■自民党総裁選大逆転■

 過去最高の9人が立候補した自民党の総裁選ですが、当初ぶっちぎりの1位かと思われていた小泉進次郎氏でしたが、27日の投票直前の調査では高市早苗氏が猛追して逆転し、1位石破茂氏、2位高市氏となりました。しかし、蓋を開けてみたら高市氏が石破氏を大きく引き離してトップに立ち、2位石破氏、3位小泉氏との結果になりました。

 この1回目の投票結果で注目すべきは高市氏が国会議員票を72票も集めたことです。国会議員票を最も集めたのは小泉氏でしたが高市氏もそれに迫る議員票を獲得しました。高市氏は当初20人の推薦人が集まらずなかなか出馬表明を出来ないでいましたが、1回目の投票で72票獲得しました。投票直前に麻生氏から麻生派の議員に「1回目の投票から高市氏に投票しろ」との指示が出たとのことですが、それが大きく影響したと思われます。石破氏は議員票では大きく離されて46票の3位でしたが、よく頑張ったとも言えると思います。そもそもこれまで党員・党友票で圧倒的な強さを見せていた石破氏が党員・党友票で2位になったことを不思議に思っていましたが、告示直後に高市氏が党員・党友30万人に送ったリーフレットの効果が大きかったと思います。高市氏は「禁止になる直前に送った」と言い逃れていますが、「総裁選挙にお金をかけない」ということは事前から言われていたのにルールぎりぎりの期日で投函しました。グレーと言うよりはブラックな選挙活動でしたがこれが功を奏したと思います。アンフェアな行動でしたね。

 しかし高市氏が当選しなくて本当に良かったと思います。何しろ推薦議員20人のうち13人が裏金議員で、しかもこれを追及された高市氏が「誰が推薦人か知らなかった」とコメントしたものですから呆れてものが言えません。高市氏がもし総裁になったら裏金議員の閣僚が生まれたかも知れません。また高市氏の推薦人には「最も国会議員にふさわしくない議員」と言われる杉田水脈議員も入っていました。杉田議員が推薦人に入っているだけで失格です。

 それに加えて8月15日に靖国神社に参拝すると公言している議員を総理にするわけにはいきません。高市氏を支持した議員は今後の日中関係と日韓関係を考えた上で高石氏に投票したのでしょうか?習近平国家主席から石破氏に祝電が届いたそうですが、高市氏が総理になっていたら絶対届かなかったでしょうね。超右翼の高市氏だけは絶対総理にしてはいけませんでした。今後の復活も許してはなりません。と言っていたら今回の衆議院選挙で高市氏に応援演説の依頼が殺到しているようです。先が思いやられます。

 今回の自民党総裁選で気の毒な候補者が3人います。小泉進次郎氏と河野太郎氏、加藤勝信氏の3人です。小泉氏は当初は人気1番でしたが、総裁選が始まるとどんどん馬脚を現し無能ぶりを世間に広めてしまいました。先月のメッセージでも書きましたが、言語明瞭意味不明な発言が多く、時が経過するほど支持率が下がっていってしまいました。それでも第1回目の投票で議員票トップの75票を獲得しました。小泉氏の何に期待したのかわかりませんが、総裁選のあの発言を聞いてなお支持する議員が75人もいることに驚きです。まあ気の毒と言うよりは自業自得ですね。

 次に気の毒だったのは河野太郎氏です。先月の私の予想では4位でしたが、何と国会議員票が22票しか取れずに8位に終わりました。全ては麻生副総裁が1回目の投票から自派の票を高市氏に投じるよう指示したのが原因です。石破憎しの麻生氏としては高市氏の予想外の善戦を見て、何とか高市氏を決選投票に持ち込もうとしたためだと思いますが、気の毒に河野氏は見捨てられた感じになってしまいました。

 もう1人は加藤勝信氏です。何とか推薦人をかき集めて立候補しましたが、第1回目の投票で獲得した議員票は何と16票、本人はもちろん自分に投票したでしょうから、最低でも21票となるはずでしたが、推薦人になりながら総裁選では加藤氏に投票しなかった議員が5人もいたということです。まあ、加藤氏としては石破内閣の財務大臣という要職についたのでそれほど落ち込んではいないかと思いますが、信用できない人間までかき集めて立候補したこと自体が間違いだったと言うことです。2018年の総裁選で安倍元総理の出陣式で振舞われたカツカレーの数より実際の議員票の方が4票少なく「カレーライス食い逃げ事件」と評判になりましたが、今回も5人も人の道に外れた議員がいたことになります。

 また石破政権について「前代未聞の論功行賞」という批判があるようですが、第1回目の投票の議員票46票から決選投票では189票と飛躍的な議員票の増加で大逆転で当選したのですからやむを得ないと思います。「お友達内閣」とも言われていますが、4回も総裁選挙で敗北した石破総理を応援し続けてた非主流派の議員ですからこれもまたやむを得ないことだと思います。




■石破総理は国会運営と衆議院選挙を乗り越えられるか?■

 総理になったばかりの石破氏が火だるまになっています。総裁選の最中にあれほど早期の解散はしないと言っていたのに史上最短解散を宣言しました。しかもまだ総理に就任する前から衆議院選挙の日程に触れるとは憲法違反ではないでしょうか?また、解散の根拠も憲法上あり得ないものとなっています。

 せっかく「やっとまともな総理が誕生したか」と思っていたら党三役の強い提言を受け入れて早期解散に踏み切りました。就任会見からこの点を突っ込まれてしどろもどろです。この早期解散だけでなく、総裁選中の発言や過去のブログとの言行不一致で今回の選挙は自民党にとって厳しいものになると思います。それがわかっていても周りの「支持率が高いうちに解散すべき」との進言を受け入れての解散劇となりました。総理就任後の世論調査による支持率は就任直後としては過去最低レベルの数値となりました。いくら裏金解散とは言え、石破総理の言行不一致が支持率を下げたことは間違いありません。

 しかも驚いたことに当初は裏金議員を全員公認するとの報道がなされていました。しかも比例との重複立候補も認めるとの話までありました。これでは裏金解散どころかこれまでの自民党の解散と何も変わりません。「自民党をぶっ壊す」と言って総裁になった小泉元総理だったら周りの意見に耳を貸さず自分の思い通りの選挙をやったと思います。石破総理は何のために総理大臣になったんでしょう。もしかしたら石破総理は裏金議員の要求を受け入れて世間の轟轟たる非難を浴びながらの選挙を強行して自民党の比例票を激減させて、一度自公を過半数割れさせるつもりでしょうか?

 しかしメディアでは総袋叩き状態です。「言行不一致」はもう聞き慣れましたが、「有言不実行」「嘘つき」「手のひら返し」「豹変」ありとあらゆる非難の声が渦巻いています。総理総裁になってから一つも世間から評価されることはありません。党首討論でも世間が納得するような質疑が行われることはありませんでした。下手をすれば選挙による反対勢力一掃どころか選挙後には退陣に追い込まれるかも知れません。

 10月3日発売の週刊文春の当落予想では自民党は219議席で過半数割れ、公明党と合わせてかろうじて過半数維持となっていますが、どうなるか見ものです。と言っていたら今月6日に石破総理の「9回裏逆転満塁ホームラン」が飛び出しました。安部派5人衆のメンバーを始め何人もの非公認議員が発表されました。「非公認よりも重い処分を受けた者」ということで下村博文元文科相、西村康稔元経産大臣、高木元国会対策委員長の3人、「現時点で処分が継続している者で政倫審で説明責任を果たしていない者」ということで萩生田元政調会長、平沢勝栄元復興大臣、三ツ林衆議院議員の3人が非公認となりました。また裏金問題で党の処分を受けなかった議員のうち説明責任が十分果たされず、地元の理解が十分に進んでいないと判断される議員についても非公認とすると発表されました。

 更に議席に最も大きな影響を及ぼすと思われるのは「党の処分を受けなかった裏金議員については公認はするが比例代表への重複立候補は認めない」としたことです。これらの議員は今回の選挙はこれまで以上に苦戦すると思われるので比例との重複立候補が認められないことは致命的です。前回2021年の衆議院選挙では小選挙区で敗れた32人のうち22人が比例代表で当選しました。今回の選挙では重複立候補が認められないで落選する議員が多数出ますが、その分比例単独で立候補する候補者の当選が増えるでしょうから斬新な顔ぶれが増えることが予想されます。

 この処分に関しては6日の夜のテレビ番組で玉川徹氏が面白いことを言っていました。これまで石破総理周辺では裏金議員の非公認については否定的な意見が流れていましたが、実はこれは石破総理の「観測気球」ではなかったのかという話です。と言うのは、この話が出て世間からは猛反発の声が高まりました。裏金議員以外の自民党議員からも「これでは選挙はとっても戦えない」という声が強まりました。これを受けて石破総理は森山幹事長を始めとした「裏金議員の非公認反対」の声を抑え込んで一気に持論を展開し大逆転ホームランに持ち込んだのではないかという話です。「なるほどな」と頷ける話です。早期解散で総裁選直後に比べて石破政権の支持率は失望感から20%近く下がったと思いますが、今回の決断を受けて支持率は10%以上回復すると思います。

 一方立憲民主党ですが「野党統一候補」は口ばかりで全く進みません。そもそも8月岸田前総理が退陣宣言して年内にも衆議院選挙が行われることははっきりしていたのですから泉前代表の時から野党統一候補の話し合いを始めていなくてはなりませんでしたが、投票日が確定した現在においても野党統一候補の話は全く進展していません。これではいくら自民党が票を減らしても野党の票が分散して結局当選する裏金議員が多数出ることになるのではないかと思います。また、野田氏を本当のリベラルだと思ってはいけません。集団的自衛権への道を開いたのは当時の野田首相です。ある意味で自民党以上の右翼かも知れません。

 ところで政策的には防災庁(省)以外はこれまでの持論が封印されている石破総理ですが、驚いたことに10月2日の夜に日銀の植田総裁と会談して利上げに慎重な発言をしたことによって為替が一気に円安に振れました。やはり総理の発言って重いんですね。一方同日に米国で発表された雇用の指標が予想外に良かったということで円を売ってドルを買う動きが強まりました。石破総理もせめて米国の雇用指標が発表されるのを待って我が国の金利について発言すればよかったのにダブルで円安要素が出たため一気に149円台の円安となりました。まだ、色々なところに気が回っていないみたいです。そういうところをフォローすべきなのが官房副長官なんですけどね。日銀もこれで金利上昇政策をとりにくくなりました。

 中東の地政学リスクにより値を戻していた金相場が円安も重なり史上最高値を突破して来ました。やっと原油も上昇を始めました。イスラエルとイランの紛争も心配ですが、もしホルムズ海峡が封鎖されるようなことになれば原油は暴騰、円は急落しますから注意が必要です。ちょっと円安になったからと言って円買いは危険です。




■ワクチン接種■

 10月1日から新型コロナウィルスのワクチン接種が再開されました。現時点では対象者は65歳以上の高齢者と60歳から64歳の基礎疾患のある人です。またそれ以外の人でも希望する人は任意に接種が受けられます

 接種費用は概ね1万5千円と言われていますが、公的接種については8300円が補助され7千円以下になる予定です。尤もこれは国費による補助で、例えば東京23区では足立区、荒川区、葛飾区、渋谷区、台東区、千代田区、文京区、港区については定期接種対象者は全員無料で接種が受けられます。また、北区では72歳以上の人、江東区、新宿区、墨田区、中央区では75歳以上の人が無料で接種を受けられます。東京都のそれ以外の区と多摩地域の自治体では2500円の自己負担額となります。

 今回受けられるワクチンはこれまでと異なり5種類もあります。最も注目すべきは明治製菓ファルマが供給する「レプリコンワクチン」です。これはワクチンに含まれるメッセンジャーRNAが接種後に細胞内で複製されるもので、感染を抑える抗体量を長く維持出来る可能性があります。また接種量も従来型の10分の1で済むという説明もあります。一方メッセンジャーRNAが体内で自己複製されるために他人への感染が懸念され、「レプリコンワクチン接種者の入店お断り」の店が現れたり医療機関で「診療拒否」となる可能性もあります。また、このレプリコンワクチンは1バイアル(瓶)16人分ですので、なかなか提供する医療機関が少ないと思われます。

 こう説明したらレプリコンワクチンの接種を希望する人が同時に16人も現れるとは考えにくく、そもそも接種できる可能性は極めて低いと思います。しかも世界でレプリコンワクチンを承認しているのは日本だけで、開発した米国でも治験が行われたベトナムでも承認されていません。こんなワクチン誰も打たないでしょうね。それなのに厚労省が発表した今年度の定期接種の見込み供給量ではレプリコンワクチンが427万回分供給されることになっています。おそらく殆どが廃棄されることになると思われるワクチンをこれだけ購入した責任は誰が取るんでしょうね。誰か巨額の賄賂をもらった人がいそうですね。と言っていたらこれの裏話が「選択」10月号に掲載されました。2015年に熊本の化学及血清療法研究所と言う厚労省の機関が40年に渡り不正を行っていたことが発覚し、当時の塩崎厚労大臣が化血研に対し厳しい処分を求めた時に、当時の化血研はA型肝炎ワクチンを100%提供していて潰すわけにはいかず、どこか事業譲渡先を探していた時に引き受けてくれたのが明治製菓ファルマの親会社の明治ホールディングスだったそうです。要は厚労省が自らの失敗事業を明治ホールディングスに引き受けてもらった借りを返すために今回のレプリコンワクチンが使われたということです。

 これで誰も打たないワクチンを427万回分も厚労省が確保した理由がやっとわかりました。結局厚労省の役人の保身が全ての源だったわけです。と言うわけでこのレプリコンワクチンに対する信頼性は全く無くなりました。この誰も打たないワクチンの購入費用400~500億円が厚労省の役人の保身のためにどぶに捨てられることになりました。間違ってもワクチンを材料に明治ホールディングスの株を買わないようにして下さい。来年の供給は無いと思います。

 今回の新型コロナ定期接種の主役はやはりメッセンジャーRNAワクチンで、ファイザー、モデルナ、第一三共の3社で2527万回分供給されます。その他に組み換えタンパクワクチンが武田薬品から提供されます。国産ワクチンとしての魅力は感じますが、やはりファイザーにしておくのが無難そうです。

 しかしどの医療機関でどのワクチンを受けられるか公表されていませんので、各自が各医療機関い問い合わせなくてはなりません。ずいぶん不親切な話だと思いますが、多くの医療機関が打ち残りが出ないようにファイザーを用意すると思います。そうなると他のワクチンが大量に残って廃棄されることになり、これまた厚労省の役人の見込み違いで税金が無駄使いされることになります。




■徒然思うこと■

・今後1ヶ月・

 10月27日に行われる衆議院選挙は裏金問題が発覚して初めての衆議院選挙ですから裏金議員の当落が大変気になります。もし裏金議員が続々と当選するようなことになれば、政策活動費の見直し始め今後の政治資金規正法の改正は期待出来ません。10月27日選挙のメリットと言えば、あまりに急に決まったスケジュールのため、各候補は政治資金パーティーを開催して選挙費用を稼ぐ暇がありません。物と金に頼らない伝統的な選挙になると思います。裏金政治家が選挙活動中にどのような発言をするのか注目したいと思います。

 日本で衆議院選挙が終われば10日後には米国大統領選挙です。今のところハリス氏優勢ですが、これから何が起きるかわかりません。トランプ大統領が勝利した時は世界的には大変困ったことにはなると思いますが米国内の混乱は起きないと思います。心配なのはトランプ前大統領が敗れた時です。前回のように結果を素直に受け入れるとは思えません。現に先日の副大統領候補のテレビ討論間で民主党のウォルズ氏が共和党のバンス氏に「トランプ前大統領は前回の選挙での敗北を認めるのか?」との質問にバンス氏は答えませんでした。要するに未だにトランプ氏は前回選挙での敗北を認めていないのです。ですから今回の選挙でももし敗北したら「開票に不正が行われた」と決して選挙結果を受け入れないと思います。前回のような国会議事堂襲撃事件がまた起きるかどうかわかりませんが、多数の銃撃事件も発生して米国中が大混乱に陥ると思います。考えてみたら大統領選挙の結果がそのまま受け入れられるかどうかわからないって凄い話ですね。米国が民主主義の盟主という言葉は過去のものになりつつあります。来年ハリス大統領の就任式が終わるまで米国旅行は止めておいた方が賢明です。

 なお11月17日には注目の兵庫県県知事選挙が行われます。最終的に当選することは無いと思いますが、現時点では斎藤前知事が知名度で圧倒しているようです。候補者乱立で票が割れた場合にはもしかしたらもしかします。

・秋ドラマ・

 さて早くも始まった秋ドラマですが、これまでに始まった秋ドラマで最も面白そうなの今のところ「噓解きレトリック」と「オクラ」ぐらいでしょうか。私が最も期待するのは「海に眠るダイヤモンド」です。しかし私は見てないんですが「相棒」って人気あるんですね。毎回ランキングのトップですね。


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