■主要国での政権交代相次ぐ■
米国大統領選の候補者討論会でバイデン大統領に対する評価が一変しました。確かにあのボーっと立ちつくす姿を見たら米国民は誰もが不安を覚えたと思います。トランプ前大統領が勝利宣言をするのも尤もです。と言って、今から民主党候補を差し替えるわけにも行きません、と思っていたら、テレビ番組で民主党には隠し玉とでも言うべき女性候補がいると発言している人がいました。ヒラリー・クリントンかと思ったら正解はミッシェル・オバマ元大統領夫人でした。ヒラリー・クリントンにしてもまだ?76歳ですから78才対81才の争いの中では若い方だと思いますけど、その名は出ませんでした。一方ミシェル・オバマはまだ60歳で十分8年間の任期を全う出来ます。可能性は低いかも知れませんが、世界全体が求める候補であることは間違いありません。もし彼女が大統領になれば、良識的な米国が復活します。しかし規則ではバイデン陣営の保有している選挙資金400億円を引き継げるのはハリス副大統領だけだということです。ハリス副大統領ではトランプ氏と戦って勝ち目はありません。ますます「ほとトラ」(殆どトランプ)に近づいて来ました。
一方ヨーロッパでは主要国において政治不安と言うか、政治の混乱が高まっています。英国では与党保守党の大敗、それもとてつもない大敗となりました。14年ぶりの政権交代です。早めの総選挙に打って出たスナク首相の思惑が大きく外れてしまいました。下院総数650議席のうち最大野党労働党が前回の2倍となる412議席を獲得しました。一方保守党はこれまでの345議席から121議席まで議席を減らしました。この議席の減少数にも驚きますが、もっと驚くのはこの保守党の121議席というのが1834年に結党して以来の最小議席となったというニュースです。今から190年も前に議会制民主主義が行われていたと言うことに心底驚かされます。
そもそも今回の選挙の投票率が1885年以来2番目に低い60%と言うことですので、英国全体が選挙で盛り上がってその中で労働党が大勝したわけではありません。412議席を獲得した労働党ですが全体の票数で見ると得票率では33.7%と前回の戦況から僅か1.6%しか増えていません。一方大敗した保守党ですが、得票率では23.7%と労働党と10%しか離れていません。
逆に投票率を大きく伸ばしたのは極右政党のリフォームUKです。何と前回選挙に比べて7倍にもなる14.3%を獲得しました。それでも獲得した議席は僅か4議席です。
こうやってみると小選挙区制という選挙制度が本当に国民の意思を反映しているのか疑問に思います。
今後政権を奪取した労働党がどのような政治を行うか注目です。ポイントは3点、移民問題と中国との関係とEUとの関係です。現時点では英国民の多くがEU復帰を望んでいます。また大きな騒動になるかも知れません。
フランスでも議会を解散したマクロン大統領の目論見が外れて極右政党の国民連合が大幅に勢力を伸ばし極右の首相が誕生しそうでしたが、決選投票では極右の藪を突っついたら極左の蛇が出てくるという藪蛇の結果となってしまいました。
決選投票の1週間前に行われたフランス国民議会選挙では577選挙区のうち当選者が決まらなかった501の選挙区で決戦投票が行われました。1回目の投票では圧倒的な支持を集めたのは極右の国民連合ですが、決選投票では200もの選挙区で左派の新人民戦線と与党連合が選挙協力を行い、候補者を一本化したことによって大幅に議席を増やしました。
フランス国民はマクロン大統領の政治には不満だらけでも、極右の国民連合が政権を取ることに関しては拒否感を示したということです。フランス革命を見ても元々フランス国民はリベラルな国民です。
結局1回目の投票が終わった時点では最終的に230~280議席を獲得して第一党どころか単独で過半数を取るかも知れないとみられていた極右の国民連合は決選投票では第三党に沈みました。第1回目の投票後に国民の間に極右勢力に対する警戒感が急速に拡大して大きな揺り戻しが起きたと言うことです。フランスの総選挙って何が起こるかわからないで本当に面白いですね。
しかし決選投票を終えて第一党になったのは左派連合の「新人民戦線」です。極右政党に政権を握られなかったとは言え、今後は中道の与党連合との勢力争いが続いてまともに政局運営が出来ないのではないかと言われています。
米国ではもちろんトランプ大統領が現実となったら、毎日爆弾騒ぎのような状況になることは火を見るよりも明らかでです。米英仏のNATO主要国が本当にその機能を果たせるのか不安いっぱいです。
諸外国の選挙の中でイランの大統領選挙で改革派のペゼンシュキアン氏が保守強硬派のジャリリ氏を破ったことは朗報です。保守強硬派のライシ前大統領の事故死に伴って行われたイランの大統領選挙ですが、19年ぶりに改革派の大統領の誕生です。ヒズボラやフーシ派の後ろ盾と言われていたイランですが、これで中東の過激派の動きが鈍くなることが期待されます。
■7月3日新札発行■
7月3日に新札が発行されました。先月からさんざん騒いでいましたが、7日の日曜日になってやっと実物が手に入りました。朝一番で近くの三菱UFJ銀行のATMに行って一か八かで限度額の50万円を出金したら新紙幣が50枚出て来ました。新5千円札と千円札も欲しいと思って別のキャッシュカードで49万9千円を出金してみたら全部旧札で出てきてしまいました。同じATMで立て続けに出金したのに何で旧札が出て来るのか甚だ疑問です。不思議に思って8日の朝になってまた同じATMで40万円チャレンジしてみましたがしっかり新紙幣が出て来ました。次に10日に別のATMで出金したら何と全部旧紙幣の新札が出て来ました。どういう仕組みになってるんでしょうね?
今回の新紙幣発行の目的は「偽造防止」とされていますが、実はこれは本当の理由では無さそうです。元々これまでの旧紙幣も印刷技術が非常に高く、偽造の可能性は殆ど無いそうです。現に年に何枚か偽造紙幣が摘発されますが、それはカラーコピーのような稚拙な物で、とても偽札と呼べるようなものではありません。それでは新紙幣発行の理由はと言うと、1番目はキャッシュレス化の推進です。政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%に引き上げる目標を掲げていますが、2023年にキャッシュレス比率は39%と殆ど目標に達しています。キャッシュレス化が進んでいる諸外国では韓国94.7%、中国60%、オーストラリア59%、米国47%、フランス44.8%と続きます。一方ドイツのように17.9%しかキャッシュレス化が進んでいない国もあります。必ずしも先進国のキャッシュレス比率が高いわけでもなさそうです。
それでは政府がキャッシュレス化を推進する理由は何でしょうか?これは第一にキャッシュレス化による生産性の向上が挙げられます。レジで小銭をジャラジャラ数えているお年寄りを見ると本当にイライラします。タクシーの支払いに時間がかかる人もごめんです。もし我が国の支払いが全てタッチ決済になったら何千万時間もの支払いに掛かる時間がゼロに近くなります。早く竹野内豊のCMのような人がいなくなれば良いと思います。
また店舗の省人化によって労働力不足にも対応出来ます。新紙幣に対応するコストに耐えきれず支払いをキャッシュレスに一本化する飲食店が増えてくるのも良いことだと思います。日本を訪れる外国人観光客のためにもキャッシュレス化を進めるべきです。今後キャッシュレス化が最も進むのは京都のような観光地の土産物店かも知れません。
米国は昔から「カード社会」と言われるように、クレジットカードが普及していますが、これは便利と言うより、偽札が多いからそのような状況になったのかも知れません。特に100ドル札は偽札が多いという理由で支払いで100ドル札は歓迎されません。また、治安の悪い米国では100ドル札の使用は危険を伴います。昔は西海岸の治安の悪い地域で日本人留学生がマクドナルドで100ドル札で支払うと帰りがけに強盗に遭うというのはよく聞いた話です。日本でももっとキャッシュレス化が進めば「現金強盗」という言葉が死語になるのではないでしょうか?
また政府がキャッシュレス化を進めたい理由のもう一つがタンス預金の解消と言われています。我が国は図にもあるようにタンス預金が60兆円もあると言われています。確かに何千万円単位で特殊詐欺に遭う人が沢山いるのはタンス預金が多いからなのかも知れません。
諸外国のタンス預金額のデータがありませんので我が国の60兆円という金額が多いのか少ないのかわかりません。しかし我が国の個人金融資産は2000兆円と言われています。また、その半分が預貯金と言われています。タンス預金が60兆円というと巨額に感じますが、預貯金1000兆円の6%というと大したことは無いような気もします。
この60兆円のあぶり出しのためにわざわざ新紙幣を発行するでしょうか?やはりそれよりはタンス預金が新紙幣に切り替わるに際しての消費の活性化が期待されているのではないかと思います。元々タンス預金がこれだけの額になったのは政府の低金利政策のせいだと思います。昭和55年には定額貯金の金利は8%でした。金利8%だと10年の満期時に元利合計がちょうど元金の2倍になっていました。それが1995年からは長期にわたって金利1%未満が続いています。これでは預金にしておく意味が全くありません。その結果タンス預金が積みあがったとも言えます。タンス預金を全て「不正蓄財」と考えるのは昔の話です。
■ふるさと納税規制■
総務省がまたまたふるさと納税規制に乗り出しました。TVコマーシャルでよく見かける
「ふるなび」や「さとふる」といったポイント付与を売り物にする仲介サイトを通じて自治体が寄付を募ることを来年10月から禁止する、と言い出しました。
総務省の言い分は寄付額の一部がポイントに使われている可能性があるとのことですが、これに猛反発したのが楽天の三木谷会長です。「楽天では当社の負担の元にポイントを付与しているのであって寄付の一部ではない」と主張して総務省の取り扱いに反対するネット署名まで募り始めました。
公平な目から見れば、これは総務省側に歩があると思います。ポイント付与をしていない多くの仲介サイトと比較してポイントを付与する仲介サイトが特に収益性が高いとは考えられません。と言うことは下の図のようにその原資は自治体が仲介サイトに支払う手数料しか考えられません。寄付者にポイントを付与する余裕があるなら自治体に対する手数料を引き下げるべきです。そうすれば自治体の収入が増加し寄付の使い途が拡大します。
何しろふるさと納税の総額が年間1兆円を超える中で、仲介サイトに支払われる手数料が2000億円を超えて来ていますが、仲介サイトはポイント付与合戦で業績を高めて来ました。そこに無理があったのだと思います。また、業者側にもインチキ臭いCMが多くて、「最大30%のポイント付与」とか言っておいて、その内15%は抽選で何名様というまるで詐欺まがいの広告をよく見かけます。とは言え、新しい取り扱いが始まるのは来年の10月ですから、それまではこれまで以上にポイント付与合戦が行われますから寄付する側にとっては朗報かも知れません。
でも今回発表された取り扱いがまた裁判沙汰になって総務省が負けるようなことになったら本当に恥ずかしいことです。
■徒然思うこと■
・夏ドラマが始まりました・
春ドラマはたいした感動もなく終了しました。一番見応えがあったのは「アンチヒーロー」でしたが、そのほかにも石原さとみ主演の「Destiny」、中村アン主演の「約束」等も目を離せませんでした。
一方話題のドラマと言われたキムタク主演の「Believe 君にかける橋」は本当につまらないドラマでした。感動的なシーンが一つもなく、とてもテレビ朝日開局65周年記念ドラマとは思えません。また、「春ドラマで一番」と言われている「アンメット」は私にはピンと来ませんでした。
それに比べると夏ドラマは話題性満載です。真っ先に始まったのは水川あさみ主演の「笑うマトリョーシカ」ですが、いきなり驚かされました。番組開始から1分もしないうちにジャーナリストで主役の父親役の渡辺いっけいがダンプに突っ込まれて亡くなってしまいました。主要キャストが番組開始直後に亡くなるというのは前代未聞です。ドラマは初回にも拘わらず話が様々展開して見どころのあるサスペンスドラマです。ただ1人櫻井翔だけが浮ついた演技をしていますが、もしあれが本当の演技だったら今後面白くなると思います。
それと何ともコメントしようがないのが「新宿野戦病院」です。動きが激しくてなかなかついていけません。主役の小池栄子は米国生まれで親が岡山出身の米軍軍医と言う役ですが、そのセリフが岡山弁と英語でハイスピードに進みます。しかし何といってもキャストが朝ドラの「虎に翼」と大被りです。主役の一人で美容皮膚科の仲野太河は朝ドラの主役佐田寅子の戦死した夫、主要なキャストの内科医は寅子の父親役だった岡部たかし、そして婦長は寅子が勤めていた弁護士事務所の塚地武雅、極めつけは舞台となる新宿歌舞伎町の「聖まごころ病院」の院長の長女であるソーシャルワーカーの高峰はずきは先日まで「ブルーモーメント」でSDMメンバーとして活躍しながら、朝ドラでは現在も出演中の寅子の学友「梅子さん」です。馴染みのある顔ばかりのエンターテイメント医療ドラマです。
7日に始まった待望の「ブラックペアン シーズン2」も期待通りに始まりました。今回はずいぶん国際的なドラマになりました。
・石丸候補広島1区に立候補?・
都知事選で165万票を獲得した前広島安芸高田市長の石丸伸二氏が、国政に出る場合の選挙区の候補として岸田総理の選挙区の広島1区を挙げました。偶然にも8日月曜日の週刊ポストが自民党本部が5月に全国の戦況情勢調査を行ったら岸田総理も場合によっては落選の危機があるという見方が出たそうです。
何故石丸氏がいきなり「広島1区」と言い出したのかはわかりません。石丸氏が市長を務めていた安芸高田市は広島3区で広島市中心部が選挙区の広島1区とはずいぶん地域的に距離があります。ただ週刊ポストも指摘したように最近の広島1区に属する広島県の海田町と府中町の町長選挙で岸田総理の推す候補がいずれも敗れています。今後どういう動きになるかわかりませんが石丸氏は目の付け所が素晴らしいと思います。
ただ都知事選後石丸氏を非難する声が続々と挙がって来ました。確かに選挙後のインタビューの受け答えでは不遜な態度が目立ちました。安芸高田市長当時にもその言動の激しさで幾つものトラブルを起こしたようです。165万票得たとは言え、今後もそれらの人が石丸氏の支持者であり続けるとは限りません。フランス総選挙で最終的に極右政党が嫌われたように今回の選挙は、ヒステリックな女性を好まない人達と今まで選挙に行ったこともない人達が石丸氏に投票したのかも知れません。
一方小池都知事ばかりか石丸氏にも大敗した蓮舫氏は完全に戦略失敗だと思います。地域選挙に国政の自民党の体たらくを持ち込んでも選挙民は反応しません。立憲民主党幹部も応援演説で自民党後援とどこにも打ち出していない小池都知事に関して自民党の金権腐敗を非難しても筋違いというものです。
ところで小池都知事が公務中に選挙運動をしたのは公職選挙法違反だと刑事告発されています。また5月28日に東京都内の市区町村長の有志52人から都知事選への出馬要請を受けたとのニュースがありましたが、これについては複数の市長が「小池氏から出馬要請の打診があった」と証言しており、これが事実なら自作自演の公職選挙法違反となります。これも都民175人が刑事告発しています。もし公職選挙法違反となれば前代未聞の東京都知事失職ということになります。成り行きに注目です。
■□ 夏期休業のお知らせ □■
下記期間を夏期休業とさせていただきます。
8月13日(火)~15日(木)
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