■大山鳴動して鼠三匹■

 検察の捜査はこれで打ち切りみたいですね。今回の政治資金疑惑の捜査で最も株を下げたのは東京地検特捜部です。全国から応援を読んで100人近い体制で臨んだにも拘わらず、結局立件出来た国会議員は4千万円以上のキックバックを受けていた議員3人だけです。安倍元総理がキックバックについて「こんなことやめろ」と言ったのに復活させたのが派閥の会計責任者のはずがありません。これを復活させたときの安倍派の事務総長の西村前経産相には絶対何らかの罪があるはずです。これについて立件出来ないようなら検事失格です。

 しかし岸田総理の派閥解消発言は就任以来初めてのサプライズでした。安部派の総会の前日に岸田派の宏池会の解散を明言しました。特に派閥の解散が囁かれていた安倍派の面々はビックリ仰天、岸田総理の考えた通りになりました。でも岸田派の会長でもないのに何故解散を宣言出来たんでしょうね。自民党の政治改革大綱に反してまで総理になっても派閥の会長にしがみついていたのに、こういう時だけ会長面して表舞台に出て来るんですね。

 政治資金規正法違反の話は峠を越えて、話題は政策活動費とキックバックされた裏金の使い途になって来ました。政策活動費は政治活動に使われていれば課税はされませんが、政治活動に使われていなければ雑所得として課税されます。現在大問題となっているのが二階元幹事長に渡ったとされる5年間で50億円の使い途です。岸田総理は「政治活動の自由」を盾に公表させることを拒んでいますが、雑所得として課税されないためには政治活動のために使ったことを立証しなければなりません。これは現実的には大変難しいことだと思います。選挙の時の陣中見舞いや盆暮れの餅代や、買収資金?などに使われたと思いますが、殆どの支出について領収書が無いと思います。しかし所得税の世界ではそれでは通りません。国会で開示する必要はありませんが、少なくとも巨額の収入があることははっきりしているのですから、支出について説明する義務があります。もし説明できないならば国税に調査させるべきです。

 「政治資金のうち政治目的に使われなかったものは雑所得になる」と30年も前に宮沢喜一元大蔵大臣も国会で明言していますし、国会の予算委員会で国税庁の次長が「政治活動に使わなかった政策活動費は課税の対象となる」と答弁しているのですからきちんと各議員に説明させるべきですが、岸田総理は各議員に対するアンケートにおいて使い途については記載を求めていません。1月27日には、あろうことか元国家公安委員長の山谷えり子参議院議員が2403万円の還流を受けたことを公表しました。この金銭は事務所に保管されているとのことですが、これこそまさに課税対象です。少なくとも手元にキックバックされたお金が残っている議員についてはきちんと所得税の申告をさせるべきです。

 しかし笑いの止まらぬ安倍派5人衆です。「自分は知らなかった」「秘書に任せきりにしていた」で逃げ切ってしまいました。また安倍派5人衆の中で最も国民を馬鹿にした収支報告書を提出したのが萩生田前政調会長が支部長を務める自民党支部です。収支の総括表で収入総額と支出総額を全て「不明」で提出しました。これほど国民を馬鹿にした話はありません。この人だけは次回の選挙で当選させてはいけませんね。ところで安倍元総理が「キックバックなんてやめた方がいい」と言ったのは実は幹事長代理だった20年も前の話みたいですね。時の会長は存命の森元総理ですから話を聞いてみたいものです。

 ただ一つ今回のことで良い動きが出て来るかも知れません。安倍派の重鎮が次々と表舞台から姿を消すことで、これまでアベノミクスに強い拘りを持っていたメンバーの発言力が低下することによって日銀総裁が金融緩和の呪縛から解き放たれて金融政策の見直しが行われることになるかも知れません。そうなると円安の原因の一つである「日米の金利差による円安」が少し解消されて円安が是正されるかも知れません。ただ輸出企業の業績絶好調に支えられている日本経済全体を考えた場合に本当に行き過ぎた円安を修正した方がいいのかどうかわからなくなります。そもそも「行き過ぎた円安」とよく言いますが、急激な円安ではあっても行き過ぎかどうかは誰にもわかりません。

 ここに来て国会審議の足を引っ張っているのは盛山文部科学大臣です。2021年の選挙時に旧統一協会の会合に参加して「政策協定」にあたる推薦確認書を受け取ったことに関して「覚えていない」の一点張りで野党の砲火を浴びています。しかしどのような会合に出たのか忘れるというのはあり得るのでしょうか?推薦確認書を受け取っている写真までメディアで公表されているのに「このような写真があるのなら受け取ったのだと思う」などとすっ呆けた発言をしています。もし反社会勢力の集会だったらどうしたのでしょう?文科大臣どころか政治家として失格なのではないでしょうか?

 岸田総理は盛山文科大臣にについても相変わらず「現時点では旧統一教会とは関係を絶っているので職責を全うして欲しい」と野党の罷免要求を突っぱねていますが、最終的に更迭する羽目になったらまた致命的な傷となります。

 しかしこの時期に盛山文科大臣と林官房長官の旧統一協会との関連が急に報じられるようになったのには裏がありそうな気がします。旧統一教会側の岸田政権に対する揺さぶりではないですかね?12日のnews23では旧統一協会の信者が盛山文科大臣の選挙応援の実態を赤裸々に語っていました。今週の国会で文科大臣はサンドバッグ状態になりますね。結局辞任することになると思います。就任前の調査に「過去に旧統一教会と関係は無い」と虚偽の回答をして大臣になったのですから罷免されても当然です。




■能登半島地震■

 しかし今回の能登半島地震の大きさには驚かされました。港の地底が数メートルも隆起するなどということは誰も想定していなかったと思います。また、能登半島には複雑な地形の中に数戸で構成されている少数集落が多数存在していることが報道されました。今後このような地域をどのように復旧させて行くか大変難しい問題が控えています。上述のように大きな被害を受けた施設を莫大な費用を投じて元の形に戻すべきなのかどうか、また多くの過疎地を今まで通りの形に戻すことが本当に良いのかどうか検討が必要です。こういうことを言うと人権団体から非難を浴びそうですが、災害大国である日本で先祖伝来の土地に永続的に住み続けることが望ましいことなのか検討すべきだと思います。村単位、あるいは集落単位で移転することも必要なことかも知れません。少なくとも元の土地に家を再建することを考えるのはやめた方が良いと思います。再度大きな地震があった時にも交通が遮断されないような地域に安全な台地を造成して移住すべきです。

 しかし倒壊した家屋を見ると殆ど立派な屋根瓦の家ですね。やはり屋根瓦の重さは相当なもののようです。死因の4割が圧死だと言われています。全国的に瓦屋根の家の耐震強化を進める必要があると思います。

 それに比べて各地の避難所に設置が始まった段ボール製の「屋内用インスタントハウス」は素晴らしいですね。名古屋工大の北川教授が考案した物ですが、僅か15分で組み立てられてプライバシーが保てます。しかも価格は何と1万2千円!屋外用も4時間で完成するとのことで、仮設住宅代わりに是非被災した自治体は設置を進めてはどうでしょう?Sサイズならば110万円で設置可能です。




 それにしても珠洲市に原発を作らなくて本当に良かったですね。当時珠洲原発推進に関わった人達に今どう思うか聞いてみたいものです。特に1977年に「地盤が相当固く、原発立地に別段の支障がない」と予備調査で判断して当時の珠洲市長に伝えた資源エネルギー庁の判断について経産省には何らかのコメントを出してもらいたいものです。

 政治家も電力会社も地震学者の「日本に震度7の地震が来ないと言える場所は無い」という指摘を厳粛に受け止めてもらいたいものです。




■徒然思うこと■

・東京都の子育て支援・

 東京都が子育て支援に大きく一歩を踏み出しました。まず高校生の授業料全額無償化を打ち出し全国で一歩リードしました。親の所得制限を完全に撤廃したこの制度は全面的に支持されています。ただこの制度は居住地で判定されますので、気の毒なことに近県から都内の高校に通学している学生は対象になりません。

 また驚いたことに今度はAIを使ったマッチングアプリに乗り出しました。自治体の運営するマッチングアプリは初めてではないでしょうか?私も初めて知りましたが、婚姻に関してマッチングアプリは非常に大きな機能を果たしているんですね。東京都の調査によると「出会って1年以内に結婚した夫婦の出会いのきっかけ」は「職場の同僚・先輩・後輩」に並んでマッチングアプリが25%を占めています。つまり4組1組がマッチングアプリで出会って結婚しているですね。

 「マッチングアプリ」と聞くと何か犯罪がらみの不健康な出会いの場の提供と思ってしまいますが、東京都がセッティングするマッチングアプリなら誰でも安心して参加出来ると思います。都庁にも新しいセンスの役人がいるんですね。
 

・「もしトラ」から「ほとトラ」へ・

 「もしトラ」が現実味を帯びて来ました。トランプ前大統領が共和党のオハイオ州予備選で圧勝しました。デサンテス候補は早くも敗退、次のニューハンプシャー州でも圧勝すれば、ヘイリー全国連大使も遠からず敗退に追い込まれれると思います。と書いていたらニューハンプシャー州でも圧勝です。数字的には大差ではありませんが、ヘイリー候補はニューハンプシャー州に勝負を賭けて、トランプ前大統領の2倍以上の40億円をテレビCMに投じました。それでも10ポイント以上の差をつけられてしまいました。これでヘイリー氏の勝ち目は無くなりました。多くの識者が恐れていた共和党の大統領候補にトランプ前大統領がほぼ確定です。しかしいくらアグレッシブとは言っても11月の大統領選挙時にはトランプ前大統領は78歳、任期満了時には82歳です。もちろん主要国で最年長の指導者です。一方バイデン大統領も年齢では負けていません。バイデン大統領は11月には82歳、任期満了時には86歳です。こんな高齢者に頼らなければならないほど民主党に人材はいないのでしょうか?最も期待外れだったのはハリス副大統領です。これまでの3年間でただの一度も存在感を示したことはありませんでした。高齢のバイデン大統領をどれぐらいサポート出来るかと期待したら全くダメでした。思い返せば就任時には47歳だった前々大統領のオバマ元大統領はまだ62歳です。もっと若かったのはクリントン元大統領で就任時には46歳でした。今から23年も前に大統領を退任したクリントン元大統領とトランプ前大統領は何と同い年なんですね。クリントン元大統領やオバマ元大統領を見て当時は「なんてアメリカは若い者が活躍できる国なんだろう」と思っていましたが、今回の大統領選挙をみていると「まともな若手はいないのか」と思ってしまいます。

 何しろ熱狂的なトランプ支持者以外は、またトランプ前大統領が大統領に返り咲いたら本当に困ったものだと思っているのにトランプ支持者には全くそれが伝わりません。しかしトランプ前大統領の発言を聞いているとメチャクチャだと思いますが、それを熱狂的に支持する米国のホワイト層って何なんでしょう?世界的に見た良識が通じないのでしょうか?

 しかし超部外者の私達がいくらトランプ前大統領の当選に危惧を唱えてもどうなるものでもありません。最近では「もしトラ」ではなく「ほとトラ」すなわち殆どトランプ前大統領が大統領に当選となっているようです。共和党の候補になるのは確実、事前調査が行われた州では全ての週でトランプ前大統領がバイデン大統領を10%以上引き離しています。

・電子書籍は高過ぎる・

 最近何回か海外に出かけるにあたって、機内の読書用に書籍を何冊か購入しました。重さのこともあり殆ど電子書籍で購入しましたが、値段の高さに閉口しています。

 例えば私の愛読書の今野敏の「隠蔽捜査」シリーズですが、最新刊が出たので購入しようとしたらハードカバーだと1925円、電子書籍版だと1887円です。殆ど差が有りません。この差はあんまりではないでしょうか?電子書籍版では紙代も印刷代も輸送費もかかっていません。「便利だから高い」という理屈は成り立たないと思います。

 尤も電子書籍版では永久に保存しておけるか疑問です。また他人に貸すことも出来ません。実際に本を読んでいると「ちょっと前に戻りたいな」ということがありますが、ページを戻る作業も煩わしく味気ないです。書籍ならば左右のページが一瞬で目に入りますが、電子書籍で1ページで表せる文字量が限られています。軽くてどこでも読める以外は紙の書籍に劣る電子書籍はもっと安価でいいと思います。上述のようにサーバーからダウンロードさせるだけで他に経費は全くかからないのですから半額でも十分だと思います。

 ただ、電子書籍の価格を下げたら消費者は本を購入しなくなってしまうかも知れません。著作権者は構わないかもしれませんが、多くの書店が閉店に追い込まれかねません。ただ書店には書店なりの良さがあります。直木賞作家の今村翔吾氏が廃業する書店を引き継いだというニュースが流れました。今村氏は「書店で本を手に取って欲しい」と訴えています。確かに街の書店がどんどん廃業して私達は本を手に取ることが無くなりました。欲しい本を探して書店に行くばかりでなく、店頭で何気に手に取った本が人生を変えることになるかも知れません。それに比べて何と言っても電子書籍は立ち読みが出来ません。

・Airalo・

 海外に行かれる方に必須のeSIMアプリのご紹介です。eSIMとはスマホに埋め込まれた内蔵型のSIMでスマホで開通設定が出来ます。キャリアのショップで機種変更をする際に以前はスマホの側面のスロットにSIMカードを挿入して回線を開通させていました。iphoneで言えば2018年以降のモデルはeSIM対応です。また、iPhone13以降の機種ならばデュアルeSIMですから2回線の電波に対応させることが出来ます。

 大体ここまでで何が何だか分からなくなってしまった方が多いと思いますが、eSIMでこのAiraloを使えば世界で200以上の国と地域で低額で通信サービスを受けることが出来ます。例えばハワイでのドコモの海外ローミング料金は6日間で4680円もしますが、Airaloなら7日間で4ドル50セントです。eSIM通信アプリを使えば、空港で海外ルーターをレンタルする必要もありません。日本にいるうちに滞在予定国のプランを購入しておけば到着直後から利用することが出来ます。私もこのアプリを知ってから何人もの人に教えて感謝されています。試しにケニアで料金を検索してみると7日間で9ドルです。ウクライナも同額でした。

 私は今年になってから2回グアムに行っていますが、このアプリのおかげで通信料が安くて助かっています。尤も何故だかわかりませんが、グアムの料金は4日で10ドルと他国比べてかなり高めなのが気に入りません。

 またこのAiraloは日本国内でも利用することが出来ます。旅行先でWi-Fi環境が無い場所では非常に便利だと思います。利用料金は7日間で僅か4.5ドル、670円です。30日でも8.5ドルですから、割高なルーターを契約するより遙かにお得だと思います。

・今年の桜開花予想・

 2月に入って異常な高温が続いています。来週には最高気温20度が良そうされています。これだけ暖冬が続いているのに今年の桜開花予想日が昨年より大幅にずれこんでいます。各社の東京と京都の桜開花日予想ですが、

桜開花日予想      東京    京都
ウェザーニュース   3/20  3/25(大阪)
日本気象株式会社   3/22  3/25(大阪)
日本気象協会     3/20  3/22
お天気・JAPAN  3/23  3/17

 まだ開花まで1ヶ月以上あるので何とも言えませんが、今週も4月並みの気温が続くと言われているのに、昨年より開花が遅くなるとは思えません。桜の開花に関しては「600度の法則」というのがあります。これは2月1日からの日々の最高気温を足して600度になる頃に開花するというものです。因みにこの法則を昨年の開花日で見てみると僅か1日の誤差でした。今週から来週の最高気温から予想すると2月の最高気温合計は300度を大きく超えそうです。このままの気候が続くと昨年どころか史上最短の開花になることも予想されます。そんなこともあって、私は相変わらず3月20日以降、3パターンぐらいで京都の宿を予約していますが、さてどうなるでしょうか?

・台湾総統選挙・

 私の予想は大外れでしたね。順当に与党候補が当選しました。しかし一時検討された野党候補の一本が成立していたら野党の楽勝でしたね。しかし与党民進党は議員選挙では過半数を取れず、苦しい議会運営が予想されます。


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