■岸田総理はいつまで持つか?■

 岸田政権が打ち出した総合経済対策がマスコミの餌食になっています。主要新聞各紙がこぞって責め立てています。当初25兆円と言われた補正予算も積極財政派の安倍派の面々に押し切られてあっという間に4兆円も増額する羽目になりました。財政規律派だったはずの岸田総理の思惑とはかけ離れた23兆円の赤字国債を発行することになりました。29兆円の補正予算の中身を見ても人気取りのものが多く、わが国の経済成長に結びつくようなものは一部に過ぎません。読売新聞の世論調査によると岸田内閣の支持率は過去最低の36%、不支持率は50%に達しました。総合経済対策についても32%の人が「評価しない」としました。

 岸田総理は民の声に押されて自分を見失っているように見えます。どうせ支持率が30%台にまで落ち込んでしまったのですから、もうやけくそになって自分の信条通りの政治に突き進んだら良いと思います。

 しかし、何故もう少し筋の通った人事が出来ないのでしょうか?今回の組閣についてもあれだけ入念な身体検査をしたのに今になって旧統一教会との関係が明らかになる政務官や副大臣がボロボロ出て来るのは総理大臣が自民党議員から嘗められているとしか思えません。最も大きな問題は岸田総理の側近中の側近である木原官房副長官が昨年の衆議院選のおりに旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取っていたことです。身内からこのような人間が出るようでは救いようがありません。

 そして長男を首相秘書官に起用したかと思えば、統一教会問題で更迭した山際前経済再生担当大臣をあっという間に自民党のコロナ対策本部長の役職に起用するという政治センスの無さはどうしようもありません。今後の国会では山際前大臣に続く何人もの大臣が野党の追及のやり玉に上がることは間違いありません。一番ヤバそうなのは寺田総務大臣で、自身が代表を務める政治団体が10年間で2688万円を事務所賃料としてビルの所有者である妻に支出したばかりか、地元後援会の政治資金報告書に記載されている会計責任者が故人だったり、領収書の宛名の偽造の話まで出て来ています。政治資金所管大臣ですから辞任に追い込まれると思います。その他にも秋葉復興大臣が自身の政治団体が母と妻に1400万円の賃料を支払っていた政治資金の還流疑惑、岡田地方創生大臣のポスター掲示板の維持管理名目で政治資金を有権者に支払っていた買収疑惑と突っ込みどころ満載です。

 他にも旧統一教会と政策協定を結んでいた大串消費者担当副大臣と山田外務副大臣の話もありますが、野党も突っ込みどころが多すぎてそこまで手が回らないと思います。取り敢えず寺田総務大臣、次に経済再生担当大臣を更迭された山際氏を4日後に党の役員であるコロナ対策本部長に起用した点が野党にとっては最大の攻撃ポイントになると思います。尤も本来責められるべきは山際氏をコロナ対策本部長に起用した萩生田政務会長ですけどね。

 と言っていたら、9日に葉梨法務大臣が自民党の会合で「法務大臣は死刑のハンコを押す時だけニュースになる地味な役職」と法務大臣色を軽んじる発言をして大問題になっています。こちらは早くも更迭が決まったようです。しかし、それだったら何故岸田総理は11日の国会で続投させると発言したのでしょう?本当に政治センスが無いですね。

 JNNの世論調査によると69%の人が政府が旧統一教会の解散請求すべきと回答しましたが、旧統一教会問題に関しては岸田総理及び自民党の腰が引けて来ました。与党公明党が宗教団体に対する寄付の一律規制に警戒しているからです。宗教団体にとって寄付は貴重な収入源ですから創価学会を母体とする公明党にとっては宗教団体に対する一律の寄付規制は大問題です。尤も世の中全体に宗教団体に対する風当たりが強まる中で与党である公明党がそれに反する発言をするのも憚れるところであり自民党にとっても悩ましいところです。

 また、今国会での成立が危ぶまれていた被害者救済・防止法案を今国会に提出する考えを岸田総理が表明しました。公明党からは全面的な賛同は得られていないようですが、何とか支持率の下落に歯止めをかけたい総理の思いが出たようです。ただ、こうやってそれまで国民の声に対して消極的だった姿勢が支持率が下落するたびに変更されることを国民は必ずしも歓迎しないということを知るべきだと思います。言うことなすことがブレてばかりの総理を国民は信用しません。

 上述のバラマキとでもいうべき総合経済対策を打ち出したのに、岸田政権の物価高騰対策については評価しないが77%という数字となりました。この「評価しない」が「こういうことはやるべきではない」という意味での「評価しない」ならば国民の政治意識にある程度の期待も持てるのですが、単に「これだけでは不十分だから評価しない」というのでは話になりません。

 「物価高騰対策」と言っても物価高の原因はロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー資源高及び大豆や小麦といった穀物高と円安によるものですから政府がどうこう出来るものではありません。ですから政府に物価対策を求めること自体が間違っていると思います。ガソリンや灯油の補助は月額3000億円にもなり、本年だけで3兆円を上回ります。このような巨額の補助金をいつまで続けるつもりでしょうか?そもそもガソリン価格については特別税率分の1ℓ当たり25.1円が上乗せされていて、一定の基準価格以上に値上がりした場合にはトリガー条項が発動されてこの特別税率分が課税されないことになっています。しかし政府は頑としてトリガー条項を発動せず補助金で済まそうとしています。悪政です。

 政府が出来る物価高騰対策は日銀の金融政策に口を出して金利を上げることしかありません。もちろん長い目で見れば円高は単に日米の金利差によるものだけではなく、我が国の低成長が招いたものでもありますのでこれに関しては政府に責任がありますが現政権でどうこう出来るものでもありません。しかし金利を上げれば円高にはなるでしょうが、国債価格は暴落して日銀を始め多くの金融機関が債務超過になって金融危機を招いてしまいます。

 岸田総理の最大の問題点は次の総理候補がいないことです。自民党各派も自派閥から総理を出すことに拘っておらず、強く主張すれば何でも言うことを聞いてくれる岸田総理は各派閥にとって都合が良い総理なのかも知れません。




■感染拡大第8波が始まりました■

 あれよあれよという間に感染拡大が始まりました。先週の感染者数は世界で最多となりました。しばらく前から北海道の感染者数が東京の感染者数を上回る状態が続いていたので「冬が近づいてそろそろかな」と思っていたらあっという間に毎日の感染者数が前週の同日を上回る状態となりました。北海道の感染者は過去最高となり、東京でも感染拡大の目安となる検査陽性率が30%に近づいて来ました。幾つかの研究機関は今月末にも第8波のピークを迎えると予想しています。韓国でも日々の感染者数が6万人を超えましたし、ヨーロッパでも感染者数が増加して来ました。しかしこれから新たな対策を取ることが出来るわけではありません。海外からの入国に際しても何の検査も行われませんし、海外観光客の規制も撤廃されています。もう後戻りは出来ません。ワクチン接種と基本的な感染防止対策を心掛けるしかありません。ただ北海道の感染状況を見ると、やはり換気が大事だということがわかります。これでまたしばらくマスク生活が続くことになってしまいました。

 ワクチンにしても政府は1億2千万人分は確保したと言っていますが、なかなか4回目の接種券が届きません。政府は前回の接種から3ヶ月以上経過すれば接種可能としていますが、7月、8月に接種した人で接種券が届いたという声が聞こえて来ません。9月中旬までに接種した人のワクチンはオミクロン株対応ではありませんから、その人達は僅か2か月前に接種したばかりなのにワクチンの効果があまり期待出来ません。現時点でのオミクロン株対応ワクチンの接種率は全人口の6.8%ですから状況としてはちょっと厳しいですね。

 ところで財務大臣の諮問機関の財政制度等審議会が今後のワクチン接種費用については国費でなく自費で行うべきとの提言を行いました。年間2兆円近いワクチン接種費用をいつまでも国費で負担するわけにはいかないということのようです。国民に対して接種を奨励するのならば国が負担すべきだという意見も尤もです。もしワクチン接種費用が自己負担ということになれば接種者は激減すると思いますが、その時に経済が停滞するほどの感染状況になったら元の木阿弥になってしまいます。難しい判断が求められます。




■インボイス制度の開始に備えて■

 先月のメッセージでインボイス制度に触れましたが、我ながら「わかりにくい説明だな」と思っていたところ非常にわかりやすい解説本を見つけました。私は昔から「難しいことを分かりやすく説明するよりも、簡単なことを難しいことのように話すのが上手い」と言われていましたので他の人に説明を任せることにしました。私が一押しのインボイス制度解説本はこちらです。先月のメッセージで一生懸命わかりやすく説明したつもりでしたが、この本がもう少し早く発売されていたらと思います。

 『インボイスにそなえる本(宝島社)』で探してみてください。何しろインボイス制度の全てに関してわかりやすく書かれているので、制度に関係の無い方もご一読をお勧めします。






■徒然思うこと■

・マイナンバーカードと健康保険証・

 河野デジタル大臣が2024年までにマイナンバーカードと健康保険証の一体化を表明しました。これまで河野太郎氏の実行力に期待して来ましたが、今回ばかりは無理が過ぎると思います。マイナンバーカードの普及率は10月末にやっと50%を超えました。マイナポイントやら色々の対策を講じても6年をかけてやっと5割に過ぎません。岸田総理は定額給付金の不手際からマイナンバーカードの普及に強い意欲を見せていますが、マイナンバーカードの本来の趣旨から外れた強制的な措置は国民の反発を買って挫折すると思います。

 そもそもマイナンバーカードについては導入当初から利便性よりもマイナンバーに対する危機感が煽られた気がします。私は以前から「マイナンバーカードを落としてしまっても何も心配する必要はありませんよ」と言い続けていますがなかなか皆さんに信じて頂けませんでした。総務省も「持ち歩き禁止ではないが、マイナンバーは人に見られないように注意が必要」と言っていました。それが最近になって厚労省が「マイナンバーカードは持ち歩いても大丈夫」との広報を始めました。

 マイナポイントのような姑息な取得奨励策を取らなくても本当にマイナンバーカードの利便性を国民が理解しているならば自主的にカードを取得するはずです。それがきちんと説明出来ないために、あたかも利便性が増すような説明をして保険証としての機能を持たせようとしていますが、受け入れ側の体制もまだまだですし、マイナンバーカードを持ち歩きたくないお年寄りは保険証との一体化を拒否すると思います。日弁連や全労連や全国保険団体連合会が「マイナ保険証」の事実上の取得強制に反対意見を表明しました。

 そもそもマイナンバーカードの暗証番号を記憶している人はどれぐらいいるでしょうか?始めの頃にマイナンバーカードを作ったお年寄りの中にはどこにカードがあるか忘れてしまった人も多いのではないでしょうか?

 なお、マイナンバーカードもマイナ保険証も期限による更新が必要です。紙の健康保険証は期限切れ前に新しい保険証が送られて来ます。お年寄りが自分でカードの更新が出来るとは思えません。きっと河野大臣は制度の撤回に追い込まれると思います。

 また、デジタル庁は2023年5月にアンドロイド携帯へのマイナンバーカード電子証明書の搭載を開始するそうです。これから後期高齢者となる団塊の世代は全国で約600万人です。全人口の4.7%、国民の20人に1人が団塊の世代ということになります。600万人のうちいったいどれだけの人がスマホを使いこなせるでしょうか?現在60代の5人に1人がまだガラケーを使用しています。NTTドコモは2026年3月までガラケーが使えることを公表しています。こういうデータを見ると国が今後どのような動きをするかわかるような気がします。ガラケー下取りの大盤振る舞いが行われると思います。また、スマホに乗り換えた人には当初の1年間は料金無料とか色々なサービスを打ち出してスマホへの転換を進めると思います。

 紙の健康保険証は2024年秋には廃止されることになっています。年寄りの抵抗運動が始まります。

・自転車の交通取り締まり強化の波紋・

 警視庁が10月31日から自転車の交通違反の取り締まりを強化しました。急に取り締まりが厳しくなって戸惑っている方も多いと思います。今回特に取り締まりが強化されたのは「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行せずに歩道を通行」の4つです。
 コロナの感染が拡大して自転車通勤の人が増えたりウーバーイーツのような配達の自転車が増加して自転車が関係する交通事故が増大していることによる措置とのことですが、自転車に関する交通法規の講習をきちんと行わずに徒に道交法を自転車に適用としても無理があるような気もします。

 車を運転する立場からすると大変危険な運転をするのは配達の自転車とママチャリです。配達の自転車は配達時間の制約があるので平気で信号無視をします。また、ママチャリは歩道も車道も構わず自分のペースで走り抜けていって危険を顧みません。信号を守っている人は殆どいません。自転車は軽車両なので信号を守る義務があることをわかっていない人が多過ぎます。

 11月1日放送のNスタでは二子玉川駅前交差点で1時間の定点観測を行った結果、自転車の違反者が44人もいたそうです。最も多かったのは信号無視の23人ですが、次に多かったのがイヤホン使用の19人というのは意外でした。残りの3人は右側通行でした。

 また、それほど重い違反ではないようですが、最も多くみられる違反は歩道の車道側を走行しない違反です。自転車は歩道を走行する時には徐行して歩行者に配慮をしながら車道側を走行しなければなりませんが、どれだけの人がこれを守っているでしょうか?今後取り締まりの際のトラブルが多発すると思います。また、これらの違反が大きく報道されると、これまで自転車に対して大きな声を上げられないでいた歩行者が自転車の運転者を責め立てるケースも多発すると思います。ベルを鳴らしながら歩行者に道を譲らせて我が物顔で走り回っている人は改めたほうが良さそうですね。

 もし自転車による交通違反で赤切符を切られると3週間後に交通裁判所に出頭して事情聴取を受けた後に書類送検され、さらに検察で事実確認をされ起訴か不起訴が決まることになります。起訴されて有罪となれば、たとえ人にケガを負わせなくても犯罪者になってしまうことになります。気を付けましょう。

・GAFAの暴落・

 米国ナスダック市場の株価が急速に値を下げています。NYダウは下落からかなり値を戻していますが、ナスダック銘柄はボロボロです。これは単純に小型株が下落しているのではなく、新興ナスダック市場をけん引してきたGAFA、すなわちGoogle、Apple、Facebook(現メタ)、Amazonを始めとするIT企業が軒並み減益に見舞われているからです。Googleは第3四半期が27%の減益、Amazonも9%の減益、メタは52%の減益、Twitterに至っては赤字と言う状況です。ナスダック銘柄を組み込んだ投信は軒並み価格下落に追い込まれています。Twitterもメタも大量のリストラが計画されています。株価を見ても、メタの株価は年初から3分の1、Amazonの株価は半分になってしまいました。

 我が国でも年末にかけて新規公開市場のフィーバーが予想されます。しかしここは冷静になって世界のマーケットを見つめ直した方が良さそうです。わが国でも新規公開銘柄は圧倒的にIT企業が多数を占めています。IT企業はもちろん時流に乗ったものもありますが、あっという間に業績悪化に見舞われる企業もあります。過去においても株式公開の時期が過去最大の利益で、それからは赤字続きという会社はたくさんあります。昨年の11月から12月にかけても多くの新興企業が上場しました。それらは概ね企業コード4250から4270の銘柄ですが、全ての銘柄が現在の株価が公開直後の高値を大きく下回っています。それどころか半数以上の銘柄が公募価格をも下回っています。該当する14銘柄のうち、現在の株価が公開初値を上回っている銘柄は1銘柄もありません。公開時に買いに入った人は自己責任ですが、新規公開株に当選した人の半数以上が損をするというのは酷すぎます。

 下のチャートは企業コード4256の「サインド」という会社の株価の動きですが、公開にあたっての公募価格が3250円で公開日に3370円を付けましたが、それからずっと下がり続け、現在の株価は1200円台です。新規公開株に応募してこれほど損するケースは珍しいですが、企業コード4250から4270の間の銘柄にはこのような株価の動きを示したものがゴロゴロしています。今は世界的に見て時期的にIT企業に投資する時期ではありません。新規公開株に応じる方もこの点に十分注意して投資されるべきだと思います。私ならこの時期の新規公開株投資は見送ります。




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