。今のところ候補として考えているのはトヨタのセフティーセンス搭載車とスバルのアイサイトXの搭載車です。これらのシステムの最新バージョンでは真っ暗闇の中でも飛び出てきた歩行者や自転車と衝突しない機能を備えています。そこまでの機能ではなくても前方に障害物があれば自動的にブレーキがかかるシステムの搭載を最低限の条件にしないといつになっても暴走人身事故は無くならないと思います。義務付けによって大量発注がなされれば、これらのシステムと車載カメラの価格は劇的に下がっていくと思います。

・マスク対トランプ これもTACOか・

 大統領選挙でトランプ大統領に450億円も支援したイーロン・マスク氏とトランプ大統領が醜い口喧嘩をしています。今のところ電気自動車に対する補助金の決定権を持っているトランプ大統領が有利のように見えますが、選挙期間を通じてトランプ大統領の違法行為を幾つも見てきたマスク氏にも勝ち目はあるかも知れません。450億円も選挙資金を寄付してもらったのですからトランプ大統領もマスク氏にもう少し気を遣っても良いとは思いますが再選はないので気にしなくてもよいかも知れません。冷や汗を流しているのは次期大統領を狙っていたバンス副大統領かも知れませんね。

 しかし中間選挙を控えるトランプ大統領がいきなり態度を改めるかも知れません。またTACOです。TACOとは現在の欧米の流行語で「Trump Always Chcikens Out」要するに「トランプはいつもビビッて退く」の略語です。代表的なTACOは中国に対する突然の関税引き下げです。また「EUからの輸入品にも6月1日から50%の関税を課す」としていましたがその2日後に7月まで延期しました。これまで様々な大統領令に署名して来ましたが、実現したのは国内案件ばかりで対外的には結局尻尾を丸めるシーンが数多く見られます。このようなおちょくられた単語があちらこちらで見られること自体がトランプ大統領の権威が失墜してきたことの証だと思います。


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