■とうとう2類から5類へ■

 5月8日から新型コロナウイルス感染症が2類から5類に引き下げられました。5類への引き下げによって多くのことが変わります。

 1.PCR検査が有料に
 これまで発熱外来あるいは全国の無料検査場におけるPCR検査は無料でしたが、8日からは有料となり2500円前後の料金になるようです。

 2.治療費も有料に
 治療費についても自己負担額が4千円前後となります。10月以降についてはまだはっきり決まっていませんが、もし国からの補助金が無くなるとすると治療費が3万円以上になります。

 3.感染者数の発表が毎日から週間合計に
 これまでのように前日分の感染者数が発表されるのではなく、前の週の合計感染者数が金曜日に発表されることになります。しかも感染者数把握の対象となる医療機関についてはこれまでは全ての医療機関が対象であったのに、今後は指定された一部の医療機関からの報告数だけになります。全数把握に変更された時もそうでしたが、感染者数の把握方法が変更される度に発表される感染者数が実際の感染者数より少なく発表されることになります。感染者数を少なく見せたい政府の意向が働いているのでしょうか?

 4.診療を受けられる医療機関や入院できる病院の増加
 診療を受けられる医療機関や入院できる医療機関が増加する予定ですが、診療報酬の引き下げや病床確保の補助金も減額されるので、実際に診療を受けられる医療機関が増加するかどうかはわかりません。

 5.感染した場合の外出自粛の目安が7日間から5日間へ
 これまで厚労省は発症の翌日から7日間の外出自粛を要請していましたが、今後は個人判断となり一応5日間が推奨となります。これはちょっと怖いですね。外出自粛が個人判断になると濃厚接触者どころか症状の軽い陽性者が街を歩き回ることになります。感染が拡大しないか心配です。

 6.ワクチン接種
 ワクチン接種の取り組みも変わります。8日からは高齢者及び基礎疾患を持つ人のみが接種の対象でしたが、秋以降は全ての人に対する接種も始まります。接種費用も今年度内は無料とされています。

 以上のように新型コロナウイルス感染症の取り扱いが大きく変わりましたが、ウイルスの感染力が弱くなったり弱毒になったわけではありません。WHOのテドロス事務局長もコロナの緊急事態宣言の終了を発表した会見で「各国は国民に新型コロナは心配ないというメッセージを送ってはいけない」とコメントしています。国立感染研の脇田所長を始めとする厚労省の専門部会の有志は第8波を超える第9波に備えるように警鐘を鳴らしています。

 尤も日本のマスク着用状況を見ていると新型コロナウイルス感染症に関して世界で最も慎重な国民であることは間違いありません。現に5月8日のGW明けでも街を行き交う人の多くがマスクを着用しています。私の事務所のある日本橋の店舗では高島屋はじめ、殆どの店舗のスタッフがマスクを着用しています。政府がどれだけ新型コロナウィルス感染症を軽く見せようとしても、相変わらず感染者数が漸増している現実を見て人々は慎重に行動しています。

 ワクチンについても、我が国ではまだまだ集団免疫を獲得したとは言えないので、もし受けられるならば受けておいた方が良いと思います。5月8日から高齢者と基礎疾患のある方に対するワクチン接種が再開されましたが、政府の態度がはっきりしなかったために最後にワクチン接種を受けてから8ヶ月以上経過してしまった高齢者も多いと思います。その間に抗体量も相当下がっていると思いますので今回のワクチン接種が完了するまでは慎重な行動が求められます。また9月からは5歳以上の全ての人がワクチン接種を受けられるようになります。来年の3月までは無料で受けられるので前向きに検討されることをお勧めします。ただ高齢者のワクチン接種ですが、次回はいつから接種を受けられるのか明確に示されていません。結局ワクチン接種が始まってから2年も経つのにどれぐらいの間隔で接種すべきか明確な指針が示されませんでした。情けない話です。来年の4月以降はおそらく自費でのワクチン接種になると思います。私はインフルエンザの予防接種も2回受けるワクチン好きですから、自費になってもワクチン接種を受け続けると思います。




■欧米金融危機再来■

・欧米金融機関の危機・

 米国では幾つもの中堅銀行が苦境に陥っています。3月10日の資産規模全米16位のシリコンバレー銀行の破綻を皮切りに、3月12日には全米29位のシグネチャー銀行、そして5月1日にはファーストリパブリック銀行が破綻しました。これはリーマンショック以降で最大、市場規模で過去2番目の銀行破綻となります。同行に関してはシリコンバレー銀行破綻直後から預金引き出しが止まらず、大手11行が共同で300億ドルを預金しても株価下落が止まらず、結局破綻に追い込まれ、JPモルガン・チェースが買収することになりました。

 欧米でもスイスの超大手金融機関のクレディスイスが行き詰まり、同じスイスの金融大手UBSに買収されることになりました。これだけ聞くとリーマンショック以上の金融危機の再来かと感じますが、全世界的にはそれほどの危機感はありません。

 ただ青山学院の駅伝の原監督が所有していたクレディスイスのAT1債という債券が紙くずになったことで話題になったように、世界の金融商品は多岐に渡っており、AT1債のリスクを理解して購入していなかった投資家も多数いるようです。普通ならば債券は株式よりも安全と考えられていましたが、今回はクレディスイス自体はUBSに買収されて生き残りましたが発行された2兆6000億円ものAT1債が無価値となりました。日本の金融機関でもMUFGモルガンスタンレー証券が1550顧客に対して950億円販売していました。購入した投資家がどれぐらいこの債券のリスクを理解して投資したのか甚だ疑問です。

・債務上限問題・

 個別の金融機関の問題はさておき、直近で最も問題になるのは米国の債務上限問題です。「債務上限」とは法律で定められた米政府が発行できる国債の総額ですが、米国では財政がひっ迫しており、早急に債務上限額の引き上げが必要になっています。ところがバイデン政権と野党共和党の対立が続いており交渉が暗礁に乗り上げています。

 もし債務上限額が引き上げられないと国債の元本償還や利払いに回す資金が不足してデフォルトとなります。これまでは交渉が揉めていても最終的には引き上げが認められると誰もが考えていましたが、野党共和党の強硬派が譲ろうとしません。共和党を率いるマッカーシー下院議長は党を率いる力が不足しています。共和党としても2024年の大統領選挙や上下院議員選挙を控えて安易に妥協出来ない事情があります。

 もし債務上限額の引き上げが認められずデフォルトとなった場合には金融市場の混乱と米国債の格付け引き下げを招きます。経済成長率は引き下げられ、失業率は上昇し、米国経済の停滞を招きます。個別金融機関の危機に加えて債務上限問題を抱える米国金融経済に対して厳しく見守る必要があると思います。 バイデン大統領はこのまま共和党との交渉が不調に終わればG7広島サミットを欠席する可能性に言及しました。そうなると対中国やロシア問題に関して歩調を合わせようとしていたG7各国にとっては大問題です。主役不在のG7となれば米国の権威は失墜します。

 しかし我が国にも米国のような債務上限額の仕組みがあれば世界最悪の国家債務状態に陥らずに済んだはずですが、未だにわが国にこのような制度を導入する機運はありません。財政に関しては米国の方が我が国より遥かに健全な道を歩んでいると思います。




■Artificial Intelligence(人口知能)■

 最近はAIの話題で持ちきりです。何だかAIに任せれば何でも出来ると錯覚されている方も多いようですが、クリエイティブなことはもちろん、現実的なことでも実用化はまだまだ先のような気がします、と思っていたらとんでもない勘違いでした。

 まず話題のChatGPTですが、例えば「平田毅彦とは誰ですか?」と問うと、【日本の政治家であり、自由民主党の衆議院議員です。神奈川県出身で、早稲田大学政治経済学部卒業後、野村證券に入社し、その後独立系証券会社を設立して経営者として成功を収めました。政治家としては、2012年から衆議院議員として活動を始め、現在までに複数の省庁で要職を務めています。経済政策や産業政策などを専門分野とし、日本の成長戦略や企業のグローバル展開を支援する政策提言を行っています。】と大嘘の回答となりました。よくこれだけ作り話が出来るものだと呆れていたら、実はChatGPTはネット検索のツールには全く適していないそうです。だからと言って事実と全く異なる作り話をするのもどうかとは思いますが。

 一方ChatGPTが適しているのはまず文章作成です。誰が何のためにといった要件を詳細に規定すると、本当に役に立つ文章を作成してくれます。特にお詫びの手紙や依頼の手紙を書かせると、その文章の的確さに驚かされます。ChatGPTにはこれどころではない、とてつもない可能性を感じますが、問題はそれを使いこなせる人材の育成です。業界では「プロンプトエンジニア」と呼ばれるAIにメッセージやコマンドで指示を出してコンテンツの開発や改善を行う技術者が大活躍することになると思います。今後はChatGPTに関わらずAIを使いこなす能力が高い人が「能力が高い人」になると思います。

 それとこれは我々日本人にとっては重要なことですがChatGPTのような言語AIを使いこなすには英語力が必要になります。AIの学習能力の多くは殆ど英語で占められているので、英語で質問した方が回答の精度は高いと思われます。

 もっとも今月のメッセージの一部をChatGPTに書いてもらおうと思いましたが全く使い物になりませんでした。私が書いてもらおうとしたのは米国の最新の金融情勢でしたが、【申し訳ありませんが、私は2021年9月までに訓練されたものであり、未来の情勢を予測することはできません。】と回答されてしまいました。最新情報をお届けするのは難しいようです。試しに英語で現在の米国の債務上限問題について問いましたが同じ回答でした。来年の年賀状も書いてもらいましたが、文章はまともでしたが干支がメチャクチャでした。年末までには鍛えなおそうと思います。

 今月のChatGPTに対する私の解説と言うかコメントはあまりに稚拙で恥ずかしくなりましたので、来月までにはもう少しまともなコメントが出来るように勉強しておきます。




■徒然思うこと■

・久しぶりに楽しい海外旅行・

 米国のモニュメントバレーに行って来ました。それほど大きな声でいう話ではありませんが、私は隠れ西部劇ファンです。今どき「西部劇」と言って通じる人がどれぐらいいるでしょうか?ジョン・ウェインを知っている人はいるかも知れませんが、ジョン・フォード監督を知っている人は殆どいないと思います。「駅馬車」を始め「アパッチ砦」「黄色いリボン」「リオグランデの砦」といった西部劇の代表作は殆どこのモニュメントバレーで撮られました。若い方?には「バックトゥザフューチャー3」でデロリアンが砂漠地帯でインディアンに追いかけられるシーンの撮影場所と言えば通じる方も多いかも知れません。

 1枚目の写真は「ジョン・フォードポイント」と言って最も有名なポイントです。崖の先で手を振っているのが私です。モニュメントバレーにはビューと呼ばれる大小の岩山やメサと呼ばれる高さ300メートルほどの大地が点在しています。モニュメントバレー内の唯一のホテルに宿泊するとバルコニーから2枚目の写真のような景色が見られます。モニュメントバレーの景色を絶景と言ってよいのかどうかわかりませんが、まさに大自然の中の非日常的な世界です。やはり観光旅行は観光スポットでの宿泊をお勧めします。夕日と朝日の観光スポットを見ることによってより感動が大きくなると思います。何よりも自分が気に入った景色をいくらでも見ていられます。





 モニュメントバレーやグランドキャニオン一帯は「グランドサークル」と言って10の観光スポットがありますが、3枚目の写真のアンテロープキャニオンもその一つです。実際に見るまではあまり期待していませんでしたが、現物は素晴らしかったです。ここは造形美だけではなく光の映り込みによって見え方が大きく左右されます。幸い私が行った時は好天でしたので光と影の様々な造形を楽しむことが出来ました。しかしガイドの英語が今一つ理解出来なかったの残念でした。



 最後はおなじみのグランドキャニオンです。私は今回は3回目のグランドキャニオンでしたが、年を取るに従って高所恐怖症になったような気がします。以前のように崖っぷちギリギリでの写真撮影が怖くて出来なくなりました。



 本当にお薦めのグランドサークルですがかなりハードな行程となります。特に短めのツアーだとラスベガス出発が明け方どころか午前2時か3時です。約1000キロを1日で走って深夜にラスベガスに戻って来ることになります。ドライバー兼ガイドの人が連続で走ることが出来る距離に制限があるようで、度々休憩も強いられます。ロングドライブですので出来るだけ少人数のツアーにしないと精神的にも疲れます。でも十分行った甲斐がありました。3年ぶりの海外旅行にふさわしい実りある旅行でした。

・4月春ドラマの勝敗・

 どちらが視聴率を取るか話題になっていたキムタクと福山雅治の勝負は福山雅治が勝利しました。キムタクの「教場0」はちょっと雰囲気が暗すぎてとてもホームドラマとは言えません。正月の特別ドラマとしては見応えがありましたが、毎週毎週あの厳しさを見せられると視聴者も疲れてしまうと思います。それに比べて福山雅治の「ラストマン-全盲の捜査官」は安心してみていられる警察ドラマです。共演者も準主演の大泉洋、吉田羊、今田美桜、上川隆也、寺尾聡、永瀬廉と豪華です。それに比べて「教場-0」は準主役がコロコロ変わり、キムタクにやり込められるシーンばかりで爽快感がありません。

 次に弁護士対決ですが私は「弁護士ソドム」の福士蒼汰よりも「正義の天秤」の亀梨和也に軍配を上げたいと思います。法廷における緊張感が福士蒼汰からは感じられません。しかも第2話で早くもソドムの化けの皮が剥がれて来ました。まだ弁護士対決は各話の視聴率が発表されていませんが、春ドラマで平均視聴率が10%を取れそうなのは「ラストマン」と「特捜9」ぐらいしかありません。「特捜9」も相変わらずのメンバーですが、底堅い人気があるようです。尤も冬ドラマでも平均視聴率10%を超えたのは「相棒」だけでした。

 最近のドラマはストーリーを売り物にしているのか、俳優を売り物にしているのかよくわかりませんが、毎クール上位に来るのは医療ものか警察ものです。ただ、警察ものと言っても最近は法廷ものも増えて来ました。恋愛ものや夫婦もので視聴率を稼いだドラマは殆どありません。今回も「私のお嫁くん」や「あなたがしてくれなくでも」「王様に捧ぐ薬指」はお先真っ暗です。

 予想外に検討しているのが「Dr.チョコレート」です。医療ものと警察ものが組み合わさったドラマで、昨年の「東宝シンデレラオーディション」でグランプリを受賞した10歳の白山乃愛ちゃんが手術シーンを熱演しています。脇役が秀逸で小澤征悦、斉藤由貴が好演しています。今のところたいした出番はありませんが、山本耕史と安達祐実も出演しているので今後が楽しみです。何と言っても企画・原案が秋元康さんですから期待出来ます。


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