■ロシアのウクライナ侵攻■

 先月予想した通りロシアがウクライナに侵攻しました。オリンピック閉会から4日後の2月24日の侵攻でした。19万人と言われたロシア軍の猛攻にも拘わらずウクライナの首都キエフは未だに陥落を免れています。ロシア軍の侵攻を予想した米国やEU諸国からの軍備の提供を受けているせいかウクライナ軍も善戦しています。とは言え、こうしている間にもいつキエフが陥落してゼレンスキー大統領がロシア軍に捕まるかわかりません。

 しかしこれほど明確な国際法違反行為は過去にありません。自ら主権国家として認めていたウクライナをいきなり攻撃して軍を進めることの異常さに呆れるばかりです。世界中から様々な経済制裁が打ち出されています。通貨規制が行われたことによってルーブルは3割近く下落しました。各格付け会社はロシア国債の格付けを連日引き下げており、デフォルト間近と見ています。ロシア国内で発行されたクレジットカードは国外では使えなくなりましたし、ロシア国外で発行されたクレジットカードはロシア国内で使えなくなりました。毎日のように様々な事業会社が続々とロシアからの撤退を決めています。

 ただ、現時点ではプーチン大統領はゼレンスキー大統領を辞任させ、ロシアの傀儡政権が樹立されるまでウクライナに対する攻撃を緩める気は無いと思います。ロシアでクーデターでも起きてプーチン大統領が失脚しない限りウクライナ侵攻が止まることはないでしょう。

 しかし傀儡政権の元で戦闘状態が収まっても国際社会の経済制裁は継続されるでしょうからロシア経済の先行きは真っ暗です。1998年のアジア危機に端を発したロシアのデフォルト以上の不況がロシア経済を襲うことになると思います。3月16日から格下げされた国債の利息の支払いが始まります。もしこれが行われないような状況になるとロシアの信用はガタ落ちです。

 現在200万人以上のウクライナの人々が他国へ脱出しています。4400万人のウクライナ人のどれぐらいがウクライナから脱出するかわかりませんが、過去最大の難民が生まれることは間違いありません。今後予想される500万人もの難民がヨーロッパ中に避難することは現実的とは思えませんが、ウクライナではロシアの無差別な攻撃で多くの都市のインフラが破壊されてしまいました。多くの住宅、学校、病院も破壊されてしまいました。早期にロシア軍が撤退したとしてもすぐにウクライナ国民が自国に戻れるわけではありません。と言って文明国であるウクライナの国民がシリア難民のように世界中に散らばって住むことになるとは到底思えません。破壊尽くされた国土は誰の手によって復活するのでしょうか?少なくともロシアがお金を出すことは無いと思います。何でも人のせいにして自分では責任を取らない国ですから。

 と言って現在120万人以上のウクライナ国民を受け入れているポーランドにしても恒久的にこれだけの難民を受け入れるだけの経済的状況にあるわけではありません。多くの東欧諸国が大不況に陥る危険性もあります。EU全体でもこれだけの難民を支えられる状況にはありません。やはり米国はどのような手段をとってもロシアのウクライナ侵攻を止めるべきでした。バイデン大統領が早い時期に「ウクライナに米軍は送らない」と明言したことがロシアが安心して兵を進めることになったと思います。バイデン大統領のウクライナ対策は大失敗だったと言えると思います。トランプ大統領だったらこんなことにはならなかったと思います。

 しかしロシアも中国も長期に1人のトップが強大な権力を持ち続けると碌なことになりませんね。今回のことで国際社会が二度とこんなことが起こらないように徹底的にロシアを痛めつけないと中国も「それなら私も」と台湾への挙兵を進めるかも知れません。先月のメッセージに書いたように、中国が、国としての参加が認められていないロシアの大統領をオリンピックの開会式に招待して盛大にもてなしたことがプーチン大統領のウクライナ侵攻を後押ししたことは間違いありません。現に中国はロシアから天然ガスを購入すると表明しました。中国がロシアに手を差し伸べると国際社会の経済制裁の効果が弱められてしまいます。国連の安全保障理事会で拒否権を持つ常任理事国のうち2国がヨーロッパとアジアで問題を起こしています、拒否権をはく奪することは難しいでしょうから、いっそ一度国連を解散して新たな国際組織を作ってはどうでしょう? また、中国に関してはパラリンピックの開会式で驚くような事件が起きました。国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長のスピーチでロシアのウクライナ侵攻に関して平和を訴えるメッセージの部分について中国語の同時通訳が行なわれませんでした。スピーチの最後の「ピース」も翻訳されませんでした。オリパラのスピーチで主催国の判断で一部が通訳されなかったということはありません。「ここまでするか!」という感じです。平和の祭典であるオリパラの趣旨を理解出来ない国がオリパラを主催したことはやはり間違いでした。

・今後の展開・

 今後ロシアの無差別攻撃によって戦闘が終結した場合には、ゼレンスキー大統領は隣国に逃れて亡命政権を樹立することになると思います。一方ウクライナ国内では傀儡政権が樹立されることになります。ただ、ロシア軍の燃料や食料が不足して来ているという話もあり、戦況が膠着状態に陥る可能性も残されています。と言ってロシアがウクライナほどの広大な国を占領して兵站を維持していくことは不可能ですから長期戦は考えにくいと思います。

 落としどころとしてはゼレンスキー大統領が、ロシアが勝手に承認したルガンスク州のルガンスク人民共和国とドネツク州のドネツク人民共和国を認めることと、相当期間ウクライナがNATOに加盟しないことを約束することでしょうか?プーチン大統領がこの程度で納得するかどうかはわかりません。但しロシア国内ではプーチン大統領の支持者からも停戦の声が挙がり始めました。これまでには無かったことです。ロシア国内ではルーブルの下落やクレジットカードの利用制限ばかりでなく、著名な世界的企業が続々とサービスを停止しています。アップルやナイキと言ったメーカーばかりでなく、マクドナルドもスターバックスも営業を停止しています。欧米各国がロシアへの渡航中止勧告を打ち出しています。駐在員の帰国を進める動きも始まっています。こういうことが続くとさすがにロシア国民も自国の行動が世界からどれだけ認められない行動であるか気がつくのではないでしょうか?プーチン大統領を止めることが出来るのはロシア国民だけです。

・ロシアのウクライナ侵攻が日本に与える影響・

 予めわかっていたこととは言え、原油が高騰しています。7日にはブリンケン国務長官のロシアからの原油の輸入禁止発言を受けて1バーレル139ドルまで上昇しました。但し、世界的に需要が高まっているわけではありません。各国が備蓄を取り崩して対応すれば一時的な価格上昇で済むような気がします。いくらロシアの原油生産量か世界に占める割合が世界第3位とは言ってもこれだけ原油価格が上昇してくればサウジアラビア始め中東産油国が増産に走ると思います。

 原油ばかりでなく、農作物についても大きな影響があります。ロシアとウクライナで世界の小麦生産量の3割を占めています。今回の侵攻前にも米国での不作の影響で小麦価格が上昇しスパゲッティやパンの値上がりを招いていましたが、この傾向は更に強くなると思います。原油高や輸入食料品高によて我が国の物価はますます上昇し円安が進むと思いますが、これは我が国とって決して好ましい円安ではありません。円安によって輸出企業の採算性は大幅に上昇すると思いますが、世界的な不況が進む中では我が国経済を牽引するまでは行かないと思います。わが国の景気は大きく悪化に向かうでしょう。

 原油や食料だけではなく、多くの金属や貴金属の価格が暴騰しています。殆どの金属の価格が急上昇していて、最近ではあちらこちらで銅線や水道の蛇口が盗難にあっています。特に金については安全資産として連日の高値更新で1グラム当たり8400円を超えて来ました。以前から金投資はお勧めしていたので、私のアドバイスに従った方は喜ばれていると思います。

 物の価格の高騰ばかりでなく、最も懸念されるのは世界的な金融危機です。ロシア国債の利払い停止によりデフォルトになるばかりでなく、ロシアに対する金融制裁で経済的にダメージを受ける国が数多くあります。ロシアに対する経済制裁によってロシア経済の破綻ばかりでなく、多くの国の経済が破綻することにならないか心配です。




■全国の累計感染者550万人、東京都でも110万人が感染■

 全国の感染者の累計が550万人を超えました。全国ベースの感染率は5%に迫ろうとしています。東京と大阪も間もなく感染率が8%となります。第5波の時の10月からの激減傾向と異なり、第6波については下げ止まりが続いています。3回目のワクチン接種率も未だに25%ですからその効果が感染者数に影響するまでには至っていません。まだまだ警戒が必要だと思います。一方欧米では続々と規制が撤廃されています。米国や英国のように各地の都市では屋外はもちろん、飲食店でもマスクの着用義務が免除されています。これらの対応によって感染状況がどのようになるのか注目です。

 心配なのは東アジア諸国です。我が国の半分の人口の香港では連日5万人以上の感染者が出ています。香港の場合にはワクチン接種は進んでいるとは言っても、中国製のシノバック製のワクチンを使わざるを得ないという特殊事情がありますので効果は期待出来ません。

 隣国の韓国でも連日20万人以上の感染者が出ています。3月9日の大統領選挙の不在者投票で人々が密になり感染が広まったという話もあります。感染者まで投票所に出向いているのにはビックリです。と言っていたら3月8日の感染者数は何と34万人を超えました。韓国の人口は5178万人、日本の人口の43%です。日本の人口に換算すると79万人の感染者となり、世界一深刻な状況です。しかも驚かされることに韓国では3回目のワクチン接種が日本より遙かに進んでいて、何と接種率は62%を超えています。それでもこれだけの感染者が出るというのは理解出来ません。累計の感染者数も今週中には600万人近くなり、あっという間に我が国を追い越してしまいました。但し、1日に20万人以上感染しているのに死者は150人ほどに止まっています。我が国では感染者数は数万人で収まっているのに死者は連日200人を超えています。これはどのように理解すればよいのでしょうか?韓国に比べて我が国の医療水準が低いのでしょうか?違うと思います。これは我が国では潜在的な感染者が公表されている人数より遙かに多いのだと思います。2年前から言われていることですが、日本ではPCR検査数が諸外国と比べて圧倒的に不足しています。国の方針として出来るだけ検査数を少なくして陽性者を抑えたい動きが当初からずっと続いています。感染者数当たりの死者数から逆算すると我が国の感染者数は連日20万人を超えていると思われます。東京都の陽性率が相変わらず連日30%以上となっているのもこの点から頷けます。今でも日本では感染の疑いが強いからといって、簡単に検査は受けられません。濃厚接触者でも症状が無ければ相変わらず検査は行われず「みなし陽性者」として取り扱われています。何とかして感染者数を低く見せたい政府の方針が見え見えです。

 こうやって見ると世界はともかく、我が国では新型コロナウィルスの感染が収まって来たとはとても言える状況ではありません。




■3回目接種■

 3回目のワクチン接種がなかなか進みません。2回目の接種から6ヶ月近く経っても未だに接種券が届かない区もあります。例えば人口70万人で23区中第5位の足立区では2回目の接種から5ヶ月半が経過しても接種券が届いていません。足立区のホームページを見てみると「2回目の接種から6ヶ月近く経ってから接種券をお届けします」と書いてあります。ぎりぎりにならないと接種券を送付しないようです。未だにこのような接種券の送付状況では3回目の接種が進むわけがありません。東京都も厚労省も東京都内で未だにこのような状況があることを認識しているのでしょうか?

 また、岸田総理は「1日100万回」をぶち上げましたが、昨年の夏とは状況が違います。1日の接種者が百数十万回となった昨年の夏は年齢制限は取っ払われて誰でも打つことが出来ました。ところが今は相変わらず厚労省が2回目接種から6ヶ月経過後の接種しか認めていないため、まだまだ3回目の接種を打てない人が沢山います。現時点では昨年の9月半ばまでに2回目の接種を受けた人しか対象者になっていません。対象者の絶対的数が異なるのに「1日100万回」などと発言するから引っ込みがつかなくなります。厚労省では「2月25日と26日に百万回を超えた」と言っていますが、その前々日には40万回しか打たれていません。何日分か先送りして実績を強調するこそくなやり方です。先月私が予測したとおりになりました。

 また3回目の接種に関しては2回の接種を終えた人が全員受けるとは限りません。2回までは日本人の同調性によって受けたかも知れませんが、強い副反応に嫌気をさした人も多いのではないかと思います。様々なアンケートを見てみると2回目の接種を受けた人で「3回目も受けた、必ず受ける」と答えた人は3分の2しかいません。これでは集団免疫体制の構築は期待出来ません。

 未だに「2回目の接種から6ヶ月経過後に3回目の接種」と決めている厚労省の役人の頭の固さに驚かされます。今からでも遅くありませんから私が以前から主張しているように2回目の接種から6ヶ月を経過した人の抗体量を検査してみれば3回目の接種が6ヶ月経過後では遅すぎることに気がつくと思います。このことは第7波の備えにも必要なことです。今後のワクチン接種がどうなるかわかりませんが、次回はきちんとした科学的知見に基づいた接種時期にワクチンを接種出来る状況になって欲しいと思います。

 先月のメッセージで「男性高齢者で飲酒者・喫煙者の接種を優先的に」とお話しましたが、該当する方でまだ3回目のワクチン未接種の方には是非抗体検査を受けて頂いて自分がどれぐらいのリスクを抱えているか自覚して欲しいと思います。




■新大統領によって日韓関係改善に期待■

 やっと日韓関係が改善に進むことになりそうです。投票数日前に野党共闘が実現し、野党候補のユン・ソギュル氏が圧勝するのかと思ったら思いのほか大接戦になりました。与党候補のイ・ジェミョン氏の発言を聞いているとムン・ジェイン大統領以上の過激な反日の発言が多く、「戦後最悪の日韓関係が更に5年も続くのか」と暗い気分になっていましたが、日韓関係の改善を目指す野党候補のユン氏の誕生によって確実に良い方向に向かうと思います。

 しかし今回の大統領選挙は両陣営とも相手候補のスキャンダル攻撃で、とても一国のトップを選ぶ選挙とは思えないほどの品の無い選挙でした。両者の公約も実現性が高くないものが多く、これを有権者は本当に信じているのか不思議でした。特にイ・ジェミョン氏の公約する政策全てを実現するには国家予算の5倍の予算が必要なほどのリップサービスだけの公約でした。こんな嘘つきを信じる人が投票した人の半分近いことは本当に驚きです。まるで後進国の選挙みたいです。

 しかし久しぶりに日韓関係の改善に意欲をみせる候補が当選したことで期待は大きいですが議会はこれまでの与党の「共に民主党」が圧倒的多数を占めているので政策の実現には当分時間が掛かることになりそうです。

 ただ保守党候補だからといって安心は出来ません。パク・クネ前大統領の前の保守党の大統領だったイ・ミョンバク大統領は退任間近に韓国の大統領として初めて竹島に上陸して日韓関係を最悪な状態にしました。ユン・ソギョル氏には在任中一貫して日韓関係の改善に取り組んで欲しいと思います。ユン氏は政治家出身ではなく、検事出身ですからエキセントリックにならずに理性的な政治運営をしてくれることを期待しています。




■徒然思うこと■

・続々「本年の抱負」・

 ボトックス注射によるしわ取りのその後ですが、しわ取りは順調です。しかし2ヶ月近く経過するのに未だに額の皮膚に突っ張り感があります。額のしわが無くなった分、皮膚が下がって来たせいか、まぶたも重くなって来て、朝起きた起きた時に目を開けるのにちょっと力が必要です。これが相当期間継続することになると次回の施術をちょっとためらってしまうかも知れません。

・SMBC日興證券幹部が相場操縦で逮捕・

 3月4日SMBC日興證券の執行役員を含む幹部4人が相場操縦疑惑で金商法違反容疑で逮捕されました。株価操縦とは言わば株価操作ですが、21世紀になっても未だに大手証券がこのようなことを行っていたとはビックリです。

 今回問題になっているのは「ブロックオファー」と言われる取引に関わる不正取引です。「ブロックオファー」は以前は「ブロックトレード」と言って大量注文を市場外で取引する方法としてよく見られた取引です。ある株主が所有する株式を大量に売却したい時に市場で売却すると急激な株価の下落を招いてしまいます。そこで証券会社が仲介して単独あるいは複数の買い手を見つけて市場外で一挙に取引して市場の株価に影響を当てないようにする取引です。

 今回は買い手の一部の投資家が出来るだけ安く買いたいと思って市場で空売りを仕掛けたために、想定外に株価が下落したことに困った証券会社が買い注文を出して株価を市維持しようとした行為が「株価操縦」として摘発されることになりました。本来ならば何の問題も無く終了する取引が、一部の投資家がせこいことを考えたために証券会社の不正を生むことになりました。

 それにしてもずいぶん古典的な不正だと思います。未だにこのようなことが可能な証券取引のシステムが存在していることが驚きです。証券会社も取引所も今では妙な取引が行われた場合にはアラートを鳴らすシステムになっているはずですが、何故今回のケースが問題とならなかったのか不思議でしょうがありません。


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