

■支離滅裂なトランプ関税■
トランプ大統領の朝令暮改発言で世界が揺れていますが、ここに来てトランプ不信と言うよりも米国不信の様相を帯びて来ました。それを示すのが米国国債金利です。国債の金利はその国の信用度を表す指標です。米国債は世界で最も安全な資産と言われていました。それがここに来て米国債の価格が下落、国債金利が急上昇しています。
ここに至る10日間の動きを見てみると、今月に入ってからは追加関税のニュースに世界が踊らされました。そもそも日本に課せられた24%の追加関税というのが摩訶不思議な数値で、貿易赤字額÷輸入額という計算で算出されたもので何の根拠にもなりません。それなのに我が国の政治家も企業もオタついているのが情けなくてしょうがありません。子供でも分かるような計算間違いと言うよりはそもそも何の意味もない数字です。こんな数字をトランプ大統領に発表させてしまった米国通商代表部は何をやっているのでしょう?
一方中国に対しては全く新たな動きが起きました。元々中国に対しては20%の関税を課していましたが、8日に34%の追加関税を発表しました。それに対して中国も米国製品に対して34%報復関税を発表しました。トランプ大統領は「米国時間8日正午までに中国が報復関税を撤回しない場合には更に関税を50%上乗せする」としていましたが、中国が撤回しなかったため本当に50%の追加関税を実施してしまいました。
と言っていたら「追加関税に対して報復措置を取らなかった国に対しては適用を90日停止する」としましたが、報復措置をとった中国に対しては50%の上乗せでは飽き足らず「追加関税を125%に引き上げる」としています。
「90日間の追加関税停止」の理由については、「それらの国は報復措置を取らなかったから」との説明ですが、本当の理由は米国債の暴落による金利上昇だったようです。元々不動産屋のトランプ大統領は株価よりも金利に強い関心を持っているので金利の急上昇に慌てふためいて当分の追加関税停止の措置を取ったと言われています。一方米国製品に対して25%の「報復関税」を表明したEUですが、今のところ「90日間の追加関税停止」の対象国にEUも含まれており米国とEUの亀裂は当面回避されました。
もし本当に米中貿易戦争が起きた場合に困るのはどっちかと言えば米国だと思います。110兆円もの膨大な米国債を保有している中国が保有する米国債の一部でも売却に走ったら米国債は暴落し、長期金利が高騰し、米国経済はガタガタになります。尤も世界で一番多く米国債を保有しているのは日本で中国の1.5倍の160兆円も保有しています。そういう意味から言えば、米国は我が国をもっと優遇しなくてはなりません。と言っても未来永劫米国が我が国に米国債の売却を許すことは無いでしょう。何十年か前に橋本龍太郎元総理が米国債の売却について触れたときに大騒ぎとなりました。いつになったら我が国に米国債の売却について口に出来る総理は現れるのでしょう?
こうしている間にもトランプ大統領は日本について、貿易問題や安全保障問題で不満を述べ続けています。きっとトランプ大統領はそんなことは忘れていると思いますが、石破総理は「日本は世界一の米国債保有国だ」とはっきり言ってやったらどうでしょう。「防衛費の増額を求めるならばその資金のために米国債を売却する」と言ってもらいたいものです。私は日本が売却しているとばれないようにひっそりと米国債を売却してトランプ大統領が無茶出来ないように歯止めをかけていくのが良いと思います。
しかし中国からの輸入品への関税強化が具体的にどのような作業になるのか想像もつきませんが、こうしてる間にも中国から米国に膨大な金額の輸出が行われています。関税業者はパニックになっていると思います。125%の関税を支払うのは中国ではなく中国製品を輸入した米国の業者です。暫くすると中国製品に対する大幅値上げが行われることは間違いありません。米国で販売されているiPhoneの多くは中国で製造されてるのでiPhoneが大幅に値上げされるのではないかと人々の不安を掻き立てていましたが、12日に突如トランプ政権が相互関税の対象からiPhoneなどの電子機器を除外するという発表がありました。米国民はこれでホッとするどころか「今後もまた何かに対して追加関税除外の措置が取られるのではないか」とますます不安になったと思います。

中国に対する関税も同様です。実は中国に対する125%の関税は当初の20%が含まれておらず、145%になることが発表されました。輸出入のビジネスに関わる人にとっては大変な差でしょうが、まるで遊びのように税率が上がって行きます。100円の品物に145円の関税です。他人事と言ってはいられません。私達にとって最も身近なAmazonの商品の値上げの可能性が米国で報じられています。Amazonの商品の70%が中国から輸入されているそうです。これまで100円の仕入れ価格の物が245円となったら値上げしないわけにはいかないでしょう。これから私達もじわじわと関税による値上げを実感することになるでしょう。
とにもかくにも、各国との交渉の一番手に登場する日本との交渉が今後の各国との交渉の試金石となるので世界中が注目しています。特使に任じられた赤沢経済再生相と米国のゼンセント財務長官の17日の会談でどのようにトランプ大統領を納得させる材料を提示出来るかどうかです。特に貿易問題においては自動車と農産物に関してトランプ大統領の琴線に触れるような提案を出来るかどうかに係っていると思います。ただ政府の事前の打ち合わせで農水省官僚がいなかったことが気になります。
なお、突然出てきた現金給付ですが、貰った人は嬉しいでしょうが、必要ない人にまでバラまかれる現金給付をいきなり持ち出す神経が理解出来ません。また、もし24%の追加関税の停止が延長されたらどうする気でしょう?「国難が去った」と慌てて話を引っ込めるのでしょうか?それとも「トランプ大統領がいつまた関税を挙げると言い出すかわからないから」と言って実行に移すのでしょうか?

■株価大暴落の後遺症■
日米の株価が大暴落しました。日本においても4月7日には過去3番目の下落幅となる2644円下落して直近の3営業日で4500円以上値下がりました。8日は2000円近く上昇しましたが、投資家の負った傷はかなり深いものとなりました。下がったものがもとに戻ればいいというものではありません。これだけの大暴落となれば先物やオプションや信用取引を行っていた多くの投資家に対して担保切れの追証が掛かります。追加担保を入れられる人はいいですが、入れられない人の建玉は自動的に精算され損切りとなります。
また追加担保を捻出するために多くの資産を現金化する必要があります。それは有価証券であれば更なる株価の下落を招きますし、金のような、株式相場の暴落と関係ない資産にも影響が及びます。
と言っていたら追加関税適用の90日間停止の報を受けて世界中の株式市場が猛反発しています。特にNY市場は過去最大の上げ幅を記録しました。東京市場も過去2番目の上げ幅を記録しました。しかし上述のように9日までに損切りあるいは決済されてしまった投資家はどうしようもありません。株価が乱高下すればするほど投資家がダメージを受けます。本当に困った米国大統領です。尤もトランプ大統領が「報復措置を執らなかった国に対して適用を90日停止する」と発言する直前に自身のSNSに「絶好の買い時だ!!」と書き込んだことが「株価操作ではないのか」と問題視されています。
為替についても9日の夜には1ドル144円台まで円高が進みましたが、追加関税停止のニュースが流れると1ドル147円台まで円安が進みました。金も9日には700円安となりましたが、10日には700円高となって僅か1日で1グラム1万6千円台を回復しました。
と言っていたら(各種の数字が短期間に大きく変動するのでいつになってもこのセリフばかりです)10日のNY市場で中国に対する関税が145%になるとの報を受けて再び株式市場で暴落が起きました。一方円高が急激に進み、東京市場では1ドル142円まで円高が進みました。僅か1日で5円の円高です。FXに嵌っている投資家は大変なことになっているでしょうね。FX市場でもロスカット(強制損切り)が多数発生していると思います。首を吊る人がいないことを祈っています。このような状況では予め損切りラインを決めて注文を出しておく「ストップロス」と言われる逆指値注文が必須です。

■ちょっとおかしくなってきた国民民主党■
国民民主党にもほころびが出て来ました。千葉県連におけるパワハラ問題で県会議員や市議会議員の離党が続いていることと、もう一つこれは絶対許せないことですが、今年の参議院選挙の大阪選挙区に国会で不規則発言を続けて日本維新の会から党員資格停止処分を受けて政界から引退する意向を表明した元維新の会の足達康史氏を擁立する動きです。足立議員を何故国民民主党が担ぎ出そうとしているのか全く理解出来ません。自民党の杉田水脈元議員を担ぎ出そうとする発想と全く同じです。
千葉県連におけるパワハラによる離党ドミノについては以前から指摘されていましたが、玉木代表は「党本部で調査している」と述べるだけで自分から積極的に動く様子がありません。自民党ではあるまいし、小所帯の政党なんですから代表が出て行ってさっさと結論づけるべきです。このままだと夏の参議院選挙に影響します。ただ、今回のパワハラ騒ぎを見ていると、国民民主党の連合の組織との調整の難しさが表面化しています。大躍進したとは言ってもまだまだ組織の支援が無ければ維持していけない政党のようです。
また、今度は「若者減税法案」を国会に提出しました。「手取りを増やす」と「173万円の壁」で若い選挙民の人気を集めた国民民主党ですが、さすがに「若者減税法案」は若者の人気取りと言わざるを得ません。本当に困っているのは若者ではありません。それどころか独身の若者は昔から「独身貴族」と言われて最も余裕のある世代と言われていました。本当に援助が必要なのは非正規の労働者が多い氷河期世代と子育てで汲々としている家庭です。何を考えてこんな法案を提出したのかわかりませんが、まだまだ成熟段階には至っていない政党なのかも知れません。尤も「なぜ若者だけなんだ?」と言う声が国民民主党に殺到して、玉木代表は「誤ったメッセージを与えてはならない。就職氷河期世代にも新たな政策を提案をしていく」と火消しに追われています。しかし国会に法案を提出してから慌てて火消しに走っても失われた信頼は取り戻せません。党としての見識の低さをさらけ出してしまいました。
夫婦別姓問題でも衆議院選挙の公約では「選択的夫婦別姓」を公約に掲げていたにも拘わらずここに来て「慎重な議論が必要」と言い出しました。腰が定まっていません。

■徒然思うこと■
・AIを単なるビジネスツールだと思っていると大変なことに・
最も一般的に活用されているChatGPTですが、世の中ではあいさつ文を作ったり仕事の資料を作成したり使われている方が多いようです。特に便利なのは数値から棒グラフや円グラフを作って可視化してくれる能力です。経済学者で元一橋大学教授の野口悠紀雄先生は最近はChatGPTを話し相手にしているそうです。ChatGPTは音声認識機能も高いので充分に高齢者の話し相手になります。私は最近では花見の途中に見かけない草花を見つけた時に写真に撮って、ChatGPTに「この花は何?」と聞くと科の種類から懇切丁寧に花の名前を教えてくれます。使えば使うほど使い途が幾らでも増えていきます。
最近遊びに使っているのが写真のイラスト化です。
上のイラストは私自身の写真を「イラストにして」とコマンドして作成してもらいました。最初のイラストが我ながら年寄り臭かったので「ジブリ風にして」と言って作ってもらったのが2番目のイラストです。孫の写真をイラストにすると喜ばれると思います。
実は今月からChatGPTにこのメッセージも校正してもらっています。

因みに「米国と中国の貿易戦争はどちらが勝つの?」と聞いてみたら、「どちらが勝つと明確に言うのは困難です」と当たり前の回答をされてしまいました。また「なぜ日本は米国債を売却しないの?」と聞いてみたら、「いい質問ですね」の後に詳細な解説をしてくれました。皆さんも何か疑問があったら何でも聞いてみると良いと思います。
・行くか行かぬか関西万博・
関西万博がオープンしました。先週、以前から危険性が指摘されていた基準値を超えるメタンガスが検知され、オープン直前のトラブルということで一時騒然となったようです。先日のお披露目でも、僅か3万人の入場者でも入場に長い列が出来て大きな課題となりました。これが数日間で解消されるとは考えられません。また、大阪万博で現金が一切使えずキャッシュレスのみのようなので注意が必要です。
また、内容的にも本来海外パビリオンの多くは各国が直接担当する「タイプA」のはずでしたが、コストと時間の問題で半分近くのパビリオンは主催者が提供する「タイプX」になってしまいました。前回の万博では各国のパビリオンに驚かされましたが今回の海外パビリオンにはあまり期待が出来そうもありません。と言っても前回の万博ではパビリオンもレストランもめちゃくちゃに混んでいて、私は殆ど何も見ずに、食事もサンドイッチを買って観覧車の中で食べた記憶しかありません。
4月9日時点で販売された前売り券は907万枚、その多くは関経連の大企業が購入したもので、前売り券の目標数1400万枚には遠く及びませんでした。損益分岐点は1840万枚と言われていますが到底達成出来るとは思えません。それなのにNHKのニュースでは「おおよそ2820万人の来場が見込まれています」と言っていますが、街行く人に聞いてみると、「万博に行く」と答えた人は関西では53%なのに関東では僅か16%だったそうです。最後にモーレツな割引販売を行う気でしょうか?どちらにしても最終的に大赤字に終わること必至です。尤も誰も責任は取らないでしょう。
また、関西万博については報道各社に「ネガティブな報道をしないように」という要請がなされているようです。現に「大阪・関西万博に新たな課題」というタイトルのヤフーニュースがいつの間にか削除されていました。共産党系の「赤旗」については万博協会が取材拒否をしているようです。共産党の力が強い大阪でこのような措置が取られるとは驚きです。しかもこの件についてはX上では賑わっていますが、ネットで検索しても大手メディアで報道しているところはありません。ここにも報道規制が行われているのかも知れません。
初日の様子が報道されていますが、これまで万博協会が掲げていた「並ばない万博」どころかとてつもない混雑で初日から大混乱のようです。特に「予約した時間に入れない」という不満が多かったようです。しかも風雨が強まり、交通手段にもトラブルが発生して最悪の初日になってしまいました。しかも初日と言うことでどのテレビ局も万博開会のニュースで満載でしたが良い話が一つもなく、課題山積の船出となりました。
・関西の桜・
いつもなら京都の桜をお見せしていますが、今年は京都だけでは飽き足らず奈良まで足を延ばしてしまいました。京都のインバウンドは相変わらずで、何しろ凄かったのは交通渋滞です。八坂神社から京都駅まで毎日50分もかかる状況が続いています。洛中には車で近づいてはいけません。どこに行っても外国人旅行者だらけで、たまに日本語の会話が聞こえると思わず振り返ってしまいます。私は昔から真如堂とか金戒光明寺のように出来るだけ観光バスの入れない場所に行って花見をするようにしていますが、最近は外国人、特に中国人は白タクのワゴンで異動する人が多くなってどこにでも中国人を見かけるようになりました。
でもピンポイントで空いている桜の名所に朝早く行けば十分堪能出来ます。写真は京都御苑の旧近衛邸跡の枝垂れ桜です。

それに比べて奈良は平穏です。もちろん外国人旅行客は見かけますが、純粋な観光客が多くきちんとしたガイドさんに案内されています。アジア系と言うよりは中東系、ヨーロッパ系の観光客が多いように感じます。奈良県にはさくら名所100選が3つあって、奈良公園と吉野山と郡山城址公園ですが、京都で見ていたテレビで偶然ここを紹介していたので初めて行ってみましたがレアな場所のせいか外国人観光客は一人も見かけませんでした。この城は続日本100名城にも選ばれておりお薦めです。今後は花見の定番にしようと思っています。

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