■出口が見えて来たトンネル■


 菅総理のなりふり構わぬワクチン政策ですが、到底無理と思われていた1日100万回のワクチン接種が現実のものとなって来ました。6月に入って全国のワクチン接種回数は連日60万回を超えています。また突然打ち出された6月21日開始の職域接種で「私達が接種を受けるのはどうせ来年でしょ《という雰囲気だった若い人達の間でも自分たちの接種が身近に感じられるようになりました。早くも夏にはワクチンパスポートの発行という話が出ています。私も2回目の接種が終わりましたが、接種券が2枚貼られた台紙に「予防接種済証(臨時)《と印刷されているだけです。これでは海外旅行は出来そうもありません。

 早くも慶応大学や近畿大学が全学生及び教職員への接種を表明しましたし、企業でもJALやANA、JRといったある意味のエッセンシャルワーカーばかりでなくパナソニックやソフトバンク、楽天といった企業が一斉に手を挙げました。多くの企業がきっと1ヶ月以内に全社員の1回目のワクチン接種を終えてしまうと思います。と言っていたら何と職域接種の受付初日に400件以上の申請があったそうです。さすがに役所と違って企業の行動は早いですね。6月21日からオリンピックが始まる1ヶ月の間で1日100万件近い接種が進めば3000万人の人の1回目の接種が終わります。そうなるとそれまでの1回目の接種終了者2500万人と合計すれば5500万人の人の1回目の接種が終了することになります。また、オリンピックの開会日には今月20日時点で1回目の接種が終了するであろう2500万人は2回目の接種も終わっていることになります。まあ実際にはこれほどうまくはいかないでしょうが5000万人近い人が少なくとも1回目の接種が終了し、そのうち半分の人は2回目の接種が終了していれば世の中の雰囲気はずいぶん変わって来ると思います。

 また新宿区が打ち出した若年層に対する優先的ワクチン接種が話題になっています。新宿区のPCR検査では陽性者の6割を20代から30代が占めるそうですから効果は大きいと思います。本来ならば感染が拡大している地域の感染の可能性が高い世代に優先してワクチン接種を行うのがあるべき姿ですが、地方からの平等分配の強い声に押されてこれまでは叶いませんでした。しかし高齢者接種に目途がつき、ワクチンの供給にも余裕が出て来たことで、本来最もワクチン接種を受けるべき人達へのワクチン接種が行える体制になって来ました。各自治体がワクチン接種のリソースをどこに投入するかの判断が問われています。

 ちょっと気が早い話ですがワクチン接種における最大の課題は如何に接種率を上げるかです。世界で最もワクチン接種が進んだイスラエルでも最初の3ヶ月で1回目の接種は6割近く終了しましたが、その後3ヶ月経っても接種率は僅か数%しか上がっていません。接種が進んだ米国と英国でも接種率は50%で頭打ちで、各国は接種率を上げることに必死です。これが2回目の接種まで終了した人の割合で見ると、イスラエルは59%、米国39%、英国35%に過ぎません。その点我が国で突然打ち出された職域接種は素晴らしい接種方法かも知れません。諸外国の国民性はよくわかりませんが、我が国の国民は非常に同調性が高いですから自分だけ仲間はずれになるのを好みません。日本人に対する営業トークで最も効果があるのは「皆さんこれを購入されていますよ《というトークだそうですから、職場で周りの大多数の人が接種するのに自分だけ拒否するというのは非常に大きなエネルギーを必要とすると思います。結局接種の機会が与えられた人は殆ど接種することになるのではないでしょうか。これに1日100万回の接種が現実となれば、秋にはわが国は世界一の接種率の国になるかも知れません。何しろ海外ではロックダウンに対して暴動が起きているのに、我が国では90%の人が「ワクチン接種後もマスクをつける《と答えています。本当に真面目な国民です。

 一方その生真面目な国民性が軋轢を生むかも知れません。特に大学での接種に関しては打つか打たないかが差別を生むリスクを孕んでいます。多くの大学では「これによって対面授業が再開出来る《としていますが、大学で多くの学生が接種を受けて対面授業が続々と再開した時に少数の未接種者の立場は微妙なものになると思います。単にワクチンに対する上安で打たない人もいるでしょうが体質的に打てない人もいます。これらの人に対する偏見や差別を克朊して行くことが今後の課題です。ワクチン警察が登場しないことを祈ります。  もちろん先が見えている私達高齢者と違って若者達が長い将来を考えた場合、これだけあっという間に出来たワクチンに対する上安を感じるのは当たり前だと思います。そして誰も将来に対する今回のワクチンの安全性を証明出来ないのに接種を強制するわけにはいきません。それでも集団免疫を獲得してコロナ前の世界に戻すには全国民の7割近い人が接種を終了しなくてはならないと言われています。しかもこの7割には接種が認められていない11歳以下の子供達も含まれていますから、12歳以上の人の8割以上の接種が必要となります。これは人々にとって大きなハードルです。政府もこの「国民の7割《ということは口にしない方が良いと思います。まず達成は上可能でしょうから。




■ワクチン接種の問題点■

・ワクチン接種の効果発表・

 千葉大学病院が医療従事者1774人に対するワクチン接種効果を発表しました。これまでで最も大規模な効果発表です。それによりますと99.9%、正確には1人を除いて有効性が確認されたそうです。明るいニュースですね。しかし残念なことに副反応の強い若い女性に比べて高齢の特に男性の抗体量は3割以上低いことが明らかになりました。もちろんそれでもワクチンの効果としては十分ですが高齢者としては何となく上安を感じる値です。

 また、興味深いデータとして、1回目の接種と2回目の接種の間隔を規定の期間より2,3日伸ばすと抗体量が15%近く増えることが報告されました。我が国では殆どの接種会場で3週間後の接種を進められますが。若い方は「その日はちょっと都合が悪いので《とか言って、3週間あるいは4週間後よりちょっと後に接種の予約をすることをお奨めします。

 また毎日飲酒習慣のある人やガン治療を受けている方は特に抗体量が少ないことが認められたそうですからお酒好きの方はちょっと控えた方が良いかも知れません。

 今後は一般の高齢者に対するワクチン接種の効果が続々と発表されるでしょうが、80代90代の高齢者、あるいは何らかの疾患をお持ちの方で抗体量が極端に少ない場合には3回目の接種という話が出て来るかも知れません。



・どうするアストロゼネカのワクチン・

 モデルナのワクチンと同時期に承認されたアストロゼネカのワクチンが宙に浮いています。 ヨーロッパで若い女性の血栓による死亡事例の報告が何人か出たことで未だに何ヶ国かがアストラゼネカのワクチンの使用を制限しています。我が国でも今のところ様子見ですが、それなら何故急いで承認したのか疑問です。承認したのに使わないで海外の支援に使うというのはおかしな話です。確かにファイザーやモデルナのワクチンと比べて効果は低いですが冷蔵庫による保管が可能です。今後もワクチン接種は続くでしょうからロジスティックが困難な僻地や離島用に配布するという使い途もあるでしょうし高齢者専用にしても良いと思います。このまま放置することだけは止めて欲しいものです。

・ワクチンに対する単純な疑問・

 なぜ今回のワクチンは誰も同量なんでしょう?体重40キロのお婆ちゃんも120キロの巨漢の男性も同量のワクチンを接種されますが、何故これで良いのかどこを調べても書いてありません。インフルエンザワクチンでも同じことを感じていましたが、今回のワクチンは日本全体、世界全体の問題ですから誰か教えて欲しいものです。




■高齢者に対するワクチン接種■


 菅総理の「7月末までに高齢者のワクチン接種終了《発言を受けて総務省が全国の自治体に発破?を掛けた結果99%の自治体が「終了する《と回答したそうです。尤も自治体によっては「7月末までに予約が終了する《という眉唾の自治体もあるようですが細かいことに目くじら立てる必要は無く、かなりの割合で高齢者のワクチン接種が終了することは間違いなさそうです。それどころか墨田区や中野区のように6月中に64歳以下の人に対するワクチン接種を開始する自治体まで現れてきました。


・高齢者はワクチンの副反応を心配する必要無し・

 これは私の実体験から申し上げると「副反応が強い《と言われる2回目の接種の後も腕の痛み以外の副反応らしい症状は全く出ませんでした。先月のメッセージでも書きましたように、念のためアセトアミノフェン系の解熱鎮痛剤のカロナールを山ほど用意したばかりか、発熱と倦怠感で全くベッドから動けなくなることを想定してゼリー飲料やポカリスエットやOS1を買い込みベッドの脇に置いておきましたが、接種翌日の朝になっても腕の痛み以外に全く症状が無く、結局会議に出かけてしまいました。流石に容態の急変に備えて自家用車の運転は避けてタクシーを使いましたが何の変調もありませんでした。その翌日も腕の筋肉痛がもう少し軽ければゴルフにでも行けそうな感じでした。既に2回目の接種から10日以上経ちましたが何も起きていません。まだ世の中の高齢者の100人に1人か2人しか2回目の接種が終わった人はいないので断定的なことは言えませんが、私の周りでも何人かの高齢者は2回目の接種が終わりましたが頭痛や倦怠感どころか発熱した人もいません。90歳を過ぎた義母は腕の痛みも無かったそうです。安心して接種を受けて下さい。「2回目の接種の後2,3日は予定を入れないように《とメディアは伝えていますが、高齢者はそんな心配も必要無さそうです。

 これまで2回目のワクチン接種後の副反応の調査結果は海外のデータか我が国では医療従事者のデータしかありませんでした。今後は高齢者の副反応の調査結果が続々出て来るでしょうから世の中の副反応を恐れる雰囲気も安らいで来ると思います。

・高齢者のワクチン接種は医者が移動する方式で・

 ニュースで見ましたが、幾つかの自治体で高齢者のワクチン接種について、高齢者を一列に座らせておいて接種を行うドクターが移動する方式が紹介されていました。確かにホイ、ホイ、ホイという感じでみるみるうちに接種が終了して行きます。この方式だと通常の接種より遙かに多い1時間に60人~120人の接種出来たそうです。こういう方式をどんどん見習って欲しいものです。接種会場で何しろ時間が掛かるのが人の移動です。お年寄りの女性は必ず大きな荷物を抱えて移動します。一般の接種会場では待機場所から予診票確認場所、接種場所、健康観察場所と4ヶ所の移動が必要になります。高齢者を1ヶ所に止めおいて医者が移動すれば移動時間が一切無くなるので移動時間がゼロになります。

・ワクチン接種に関して思わぬ動きをする高齢者・

 しかし高齢者のワクチン接種に関する様々な報道を見ていると高齢者は思いがけない行動を取ることがわかりました。予約の電話が繋がらないと言って直接役所に出向く人や、先着順だというと前の日の夜から並ぶ人など想定しない動きをするお年寄りが沢山います。大手町の大規模接種会場でも予約日に直接足を運ぶ人が何人かいることは想定できましたが、それ以外にも何人ものお年寄りが大手町の接種会場に足を運んでいました。レポーターがマイクを向けると「来週の予約が取れたので下見に来た《と回答した人が殆どでした。

 また、大手町の大規模接種会場では2週目になるとなかなか都民の予約が埋まりませんでした。やはり都内居住の高齢者でも大手町まで足を伸ばすことに二の足を踏んだようです。このような高齢者の慎重さやワクチン接種には積極的でも実際に遠くに足を運んでも受けたいとは思わない非活動性を政府は読めなかったと思います。

 また大手町の大規模接種会場では連日2割近いキャンセルが出ているようです。多い日には7700件の予約のうち1650件のキャンセルがあったそうです。予約はしてみたものの、やはり近くの接種会場で打ちたいと思った人が予想以上に多かったかも知れません。また、これも予想されたことですが、地元の接種予約とのダブりが非常に多いようです。「二重予約にならないように必ずどちらかをキャンセルして下さい《と呼びかけても予約するのにさえ大変だったお年寄りにキャンセルまで期待するのは無理だったのかも知れません。5月24日から31日の間で予約しておいて来なかった人が4000人を超えたそうです。どれだけのワクチンが無駄になったことでしょう?派手にぶち上げた大規模接種会場ですがやはり混乱を巻き起こしてしまいました。




■オリンピック開催は既定事項■

 最近になって分科会の尾身会長が突然東京オリンピックの開催に関して慎重意見を発し始めました。これまで政府の方針に面と向かって反対してこなかった尾身会長が何故突然この時期に「こんな状態の中でオリンピックを開催しようとするのは普通ではない《と言い出したのかはわかりませんがオリンピック開催は既定事項です。開催はもちろん一定の観客を入れて開催されることは間違いないと思います。オリンピックスタジアムの周りでも様々な工事が始まり渋滞が多く見られるようになりました。

 尾身会長の主張する「開催すれば人流が増えて感染が拡大する《という危惧に関して私はそれほど心配していません。私が開催による感染拡大を最も心配しているのは来日する選手やスタッフ、特にスタッフからの感染です。「バブル方式《とは言いますが、選手村や競技会場で多くの選手やスタッフがマスク無しで過ごすのではないかと思います。選手村で感染が広がった場合に組織委員会や各競技団体はどのような措置を執るでしょうか?最終的に上成立となる競技が数多く出るのではないかと私は心配しています。

 来日する選手、スタッフ等の関係者からの感染を防ぐには何しろ水際対策を徹底するしかありません。それぞれの国で発行した陰性証明など当てになりませんから、今回来日したオーストラリアの女子ソフトボールチームに対して行われたように、空港のPCR検査において陰性が確認されるまで入国させないという厳しい措置が必要です。しかし来日する7万8千人の選手及び関係者全員にそのようなことが出来るかどうか日本政府の覚悟が問われています。




■徒然思うこと■

・アフターコロナ相場の始まり・

 日本の経済の動きはK字型とよく言われます。要するに通信系やカーボンニュートラルの貢献する企業や半導体産業のように急激に伸びる企業もあれば、旅行、宿泊、飲食、交通、小売店のようにコロナ禍で先行きの見通せない企業群もあるということです。確かに運輸業やレジャー産業は業績がどん底にあると報じられていますが、それらの企業の株価は既に底を打ったようです。株価は業績に先行して上昇すると言われますが、コロナ禍で大きな被害を受けた企業の株価を見てみると驚くほど持ち直しています。例えば人員整理が報じられているディズニーランドを運営するオリエンタルランドの株価は3回目の緊急事態宣言が延長された5月13日に直近の安値をつけましたが、それから2割近く戻しています。

 同様にJR各社やJALやANAも株価はだいぶ戻しています。特に直近1週間でかなりの戻りとなっているので私と同じように職域接種の話を聞いて株価の上昇に結びつけた人が数多くいたものと思われます。今後は現在以上に業績が悪化する可能性は無く、先行きの回復を期待した買いが入って来るものと思われます。

・最後のビッグニュース・

 笹生優花選手の全米女子オープン優勝のニュースが飛び込んで来ました。と言っても私は幸いWOWOWを契約していたので早朝6時前から手に汗握りながら観戦していました。しかし世界の女子トーナメントの最高峰の全米女子オープンが日本人2人のプレーオフになるとは誰が想像したことでしょう?とは言っても実は今回笹生選手はフィリピン人として参加していました。メディアは「日本人選手全米女子オープンで優勝《と大騒ぎしていますが、報道は正確になされるべきですね。笹生選手は東京オリンピックにもフィリピン代表として参加します。リーダーズボードで笹生選手日の丸を付けていたのは日本のテレビ局だけで、USGAのサイトではフィリピン国旗が付けられていました。

 それにしても松山英樹選手のマスターズトーナメントの優勝、梶谷翼選手のオーガスタナショナル女子アマチュアトーナメント優勝と立て続けの快挙です。その扉を開いたのはやはり2019年の渋野日向子選手の全英女子オープンの優勝だと思います。あれで多くの選手が「私にも出来る《と思ったことと思います。



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