■再び緊急事態宣言■

 昨年の春に続き再び1都3県に対して緊急事態宣言が発出されました。東京都では連日2000人超えの感染者、全国では連日7000人超えの感染者という前回とは比べものにならない事態での緊急事態宣言ですが右のように前回よりも遙かに緩い要請ですので前回ほどの効果が得られるとは到底思えません。企業にはテレワークによって通勤を70%減少させることで人の流れを抑制することを求めておいて、一方映画館や劇場は時間制限にとどめていますし、人数制限するとは言えイベントの開催は制限していません。行動変容を求めるには人々の心に緊張感を与えなくてはなりません。今回の緊急事態宣言はきっとダラダラと延長することになるでしょう。

 これまで総理も知事も事ある毎にマスク、手洗い、3蜜を回避して大人数での会食を避けることを訴えて来ました。しかし感染の中心となる若者達はテレビも見ない、新聞も読まないので危機感は薄く、訴えの効果は殆どありませんでした。しかし「緊急事態宣言」となればさすがに国民全員が認識するでしょうから「えっ、それ何ですか?」というような若者はいなくなるでしょう。そういう意味では単なる要請ではありますが緊急事態宣言の発令は一般的な都道府県の要請よりは効果があるかと思います。

 個人的には現在何が怖いかと言えば、コロナ以外の病気や事故で入院する必要が生じても入院出来るかどうかわからないということです。コロナ専用病床以外は満床ではないはずですが、人的資源がコロナ対応に割かれているので、一般病床についても逼迫しているようです。ですから今はコロナよりも他の重篤な病気や事故に注意する必要があります。コロナに感染していても自発呼吸が出来る人は具合が悪くても入院させてもらえないそうです。

 また今は感染者の急増で入院・療養等調整中の人が異常なペースで増加しています。1月7日現在の東京都の宿泊療養者、自宅療養者と入院・療養等調整中の人数は右の通りです。最新の10日の情報では自宅療養者は7009人に、入院・療養等調整中の人数は6930人に急増しています。

 「調整中」というと調整に時間がかかっているように聞こえますが、実態は、はめ込み先が見つからないということです。要するに東京都では入院はもちろん宿泊療養施設の手当ても行うことが出来ていないということです。しかもそうしている間に毎日2000人を超える新たな感染者が出ているのですからこの調整中の人数は加速度的に増加していくと思われます。それでは調整中の人はどこにいるかと言えばそれは自宅しかありません。そもそも1月10日現在の自宅療養者7009人にしても本来の意味で自宅療養すべき人ではなく、療養施設に入れないから自宅療養しているのだと思います。医療崩壊ではなく、療養崩壊がとっくに始まっているのです。東京都は6月末に用意していると言っていた2800室の療養施設を先走って解除してしまい、7月下旬にパニックに陥りましたが、その後新たな施設の手配を全く行わなかったのでしょうか?この本来療養施設で療養すべき人が自宅療養あるいは自宅待機させられていることが家庭内感染を広げています。

 と言っていたら驚くべきニュースが飛び込んで来ました。神奈川県では市中で発生した感染者の濃厚接触者や感染経路の調査を原則的に行わないことを決めたそうです。要するに陽性者が保健所のコントロールの範囲を超えてしまったと言うことです。今後は感染の疑いのある濃厚接触者が野放しになりますからますます感染が広がることは明らかです。川崎や横浜には近づけなくなりました。また、新型コロナウイルスに感染した高齢者については即入院措置が執られるはずですが、神奈川県は独自のスコア方式をもうけて、高齢者でも無症状や症状が軽い場合には療養措置を執ることにしています。実は東京都よりも神奈川県の方が医療体制が逼迫しているのかも知れません。

 今回の緊急事態宣言の発出にあたって菅総理は「感染を抑えるためなら出来ることは何でもやる」と言いましたが、その裏で諸外国からの外国人の入国停止とともに停止される予定と報道されていた中韓を含む11ヶ国からのビジネス関係者の入国に関しては結局首相の意向で継続されることになりました。これらのビジネスマンから新たな変異種が持ち込まれてから初めて規制すると説明していますが、このような中途半端な姿勢がますます国民の信頼を失います。

 GoToトラベルにしても7月に世論調査で「7月22日からの開始に反対」と回答した人が74%もいたのに強行し「自粛しないで遊び回って良いんだ」という雰囲気を作り上げてしまいました。11月中旬になって感染者が2000人を超え、専門家会議からもGoToトラベルの停止の意見が出てからも菅総理は「GoToトラベルが感染を広げているというエビデンスは無い」と言い続けてキャンペーンを止めませんでした。先手先手で対策を打たなければならなかったのに経済に軸足を置き、総理の後ろ盾である旅行業界会長の二階幹事長の意向に逆らえず全ての対策が後手後手に回ってしまいました。

 以前にも書きましたが、我が国は昨年の春の感染拡大時期には4月の習近平主席の来日を控えるとともに東京オリンピックを控えて積極的な対策を打つことが出来ませんでした。今回は感染旅行業界のドンがバックの経済重視の総理を担いでいることが我が国の不幸です。最近では菅総理の呼び名は「ガースー」でも「令和おじさん」でもなく「後手後手おじさん」です。

 また菅総理を始めとした政府の危機意識の低さが気になります。菅総理は緊急事態宣言発出の会見で「1ヶ月やってみて効果が不十分の場合には対象拡大や期間延長は考えていますか?」と問われて「仮定のことは考えていない」と回答しました。これが本音ならばとんでもないことです。全ての政策にはプランBと最悪のシナリオを考えておかなければなりません。もちろんスタッフはある程度検討しているとは思いますがトップのこの発言はどうかと思います。また菅総理は今回の緊急事態宣言の解除の目安として「レベル3になってから」と発言していますし、西村経済再生担当大臣は「東京都の感染者数が500人まで下がってから」と発言していますが、とても正気の沙汰とは思えません。前回の緊急事態宣言が解除された5月25日の東京都の感染者数が8人だったことを忘れてしまっているのでしょうか?もしこの2人が本当にこんなことを考えているのならばまだ数ヶ月は自粛を強いられると考えた方が良さそうです。

 また、菅総理はテレビ番組の中で要件を満たさなくて失業保険が受けられない非正規の人に手を差し伸べる考えはありますかと問われて「非正規とかパートでも雇用調整助成金はしっかりとやりたいと思っています」と回答しましたが、これはとんでもない勘違いで、質問者は首を切られた非正規雇用者について尋ねているのであって事業者に給付される雇用調整助成金とは何の関係もありません。また雇用調整助成金は雇用保険に加入している事業所と被雇用者が対象で、最も困っている首切りになった非正規雇用者の多くは雇用保険に加入していません。菅総理は雇用調整助成金制度についても悲惨な非正規雇用者の実態についても全く理解していないようです。ずいぶん前に米国大統領候補のジョージ・ブッシュ氏に対してインタビューアーが各国首脳の名前を質問した時に殆ど答えられず阿呆ぶりを露呈しましたが、菅総理に色々なことを質問したら本当に答えられるのかどうか不安になって来ました。

 しかし今回のことで改めて政府と東京都との齟齬が明らかになりました。東京都は国からの度々の飲食店の時短要請の繰り上げに対して「効果に疑問がある。人の流れを変えることが重要だ」として拒んで来ました。しかし陽性者数が1300人を超えて慌てて政府に駆け込み緊急事態宣言発出の要請となりました。もし東京都が12月11日の政府の分科会の提言を受け入れて飲食店の営業時間の午後8時までの時短要請措置をとっていればここまで悲惨なことにはなっていなかったかも知れません。小池都知事の責任は重大です。

 小池都知事のせいで政府は最後の手段として取っておきたかった緊急事態宣言を嫌々発出する羽目になりました。しかも1都3県の知事の要請を受けた形となり、また後手後手との指摘を受けることになりました。尤も12月31日に小池都知事が3県の知事に国に対する緊急事態宣言の発出を共同で要請することを呼び掛けた時にも当初応じたのは埼玉県の大野知事だけだったそうです。次に神奈川県の黒岩知事が乗り、最後に最も消極的だった千葉県の森田知事が合流したといういきさつのようです。ただ今となっては黒岩知事も森田知事も連日の感染者数の最多更新で一緒に要請しておいて良かったと思っているでしょうね。後手後手との指摘も受けないで済みました。

 しかし菅総理がことあるごとに東京都で感染経路不明者の割合が60%で、その殆どが飲食店由来だと専門家の先生達が言っていると発言していますが本当でしょうか?それがわかっていないから感染経路不明だと思いますが、勝手に飲食店由来だと決めつけています。今回の緊急事態宣言の目玉は飲食店の時短ですが、この判断が正しくなかったとしたら、緊急事態宣言は不発に終わると思います。もし正しいのだとしたら時短ではなく全飲食店に休業要請をするべきだと思います。今の時短要請では効果は半分ぐらいでは無いでしょうか。

 また飲食店が感染の元凶のように言われていますが飲食店は何も悪くありません。悪いのは多人数で酔っ払って大騒ぎする飲食店のお客です。1人毎にアクリル板で仕切られた席で感染することなどあり得ません。もしお客さんが納得するならばアクリル板越しの会話で我慢してもらうしかないと思います。そうすることが出来れば多くの飲食店が営業出来ると思います。

 そんなことより阿呆では無いかと思えるのが政府と東京都の会議です。これだけ人と人との接触を避けて仕事はテレワークでと訴えておいて何故自分達の会議は対面で行っているのでしょうか?政府の専門家会議も厚労相のアドバイザリー会議も東京都の専門家会議もテレビで見ている限り全て対面で行われています。特に政府の会議を見ていると全ての参加者の後ろに役所の人間が控えていて二重に密になっています。何故誰も「リモート会議にしよう」と言い出さないのでしょうか?こういうことが人々に訴える力を弱めています。

 日本にとって現時点で最も有効な感染防止対策は菅総理の退陣だと思います。もし今回の緊急事態宣言によって多少感染者が減少すれば早めに緊急事態宣言を解除し、GoToトラベルの再開を目指すでしょうからまた感染が拡大することは明らかです。経済も大事ですがまず感染を抑えなくては経済の回復は期待出来ません。目標とすべきは台湾とニュージーランドです。この1ヶ月で感染者数が10人を超えた日はニュージーランドは3日、台湾は0日です。累計の死者にしてもニュージーランドは25人、台湾は7人です。この両国ではマスク着用の必要はありません。と言ってこの両国が経済的危機に陥ったという話はありません。トップの力量の差だと思います。

 しかし菅総理の言い間違い続出には官邸筋も頭を抱えているようです。「この秋に衆議院を解散する」と言ってしまったり、解散と衆議院議員の任期満了を混同したり、まだ発出していない緊急事態宣言を発出したと言ったり発言がボロボロです。首相の器どころか政治家としての資質が欠けているとしか思えません。知的レベルに問題があり、誠意が伝わる話し方が出来ず、政治家としての迫力がみじんも感じられません。「御しやすい」と思って菅さんを総理に担いだ面々も今頃は頭を抱えていると思います。実は菅総理が総理大臣を続けることが本当の緊急事態かも知れません。

 なお期待されるワクチンですが、文藝春秋2月号に掲載された免疫学の権威の大阪大学の宮坂昌之教授の「コロナワクチン本当に安全か」を読んでみて私はとりあえず接種を見送ろうと思っています。これまでの生ワクチンや不活化ワクチンと異なりメッセンジャーワクチンであるコロナワクチンの特殊性について私が皆さんに説明することは到底無理ですが、私は国産ワクチンの完成を待とうと思います。もしご興味がある方は是非文藝春秋2月号を読まれることをお薦めします。




■おかしなことだらけの時短協力金■

 今回は大盤振る舞いの時短協力金ですが、色々な問題をはらんでいます。言葉は悪いですが今回の緊急事態宣言を喜んでいる飲食店が多いのも事実です。中小の飲食店、特に田舎の飲食店の中には日々の売り上げが数万円という店が数多くあります。そういう店にとっては1日につき6万円というのは多すぎる時短協力金です。こういうお店では緊急事態宣言が延長されても痛くも痒くもありません。通常の利益を上回る協力金が支払われるというのは納得出来ません。本来ならば逸失利益を補填する協力金であるべきですが、各飲食店の逸失利益を計算して支給することなど出来ませんから今回の措置となりました。せめて店舗の面積に応じて協力金を支払うシステムにすべきだったと思います。しかしテレビでインタビューを受けるのは都心部の大型店の経営者ばかりで、皆さん「1日6万円では全く足りません」と発言するシーンしか流されません。飲食店経営者の苦しい窮状を視聴者に伝えたいというテレビ局側の意図が見え見えです。ただの1軒も「いやあ、うちは1日6万円も貰えると普通に営業しているよりよっぽど儲かっちゃうんだよね」と発言する人は登場しません。私達視聴者はテレビで流されるインタビューが全て実態だとは考えてはいけません。

 また政府が最高186万円の支給と強調しているところをみると、今回の協力金は定休日分も支払われるようです。「そんな馬鹿な」と思いますが、いまのところ定休日を除外するとはどこにも書いてありません。土日が休みの都心部の喫茶店のオーナーは喜んでいるでしょうね。オフィス街の居酒屋にしても日曜日に営業している店は殆ど無いでしょうからこちらもおいしい話ですね。

 なおこの時短協力金ですが、本来の営業時間が午後8時までのお店には支給されません。「営業時間を9時までにしておけば良かった!」と地団駄踏んでいる喫茶店のオーナーがいるかも知れませんね。この営業時間についても、午後9時まで営業の店が8時で閉めるのと、夜中の12時まで営業している店が8時に閉めるのとでは意味合いが全く異なります。本当ならばその辺にも配慮して協力金を決めるべきだったとは思いますが、支給の迅速さを優先すると無視するしかなかったと思います。

 また、この点についてはあまり報道されていませんが、今回の緊急事態宣言の目玉である飲食店の時短営業ですが、この協力金については1都3県のうち埼玉県と神奈川県は全ての飲食事業者が対象になりますが、東京都と千葉県では大企業は対象となりません。これは緊急事態宣言の趣旨からすれば全く的外れの措置だと思います。協力金が支給されないのに時短に協力しろというのは無理があります。となると東京都と千葉県の大企業が経営する飲食店の中には8時以降も営業を続ける店が出て来るかも知れません。




■厚顔無恥の安倍前総理■

 12月25日の衆参両院の議員運営委員会の安倍前総理の質疑は聞くに堪えないものでした。「参加費の補填や政治資金収支報告書への不記載は知らなかった。しかし事実に反する国会答弁を繰り返した道義的な責任は重い」と陳謝しました。たったこれだけです。国会における118回も虚偽答弁を繰り返しておいてこれでシャンシャンでは到底納得出来ません。

 安倍氏は「秘書に問うたがご指摘のような事実は無かった」と連発していますが、常識的に考えてニューオータニで会費5000円でパーティーが出来ないことは誰でもわかることです。それを秘書への問いかけで済ませたというのは実は本人は事実を知っていたのだと思います。ただ、これに関しては秘書が証言しなければ誰も証明出来ないので、安倍氏への責任の執らせ方は道義的責任による議員辞職を迫ることしか出来ません。しかし安倍氏に議員辞職の意向は全く無く、それどころか次期衆議院議員選挙に立候補することも言明しています。

 これでは国民の政治不信は深まるばかりです。自民党内からも「議員辞職すべきだ」との声は出てきません。通常国会が開かれても安倍氏の問題が再び大きく取り上げられる状況になるのは期待出来ません。また、仮に今回議員辞職しても次期の選挙に出馬すれば、地元の選挙民は安倍氏を当選させてしまうと思います。結局国会議員に高潔さを求めることは無理だということです。このまま安倍前総理がのさばり続けては菅総理の仕掛けも不発に終わってしまいます。

 一方鶏卵業者アキタフーズから吉川元農林大臣に渡った金額が1500万円を超えると報道されていますが、これは安倍・麻生連合の逆襲と考えられます。これで安倍氏の復活にとどめを刺そうとした菅総理の試みは失敗してしまいました。それどころか自身の総裁選時の選挙対策部長であった吉川元農相の収賄事件問題で傷を負ってしまいました。吉川氏は二階派の事務総長でもあったので、今回の収賄事件の表沙汰は安倍・麻生連合の二階派への反撃と見るのが妥当だと思います。現時点では現職総理側よりも安倍・麻生連合の方が旗色が良さそうです。しかし、これで菅総理の続投の目は消えたと思います。



■徒然思うこと■

 さすがに任期の残りが1週間となってトランプ大統領の続投は無いでしょうが、ネットの情報ですが、近々米国内で大混乱が起きるかも知れません。それが暴動なのかどうかはわかりませんが、トランプ大統領がこのまま引っ込むとも思えません。とりあえず米国株は売りです。また、日経平均も3万円に近づいていますが、過剰流動性だけで上がっている相場ですから、ちょっとしたきっかけで大きく値を下げることも考えられますので注意が必要です。

 私はアドバイザーの助言を受けて売りポジションを持ちました。



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