■感染拡大第7波■

 東京の感染者数が土日にもかかわらず9000人を突破しました。前の週の同じ日から倍増しています。今週には1万人を突破する勢いです。全国全ての都道府県で前週の同じ曜日を上回って感染者数も5万人を超えました。今年2月5日の過去最高の感染者数10万5千人と比較するとまだ半分ですが、先月下旬からの急増に驚かされます。特に第6波であれだけ日本中で感染が広まったのに、ここに来て熊本、島根、愛媛では過去最多の感染者数を記録しています。感染の急拡大のペースは過去最高と言えるかも知れません。そしてこれから毎年感染者数が大きく増加している夏を迎えます。東京都のモニタリング会議では「このままのペースで感染者数が増加すると8月3日には感染者数が5万人を超える」との見通しを示しました。

 今年は沖縄県で特に感染者数が急増しています。沖縄の多くのホテルは夏休みは予約がいっぱいのようですが、大人数の会食だけは避けてリゾート内だけで過ごして頂きたいと思います。それにしても玉城知事まで感染してしまったのにはビックリです。

 感染者数急増の主たる原因として言われているのが、

①より感染力が強いと言われるオミクロン株BA.5への置き換わり

②未だ国民の4割近くが3回目の接種を完了していない一方、早期に3回目接種を受けた人の中和抗体量が
 減弱して来ている。2回のワクチン接種者に関しては殆ど効果は無くなっている

③エアコンの多用で換気が行われにくくなっている

などが挙げられています。

 具体的には増加原因として挙げられていませんが、人々の感染対策意識もずいぶん低くなっていると思います。車で行楽にでかけてもリスクは全く無いと思いますが、問題は会食です。私は夜は繁華街に出ないのでわかりませんが、昼間の会食が多くなっていると思います。アクリル板も無しに10人近い人がランチしているのをよく見かけて「危険だなあ」と感じます。しかも若者の3回目のワクチン接種率はまだまだで、12~19歳で31.9%、20代では45%に過ぎません。

 BA.5がこれまでのオミクロン株のように重症化しにくいのならば良いのですが、もし重症者が増加するようなことになったら各地の臨時の「野戦病院」を復活させる必要も出て来ると思います。特に大阪府は国際展示場に設置した病床1000床の臨時医療施設を5月末で閉鎖しましたが再開する可能性を考えなければなりません。第6波では重症化する人が多くなかったばかりでなく、人々が「重症化しにくいならば自宅療養したい」と考えたために重症化病床と自宅療養者へのケアのミスマッチが発生してしまいました。しかし理解出来ないのは、何故あれほど自宅療養者がケアを受けられなかった大阪府で日本一(正確には20代と30代に限っては沖縄に次いで)3回目のワクチン接種者が少ないのでしょう?大阪の人は注射嫌いなんでしょうか?

 この感染拡大を少しでも抑えるのに最も有効な手段は、まだ3回目のワクチン接種を受けていない4割の国民が接種を受けることです。但しこの段階まで来ると「何が何でもワクチンを受けた方がいい」とも言えなくなって来ます。ワクチン接種が始まって2年以上経過するのに未だにワクチンの安全性が完全に担保されたわけではありません。政府も徒にワクチン接種を推奨するのではなく、ワクチンの安全性を国民に示す努力もすべきです。ワクチンの安全性に関する議論がタブーとなってはいけません。

 一方全国の医療従事者や高齢者施設の職員から「4回目のワクチンを受けたい」と声が上がっているのに国は「重症化リスクが特段高いわけではないから公費負担は認めない」と要求を退けています。多くのワクチンが期限切れで続々廃棄されている状況なんですから感染リスクの高い人にはどんどん打ってあげれば良いと思います。

 それにしても政府も感染の急拡大が「県民割」の全国版の「全国旅行支援」策を開始してからでなくて良かったですね。今月初めには開始する予定でしたからタッチの差でした。一度支援策を開始したら予約が殺到して簡単には後戻り出来なくなり大混乱となったと思います。

 こんな言い方をすると怒られるかも知れませんが、今回の感染拡大は非常に興味深いです。つい私達は東京の感染者数を基準に考えてしまいますが、全国的に殆ど同じような増加傾向を示します。東京都と島根県や鳥取県とでは行動様式も違うと思いますし、潜在的な感染者数も大きく異なると思うのですが、同じような割合で増加しています。また、日本だけではなく、今回の感染者数の増加は世界的な傾向です。7月3日迄の1週間で世界の新規感染者数は460万人に上り、4週連続で増加しました。特にここ2週間で急速に増加しており、WHOが各国に注意を促しています。何故世界的な流行の動きと、殆ど鎖国状態の島国である日本が似たような動きとなるのか不思議でしょうがありません。

 ところで東京の感染者が急増したので抗原検査キットを買おうとしたら6日の夕方から買い求める人が多くなって品切れ状態です。もしもの時のために見かけられたら購入しておいた方が良いと思います。現在ネットで売られているのは精度の低い「研究用」ですから、あまり役には立ちません。




■徒然思うこと■

・auの通信障害・

 auの86時間に渡る通信障害で被害を被られた方も多かったと思います。通信インフラが私達の生活にどれほど深く関係しているかを実感する出来事でした。しかも単なる電話や通信障害だけで無く、一部の金融機関でのATM障害やアメダスのデータが送れない、各種チケットの予約が取れない等の我々の生活の色々な部分にauの通信システムが利用されていることを知りました。被害を受けたのは3600万ユーザーだけだと思ったら何と全国で26万社もの法人の業務に障害が発生したそうです。まさに通信事業者は社会インフラを担っているということを痛感しました。

 今回の障害において賢い人はフリーWi-Fiスポットに走ったようです。今年の3月でセブンイレブンが全店のフリーWi-Fiスポットをやめてしまったのは残念ですが、大規模商業施設や公共施設ではフリーWi-Fiが使えたはずです。まさかauが使えないからと言って近くにいるドコモのユーザーに「すみません、インターネット共有お願い出来ませんか?」とも言えないと思います。身近なフリーWi-Fiスポットをチェックしておくことも必要ですね。

 また、もし他の通信事業者の携帯をもう1台予備にと考えている方には月々の通信料の安さでは楽天モバイルだと思います。無料プランは無くなってしまいましたが、3G迄なら毎月の料金は1078円ですし、Rakuten Linkを経由すれば国内通話は無料ですし、海外でも2Gまで無料です。

 心配なのは楽天の経営です。この8ヶ月で株価が半分になってしまいました。携帯電話事業の赤字もどんどん増えています。経営が大変だからと無料プランをやめたら、ユーザーが次々に他社に移ってしまってより経営の悪化を招いたそうです。おかげで楽天に1500億円も出資した日本郵政は今期の決算で750億円もの減損損失を計上する羽目になりそうです。

・国の税収が過去最高を更新 一方ロクイチ国債の暴落の再現か・

 令和3年度の国の税収が67兆379億円と2年連続で過去最高を更新しました。一方歳出は36兆円規模のコロナ対策の補正予算もあり、143兆円と巨額のものとなりました。この歳入不足の76兆円に対して国債が57兆6千億円も発行されました。「これでは収支が合わないじゃないか?」という声が聞こえて来そうですが、実は22兆円もの歳出が翌年度に繰り越されています。

 これは健全な財政とは言えません。実は昨年度からも30兆円の繰り越しがあり、国の財政の観点からは好ましいとは言えません。こんなことを続けていると財政規律が甘くなるとともに、今年度の支出が今年度予算から支出されているのか、前年度からの繰り越しの予算で支出されているのかわからなくなってしまいます。与党のどんぶり勘定の予算策定がこのようないい加減な数字に表れています。

 それにしてもプライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字は均衡どころか巨大化するばかりです。また57兆円も発行された国債のうち日銀がどれほど買い入れたかが気になります。何しろ日銀の黒田総裁が自分の任期が切れないうちに手当たり次第に国債を買いまくっている感じです。日銀は6月第3週だけで10兆9千億円の国債を購入しました。前週の2兆3千億円の購入から大幅増です。我が国の長期金利を上昇させないためになりふり構わない動きです。そもそも今年の3月時点で日銀の国債保有高は500兆円を超えています。これは日本の国債発行残高1000兆円の半分にもなります。こうなると我が国の財政は半ば破綻しているように見えます。

 日銀が意地でも長期金利を上昇させないようにしているのは、もし長期金利が上昇したら国の支払う金利が増加することを警戒することもありますが、実は保有する国債価格が暴落して日銀が債務超過に陥るのを恐れてのことではないでしょうか?

 1980年に「ロクイチ国債の大暴落」という出来事がありました。1978年に発行された表面利率6.1%の国債(通称ロクイチ国債)がその後市場金利が高騰し、利回りが12%まで上昇し、額面100円の国債の債券価格が70円台にまで暴落して、ロクイチ国債を大量に保有していた大手銀行に大損害が生じた事件です。ロクイチ国債の暴落は、第2次オイルショックによるインフレ、主要先進国の金利上昇、為替の円安、大量発行される国債への市場の拒絶反応等に対して急激な金融引き締めを行ったことにより発生したと言われています。黒田総裁はもちろんこの出来事をよく知っていますから二の轍を踏みたくないのだと思います。しかし暴落前の状況は現在の日本とそっくりだったことにビックリしてしまいます。

 とうとう為替も1ドル137円台に突入してしまいました。但し安倍元総理が亡くなったことで潮目が変わる可能性があります。大胆な金融緩和はアベノミクスの3本の矢のトップに掲げられた政策です。未だにアベノミクスに拘り続ける安倍元総理が亡くなったことで黒田総裁も後ろ盾を失ったのでこれまでの勢いで超低金利政策を続けられるか疑問です。為替相場に関しては様子見が必要だと思います。

・電力需給逼迫・

 6月末から7月初めに掛けて首都圏の電力需給が逼迫してあわや計画停電に陥るところでした。これは必ずしも電力会社の責任ではなく、例年のように電力供給を真夏に合わせて火力発電所の整備を行っていたところに季節外れの猛暑が来たものですから突然の節電要請となってしまいました。政府のお願いも矛盾していて「熱中症にならないように上手にエアコンを使いながら節電をお願いします」と言われても都民はどうしてよいかわかりません。まず、法人需要の節電だけを呼びかけるべきでした。東京都内の6月の熱中症による救急搬送者が過去最多となりました。猛暑ももちろんですが、国の節電要請も影響していたとしたら政府の責任が問われることになります。

 それにしても国の電力政策が見えて来ません。今後の原油と天然ガスの価格高騰を見据えてどのように我が国の電力を賄って行こうとしているのでしょうか?資源高に乗じて原発再稼働を企む動きから目を離せません。

 しかし政府とは関係なく原子力に頼る動きが出てきています。資源エネルギー庁の資料によると我が国の将来の電源構成に関してこのような図を示しています。それによると現在電力全体の6%を占めている原子力発電の割合を2030年には20~22%にしようとしています。このようなことにいつ国民のコンセンサスが得られたのでしょうか?この図によると再生エネルギーの割合は4割弱にとどまっており、欧米各国と大きな開きがあります。資源エネルギー庁がこのような考え方でいるから我が国の再生エネルギーへの投資の動きが広がらないのだと思います。



・参議院選挙・

 特に実績の無い岸田政権ですが、対抗する野党がパッとしないので結局は与党が過半数を楽々維持することになってしまいました。なんとも味気ない選挙でした。しかし参議院選挙でも文春砲が炸裂しました。投票日直前になって長野県で参議院選挙に自民党から出馬している松山三四六氏が10年以上前に素人の女性と不倫して妊娠させたばかりか中絶にあたって中絶同意書に偽名で署名していたことが報じられました。事実とすれば道義上の問題とは別に有印私文書偽造罪となり選挙どころではなくなる大事件ですが、松山市の事務所では文書でこの事実を認めており選挙直前にてんやわんやとなりました。なお、松山氏は女優の網浜直子さんのご主人だそうです。と言っていたらやはり落選してしまいましたね。

 また今回の参議院選挙とは関係ありませんが、例の女子大生に飲酒させホテルで一緒に過ごしたパパ活疑惑の吉川衆議院議員に関しても大きな問題が報じられています。吉川議員に関しては報道のあと自民党を離党しましたが、その後一切説明責任を果たさず雲隠れしています。しかもその後国会に全く顔を出していないのに夏のボーナスを受け取ったと非難を浴びています。しかし今回の問題は吉川氏のことではありません。吉川氏は比例復活で当選していますので、もし吉川氏が議員を辞職すると自民党比例ブロックの次点候補が当選することになりますが、実はこの次点候補である木造耀子氏が6月17日付けで自民党を離党し比例名簿から削除されているというのです。じつは木造氏には明らかになっては困る何らかの問題を抱えていて、彼女が繰り上がりで当選しては困るという自民党の事情があったそうです。それもあって吉川氏がなかなか議員辞職しなかったのかも知れません。本当に脛に傷のある候補者ばかりです。なお、この木造氏を比例名簿に載せたのが野田聖子議員だそうです。夫が反社会勢力と認定された国会議員ですから、それ絡みかも知れませんね。

 最後に今回の参議院選挙では参政党に非常に興味を覚えて投票しました。参政党って面白い党で、メンバーはたいしたことはないんですが(怒られそうですが)政策的には良いことを言っています。私は3.11の時に度々マスコミに登場して正論を述べていた元中部大学教授の武田邦彦さんがコアメンバーにいたので興味を持って色々調べてみました。よく有楽町の駅前で演説をしていた赤尾敏氏の姪が共同代表を務めていたりして異色の党です。各コアメンバーが全員日本を本当に変えようとしています。それぞれが勝手な理想を述べているので、党としてはどうかと思いますし、ちょっと右翼的なところは気になりますが、もし今回の選挙で比例で1人当選したら面白いことになると思います。ネット上ではこの党はかなり話題になっていて、もしかしたらもしかします。と言っていたら本当に1議席獲得してしまいました。得票数で言えばれいわ新撰組もN党をも上回っています。この勢いで躍進してもらいたいところですが、当分選挙が無いのが残念です。

・安倍元総理凶弾に倒れる・

 突然戦前のような事件が起きました。現職総理ではありませんが、見方によっては現職総理以上に影響力のある政治家がテロに倒れました。私の記憶でもこのような形のテロは1960年に当時の浅沼社会党委員長が日比谷公会堂の壇上で演説中に刺殺された事件以来だと思います。当時私は小学生でしたが、テレビで繰り返しこのニュースが流されていたのを覚えています。

 しかし事件の背後関係もわからないうちから岸田総理を初め各党首が民主主義に対する挑戦だとか言論謀殺だとか政治がらみの事件と決めつけて見当外れの怒りのコメントを出したのには呆れてしまいました。その日の夜には犯人が「母親が特定の団体に多額の寄付をして破産に追い込まれたので絶対許せないと思った」「安倍元総理がその団体と近い関係にあると思って殺そうととした」と供述しているというニュースが流れているのですから、とりあえず「テロは絶対許せない」というコメントに止めておくべきでしたね。日刊ゲンダイに至っては翌日の新聞でまで「民主主義に対する・・・」などと的外れの見出しをつけていて恥ずかしい限りです。

 安倍元総理は私から見ると傲慢で謙虚さを感じない政治家でしたが、ここ何十年かで最も存在力を示した政治家であったことは事実です。諸外国の首脳にとっても最も記憶に残る政治家であったと思います。「安倍元総理の前の総理は誰でしょう?」と聞かれて答えられる欧米諸国の首脳はいるでしょうか?最後の最後まで拘っていたアベノミクスにしても失敗と見る向きは多かったですが、それに対するこだわりと実行力は賞賛に値します。

 安倍元総理を失ったことで自民党右派と安倍氏が率いる清和会は当分混乱に陥ると思います。誰が考えても清和会のナンバー2がいません。他派の草刈場になることはないでしょうが、派としての存在感を示すようになるのには時間がかかると思います。

 事件翌々日投票の参議院選挙では自民党が圧勝しましたが、自民党に対する同情票や「弔い合戦」と言った動きがあったことも否めないと思います。




■□ 夏期休業のお知らせ □■

下記期間を夏期休業とさせていただきます。
8月11日(木)~15日(月)



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