

■SNSの功罪■
目前に控えた東京都議会選挙と7月の参議院選挙に向けてこれまで以上にSNSがネット上で氾濫することになります。昨年7月の東京都知事選挙以降SNS選挙が大きな話題になるとともに選挙結果に影響するようになりました。都知事選挙では唐突に立候補した元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が、対抗と見られていた蓮舫氏を大きく引き離して2位に食い込みました。また、5位にもAIエンジニアとして著名な安野貴博氏が食い込みました。石丸氏の立候補は唐突でしたが、従来選挙とかけ離れたSNS選挙を展開して注目を浴びました。また、安野氏に関しては政治の世界では全く無名の存在でしたが注目されるには十分な票を集めました。この結果を受けて両氏は新党を立ち上げ今回の参議院選挙に候補を擁立することを表明しました。
SNSが選挙に利用されるようになって少数者の意見が広く反映されやすくなったというメリットは感じますが、一方より多く投稿されたSNSがそれだけ民意を反映しているのかというと必ずしもそうではありません。SNSでは1人で数多くの意見を発信することが出来ますが、それが民意に見えてしまうところにSNSの恐ろしさがあります。
そもそもSNSの良い点と悪い点をChatGPTに説明してもらいましょう。
まず良い点ですが、
1.情報の共有と拡散が簡単で、リアルタイムニュースや意見、写真・動画を世界中に発信出来る
2.人との繋がりを広げられる
3.同じ趣味・関心を持つ人と出会える、旧友と再会できる
4.自己表現の場になる
5.自分の考えや作品を発信することで共感する人と繋がれる
6.ビジネスやマーケティングにも活用可能の
7.集客・販促、商品やサービスPRに強力なツールとなる
8.災害や緊急時の情報伝達手段になり、安否確認や状況把握に役立つ
次に悪い点は、
1.誹謗中傷・炎上リスク
匿名性を悪用して他人を攻撃する行為や、意図せずに炎上することもある
2.依存性が高い
過度な利用により、生活リズムや人間関係に悪影響が出る
3.プライバシーの侵害
投稿から個人情報が洩れるリスクがある
4.フェイクニュース(事実と異なる情報を報道)や誤情報の拡散
真偽が不明な情報が広まり、混乱を招くことがある
5.リア充アピールによる精神的ストレス
他人の華やかな投稿と自分を比べて落ち込むことも
高齢者がSNSを使う場合には特に注意が必要で、
1.個人情報の漏洩に注意
2.詐偽・フィッシング被害に注意
3.プライバシー設定の確認
位置情報をオフにする、投稿が「全員に公開」になっていないか注意
4.使い過ぎで生活のリズムを壊さないように
と説明してくれました。いちいち思い当たることばかりです。
・ネットの恐ろしさ・
世の中SNS花盛りで、何でもかんでもSNSに載せる人が沢山います。観光地でもレストランでも写真を撮っているのは記念のためではなく、SNSにアップするための人が多いようです。日本人は控えめな人種かと思っていたら目立ちたがりの人間がこれほど多いことに驚かされます。皆さんがどれぐらいの数の人のフォロワーになっているかわかりませんが、毎日フォローしていたらとてつもない時間を必要とするのではないでしょうか。因みに私がフォローしているのは大谷選手だけです。
それぐらいなら可愛いものですが、問題なのはSNSが様々な犯罪に利用されることです。試しにAIに「SNSの悪用例は」と聞くと「なりすまし」「デマの拡散」「誹謗中傷」「ネットいじめ」「フェイクニュース」「個人情報の漏洩」「詐偽・マルチ商法の勧誘」「炎上商法」等々山のように出て来ます。SNSを利用する人は、これらSNSの悪用例をよく理解した上で利用しないと、知らない間に妙な犯罪に巻き込まれるリスクがあります。もしSNS上で被害者になってしまったら取り返しがつきません。SNSで自分をさらすということは、まかり間違えばそれを悪用されて被害者どころか悪事に加担することにもなりかねません。十分な注意が必要です。

■またもやってくれました粉飾上場■
またも上場市場に大不祥事が発生しました。昨年10月に東証のグロース市場に鳴り物入りで上場した生成AIベンチャーのオルツです。当初は売上の過大計上という話でしたが、その粉飾状況は極めて異常で、多少の売り上げの水増しと言った範疇には入らないレベルです。4月上旬に証券取引等監視委員会の調査を受けて「一部の販売パートナーへの売り上げについて実際には利用されておらず、過大に計上されている可能性が認められた」という発表がなされました。「一部」と言うと大した金額ではないように感じますが、この一部の販売パートナーとの取引額はオルツの売り上げの大部分を占めていました。
例えばオルツは広告宣伝費1億2千万円を広告業界3位のADK(アサツーディ・ケイ)に発注し、ADKは1000万円を差し引いた1億1千万円を販売店のジークスに支払い、ジークスはそこから1000万円を差し引いた1億円でオルツのシステムを購入するといった実態の無い循環取引を続けていたようです。
※循環取引 複数の企業が共謀して商品の転売や役務の提供を繰り返すことにより売り上げや利益を水増しする行為
しかもオルツの売上高に対する広告宣伝費はピーク時には103%にもなっていたそうで、そのうち6割をADKを始めとした販売パートナーが占め、その9割がジークスに支払われていました。更にジークスがその9割をオルツに支払っていたので、オルツの売り上げの殆どが架空売り上げということになります。
2020年にやはり架空売り上げで上場廃止となったグレイステクノロジーでさえ架空売上高は売上高の半分でした。尤も15年も前に粉飾決算で上場廃止となったエフオーアイは売上高118億円のうち実質的な売上高は2億円にすぎませんでしたが、それに近い粉飾かも知れません。
もちろん今回の粉飾決算の責任はワンマン社長にありますが、それを見抜けなかった監査法人と主幹事証券の責任は免れません。本来は社内のチェック機能として監査役と社外取締役がいますが、肩書だけで財務に精通していない人が多く、今回も全く機能しませんでした。
最も責任が重いと考えられているのは監査法人です。しかし少ない時で75%、多い時で100%を超える広告宣伝費の監査をきちんとやっていてもそれが循環取引となって会社に戻って来るかどうかまでは監査法人は見抜けません、もし監査対象が物であれば追いかけることが出来ますが、ソフトやシステムの場合にはそれが出来ません。これが監査の限界です。しかしそうは言っても今後はオルツの監査をしていた監査法人シドーが監査しているオルツ以外の3社の上場会社にも疑いの目が向くでしょうし、そもそも被監査会社が監査契約を解消すると思います。所属していた公認会計士も今後はまともな監査に関わることは出来ないと思います。
このようなケースではより責任が重いのは主幹事証券の大和証券です。いくら監査法人が頑張って監査しても取引相手の会社に乗り込んで監査するわけにはいきません。しかし特定の取引先との取引量が異常な割合であったならばそれを問題視して上場を見送るのが主幹事証券の責任です。そもそもオルツは2024年12月期の決算を基準年度として上場しましたが、当該決算ではこんなに循環取引を行っているにも関わらず売上高60億円に対し営業利益は23億円の赤字です。将来性のある会社では赤字決算で上場する会社は幾つもありますが、オルツの場合には上場直後の2025年12月期も売上高84億円で25億円の営業赤字です。バイオベンチャーならいざ知らず、今後急成長が認められる生成AI分野で数年先まで赤字予想の会社を上場させる意図がわかりません。「財務のことは監査法人に任せていた」という言い訳は通用しません。オルツの上場廃止は間違いないでしょうが、今回の件で大和証券は幹事証券としての信用を大きく失墜しました。
また広告業界第3位とは言え、東京オリンピック汚職問題で上場廃止となっていたADKの再上場は当分難しくなりました。しかしこれだけの大企業がこんな単純な循環取引の片棒を担ぐとは驚きです。
またオルツは上場の半年前に発行済み株式総数の10%を超えるストックオプションを役職員や外部協力者に発行していました。オルツの株価は上場直後には800円をつけ、その後下がり続けています。もう少ししたら紙くずになることは間違いありません。もし上場後これらのストックオプションが売却されていたら単なる粉飾上場事件どころではない詐欺罪での刑事事件となります。

■来年4月から自転車走行で青切符制度開始■
来年4月から自転車の悪質運転に対して反則金を課することになりました。特に反則金が高額なのは「スマホのながら運転」で反則金は1万2千円です。ただ、「ながらスマホ」に関しては2024年11月の道交法の改正によって6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が定められていますが、これとどう整合性を保っていくのかは現時点では不明です。
「ながらスマホ」以外でも注目すべきはイヤホン着用運転(反則金5000円)や傘差し運転(反則金5000円)です。イヤホンは着用しているかどうかわかりにくいですし「イヤホンはしていたけれど使用してはいなかった」と言われるとなかなか切符を切るのは難しいですが、傘差し運転は簡単に認識出来るので切符を切られる人が多そうです。注目すべきは反則金6000円の「歩道走行」です。現実問題として歩道走行しているママチャリを全員摘発出来るでしょうか?現在でも本来は自転車通行禁止の歩道を自転車が我が物顔で走り回っています。時にはベルを鳴らしながら人をかき分けて追い越して行きます。来年の4月に向けてこれから自転車の歩道走行についても厳しい指導が行われることになります。

元々都心には自転車通行帯、俗に自転車レーンが設けされている道路があります。私の住んでいる茗荷谷でも春日通りの多くの部分が自転車レーンとなっています。自転車レーンがある道路の歩道は13歳未満の子供や70歳以上の高齢者しか自転車では走行できないはずですが、家の前の歩道は自転車レーンがあるにも関わらず殆どの自転車が歩道を走行しています。しかも自転車が歩道を走行する場合には時速7~8キロ以下で走ることが義務付けされていますが、多くの人がそれを遥かに超えるスピードで歩道を走り回っています。これはもう完全に赤切符の対象で罰金が科されます。
このように現行でも走行不可の歩道を殆どの自転車が走り回っている状況を野放しにしておいて、来年の4月から「自転車走行可」以外の歩道でいきなり取り締まるようなことが出来るものでしょうか?大混乱が起きると思います。なお、これらの青切符は16歳以上の運転者に適用されますが、運転免許証の点数には影響ありません。
なお、16歳未満でも14歳以上の歩道走行は赤切符の対象ですから、もし赤切符が切られたら自転車運転者講習を受ける必要があります。

■徒然思うこと■
・関西万博水増し入場者・
4月13日のオープン以来ことあるごとに「入場者が100万人を突破」とか「150万人を突破」とか発表して盛り上がっているかのように見せるのに必死な博覧会事務局ですが、これまで発表されていた入場者はAD入場者という万博のスタッフや報道関係者が含まれていることが明らかになりました。このチケットを購入していないAD入場者は毎日1万7千人もいるそうです。
万博事務局では「AD入場者数は別途表示しているので問題ない」と説明していますが、入場料を払わないAD入場者数を何故発表する必要があるのか全く説明になっていません。4月25日に伊東万博担当大臣が「関西万博の想定来場者数として掲げられている2820万人という数字は関係者を除いたチケット購入者のみの人数」と明言してしまったので万博協会は真っ青になっています。全期間で300万人ものAD入場者を想定来場者数に予め計上していたに違いありません。
と言っている間にも万博協会は関係者込みの入場者数を発表し続けています。逆にメディアが毎回「関係者を除いた入場者数」と注釈をつけて発表しています。因みに直近では5月7日の入場者数は8万8000人でうち関係者は1万7000人と発表されました。相変わらず関係者数込みの数字を発表し続けています。しかし関係者数が1万7千人という数字だけは正確な数字のようです。今後荒天で来場者数が2、3万人の日も関係者数を含めて発表するのでしょうか?入場者数の半分以上が関係者数だったら面白いですね。
それにしても、またメタンガスが噴出したり、スタッフがバックヤードで喫煙していたり、未だにアクセスの不備について身内の吉村知事から指摘されたり、問題が次から次へと出てくる万博ですねぇ。
・1週間の始まりは月曜日では?・
いつの間にか殆どのカレンダーでは1週間の始まりは日曜日になっています。ずっと前から私はこのことに疑問を持っていました。私たちの子供の時は「1週間は月曜日から始まる」と教えられていました。現在でも多くの手帳では1週間は月曜日から始まっています。私も月曜始まりの手帳を使っています。嘘か本当かわかりませんが、日本で月曜始まりの手帳が普及したのは週休二日制の後だそうです。
ビジネスマンにとって「1週間の仕事始めは月曜日」ですからそれがわかりやすいと思うのですが、私の机の周りの各企業から頂く卓上カレンダーは全て日曜始まりです。そこでネットで探してみたら幾つもの月曜始まりのカレンダーが発売されていましたので早速何種類か購入しました。事務所の近くの丸善本店のカレンダー売り場でも「月曜始まり」のカレンダーを販売していました。しかもこの時期だからでしょうか、何と2025年4月から2026年3月までのカレンダーが販売されていました。
日付に関する国際基準「ISO8601」では曜日のコードが定められていて月曜日が1となっています。因みに海外のカレンダーでは米国やカナダのカレンダーは日曜日から始まることが多いのに対し、ヨーロッパ諸国のカレンダーでは1週間は月曜日から始まります。
・これからは奈良が狙い目・
先月のメッセージで「京都に比べて奈良は平穏」と書きましたがデータ的にそれがはっきり裏付けられました。私たち日本人にとっては京都・奈良とひとくくりで言うことが多いのですがインバウンドの方々にとっては京都と奈良は全く違う観光地のようで、「外国人延べ宿泊者数ランキング」では京都が1660万人で第3位なのに対し奈良は僅か40万人でしかありません。奈良が京都の40分の1というのは驚きです。もちろんこれは宿泊者数なので、観光客数が奈良が京都の40分の1という意味ではありません。そもそも宿泊可能人数が奈良と京都では桁違いです。奈良には国際的な大型ホテルがマリオット以外殆どありません。しかし奈良には何といっても天皇陛下も宿泊する伝統的な奈良ホテルがあります。また何件ものホテルが計画中で数年後にはホテル事情は様変わりになっていると思います。
また奈良は狭い地域に春日大社、東大寺、興福寺と観光名所が密集していますが、その真ん中に奈良公園があるせいか喧騒を感じません。秋には正倉院展が開かれますし、2月には東大寺の二月堂で「お水とり」が行われます。欠点と言えば3大寺社を除くと有名な観光名所が郊外に点在していて見て回るのに時間がかかります、有名な寺社仏閣にしても法隆寺、薬師寺、唐招提寺、長谷寺等も奈良中心部からはかなり離れて点在しており観光タクシーでもチャーターしない限り1日で見て回ることは出来ません。
ただ奈良には古墳群もありますし、飛鳥・藤原の宮都もあります。今後はJR東海の「そうだ京都へ行こう」から「いざいざ奈良」にブームが移ってくるような気がします。
・ふるさと納税は9月までに・
今年の10月からふるさと納税仲介サイトのポイント還元サービスが受けられなくなります。楽天の三木谷社長がこの総務省の措置に強く反発しネット上で反対署名活度を展開して、今年の3月に石破総理大臣に対して295万人の署名を提出しました。それから2ヶ月経ちますが、何の報道もなされないところをみると全く相手にされなかったようです。
まだ4ヶ月ありますが、ポイントを期待される方は早めの行動が必要です。返礼品にしても、最近はお米のように品不足が指摘される返礼品もありますので早めに対応されると良いかと思います。
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