■緊急事態宣言発令■

 あれよあれよという間に東京を始めとした首都圏が新型コロナウイルスに席巻されてしまいました。1月に屋形船にクラスターが発生した時に上手に立ち回っておけばここまで酷いことにはならなかったかも知れません。世界で中国の次に新型コロナウイルスの患者が次々に発生したわが国にとって不幸だったのは4月の習近平国家主席の来日と、7月に東京オリンピックを控えていたことです。習近平国家主席の訪日を前にしてわが国は中国からの入国規制を積極的に行うことは出来ませんでした。また、東京オリンピックを控えていた我が国は新型コロナウイルスの大規模な感染を内外に示すことが出来ないために対応が控えめになりました。この二つの大きな制約が無ければもっと早く様々な規制を行うことによって現在のような感染経路不明な患者を多数生み出すことは無かったと思います。

 それでも4月7日に待望の緊急事態宣言が発令されました。小池東京都知事や日本医師会や東京都医師会からの度重なる要望に対してやっと発令されたという感じです。但し緊急事態宣言が発令されたのは良いのですが、必ずしも最大限の危機感を感じさせるものではありませんでした。4月7日に緊急事態宣言が発令すると同時に「基本的対処方針」が変更されました。これによると外出自粛は強く求めるが、生活や経済の安定確保に不可欠な業種には、業務を継続するよう求めるとしています。また、西村新型コロナウイルス特別措置法担当大臣は、2週間ほど外出自粛の効果を見定めたうえで営業自粛を求めることにしたいと言い出しました。

 わが国の緊急事態宣言に対して海外からは多くの批判が寄せられています。遅すぎるとか規制に対して罰則が無いから効果が無いとか言われています。ただ、この批判は日本国民に対しては当たらないと思います。それは日本人の倫理性の高さを知らない人間の発言だからです。政府の目指す接触の8割減迄は難しいかも知れませんが、他人との同調性の高い民族ですからおそらく外出規制と同様な効果が期待できると思います。但しそのためにはもっと強い自粛要請が必要です。

・危機意識が一際高い小池都知事・

 東京都の小池都知事は政府よりはるかに危機意識が高かったので、予め政府の緊急事態宣言が発令された場合に東京都が営業自粛を求める業種を公表しましたが、これが政府が考えていた営業自粛のイメージと齟齬があったために混乱を招きました。4月10日の昼現在、当初東京都が掲げた営業の自粛を求める事業者のうち百貨店やホームセンター、理美容室等が対象外となることが明らかになりました。東京都が営業自粛を求めた業種に関して根拠を明確に示さず、国との調整も行わない段階で東京都が公表したのが混乱の原因です。

 理美容室については理解できますが、なぜホームセンターが含まれたのか理解に苦しみます。防災用品を販売するホームセンターの担当者から「ホームセンターはいつ起きるかわからない災害に備えて防災用品を備えている。社会インフラを支えているホームセンターが営業を止める予定はない」と素晴らしいコメントを叩きつけられた東京都の担当者は本当に面目なかったと思います。逆に東京都の自粛要請予定業種に挙げられていた質屋については笑ってしまいました。いったいどういう議論の結果でしょう。それだったら質屋どころか美容室よりもより密接な接客になるネイルサロンは自粛対象に挙げられなかったのでしょう?東京都の役人は高齢者だらけなんでしょうか?

 しかし小池都知事って本当にわかりやすいですね。オリンピックの延期がはっきりするまでは「東京オリンピックは予定通り行われると考えている」としか発言していなかったのが、延期がほぼ確実となった3月23日になって突然「このままだとロックダウン(都市封鎖)が必要になるかも知れない」と大騒ぎを始めました。また25日には3月28日と29日の土日の外出自粛を求めたことが緊急事態宣言発令への大きな引き金となりました。幸い29日は東京は32年ぶりの雪に見舞われたため必然的に外出する人は少なく小池都知事にとっては「恵みの雪」となりました。但し小池都知事がロックダウン(都市封鎖)に言及したものですから世の中に不安な機運を生み出しました。政府は小池知事が「都市封鎖」という絶対実施不可能なことを言い出して人々の危機感を煽ったものですから打ち消しに必死になりました。

 また小池都知事が他県の知事や西村特措法担当大臣との打ち合わせ無しに特定の業種の休業自粛を求める意向を示したり、東京都が休業を自粛した業者に独自に協力金を支給する意向を示したりするものですから休業自粛と補償をセットで考えることを国に要望していた他県の反発を招いています。ただ感染の拡大が顕著な東京都が独自にそのような動きをすることはあっても良いと思います。

 全国知事会では国に対して休業自粛と補償をセットで求めていますが、国は「個別に補償はしない」と突っ張っていますので、このままの状況が続くといつまでも補償無き自粛要請になってしまいます。非常事態宣言の出た府県の知事はこの際当面の財政に目をつぶって、東京都に倣って休業補償を打ち出してはどうでしょうか?それによって県財政が多少傷んでも文句を言う県民はいないと思います。

・PCR検査・

 安倍総理の検査体制が整いもしないのに「1日何件出来るようになりました」という発言は本当に多くの人にとって迷惑な発言だと思います。安倍総理が何をもってPCR検査数が1日2万件になると発言したのかわかりませんが、地域の保健所の臨床検査技師の数は増えていませんし、職員の数も増えていない状況ではこれ以上検査数が増える可能性はありません。但し検査数を増やさないと死者が増える可能性があります。これまで毎日3千件ほどしか検査は行われていませんでしたが、4月7日になっていきなり検査件数が9千件近くになって来ました。この二日間で感染者が急増したのはこの検査数が激増したせいかも知れません。ということは「検査数が少ないから感染者数が少ない」とこれまで言われていたことが正しかったのかも知れません。

 何しろ保健所はPCR検査を本当に嫌がります。私はそれを実感しました。3月24日に私がメンバーのゴルフ場の調理場に感染者が出ました。私は17日と21日にゴルフ場に行っていたものですから、第2次接触者として自主的に1週間自宅待機しました。ゴルフ場側が調理場だけでなくレストランスタッフ全員のPCR検査を求めましたが受け入れられず、調理場で特に感染者と近いポジションで調理をしていた人間1名だけが濃厚接触者として検査を受けることになりました。しかしその濃厚接触者の検査の結果が出るまでに26時間もかかりました。幸い他のスタッフも2週間の自宅待機の間に体調不良となる人間もいなかったので先週末に無事にゴルフ場は再開しました。しかしその間に体調を崩した人間が出たらさらに自粛期間が延びるところでした。被検査者の選択や検査時間を見ていると保健所は検査をできるだけ避けているか、検査結果の判定をできるだけ引き延ばしているとしか思えません。

 現在、世界で最も有望な治療薬として期待されている富士フィルム(正確には買収した富山化学)のアビガンですが、軽症者の治療には効果があるが重傷者には効果が無いと言われています。検査を先延ばしさせている間に助けられる命が助けられなくなってしまうかも知れません。やはり検査数を増やす努力が真っ先に必要です。

 もし緊急事態宣言を出すような事態ならば保健所や医療機関のOBを招集するとか、感染者がいない岩手県、鳥取県に応援を要請するとか大胆な対策が必要だと思います。それを実行しているのがニューヨークのクオモ知事です。OBや他州の医療関係者に救援を要請したり医学生を早めに卒業させて現場に投入したりしてダイナミックな対策を次々に打ち出しています。どうしてわが国ではこのような動きが出来ないのでしょうか?

 これまでわが国では検査すべき人を意識的に少なくしたり検査の結果報告を意図的に遅らせたりしていたのには、もし陽性が判明するとすぐ入院させなくてはならないことが法で定められているからです。厚労省は最近になって、症状の出ていない人と軽症者については自宅あるいは隔離施設で観察することを認めました。これで、これまで軽症者を入院せざるを得なかった病院も自宅(家族の感染の恐れもあるのでやめた方がよいと思いますが)や外部の施設に送り込むことが出来るようになります。現在東京都では東横インへの軽症者及び無症状の感染者の移動が始まりましたし、アパホテルチェーンも受け入れを表明しました。国も緊急事態宣言が発令されたのでオリンピック選手村の利用も検討を始めました。これで保健所も安心して検査数を増やすことが出来るようになるし、医療崩壊もちょっと先延ばし出来るかも知れません。

・外出自粛と休業要請の解釈・

 しかし私たちは外出自粛と休業要請が求められないことをどう解釈すればよいのでしょうか?不要不急以外で外出を自粛すれば殆どの業種は要請しなくても自主的にクローズするはずです。理髪店に髪を切りに行っても自粛を要請されている外出には当たらないということでしょうか?すったもんだしたうえで休業自粛とならなかったゴルフ練習場にも堂々と行ってよいものでしょうか?私個人としてはありがたいですが、何でゴルフ練習場が東京都の休業自粛対象から外れたのが理解出来ません。どう考えてもゴルフの練習が「不要不急」であるとは思えません。しかし飲食店や居酒屋については営業自粛を要請して欲しかったですね。飲食店や居酒屋はこれまで幾つものクラスターとなっています。ゴルフ練習場以上に「不要不急」だと思います。政府の腰が据わっていないことの証だと思います。

・マスク不足は続く・

 東京ではマスクはもちろん未だにトイレットペーパーについても潤沢とは言えない状況が続いています。午後になると殆どのスーパーやドラッグストアの棚からトイレットペーパーが消えます。先月に「物流が滞っているだけで在庫は十分ある」と言われていた話はどうなったのでしょう?

 マスク以上に見かけないのがアルコール消毒液です。店頭で全く姿を見ません。それでも色々な店舗の入り口にアルコール消毒液が置かれていますがあれは本物ですかね?と言っていたらアルコール消毒液製造の大手の花王が今月末から生産量を20倍にすると発表しました。来月にはビオレU消毒液が店頭に並ぶかも知れません。それと私は最近になって体温計が最も手に入りにくいのだと気が付きました。都内のドラッグストアでは「注文も出来ない」と言っています。私は飯能の知人に頼んで購入してもらいました。ところで事務所のデスクの周りを片付けていたら昔使っていた水銀の温度計が出て来ました。ところが若い人達って水銀の体温計を知らないんですね。「ほら、こうやって振って下げるんだよ」と言ってもポカンとされてしまいました。年齢を感じた一コマでした。

 なおマスクについてはネット上ではずいぶん価格が下がって来ました。私の事務所でもストックが乏しくなって来たので試しに購入してみましたが数日で無事に中国製のマスクが届きました。1枚当たりの価格は70円ぐらいしました。私が1月下旬にマスクを注文した時には1枚当たり15円ぐらいでしたからずいぶん値上がりしたような気がしますがこれはある意味当然なことで、マスクの原材料である不織布が中国で高騰しているようです。また、トランプ大統領がマスク着用の効用を認めて世界中でマスクを買いあさっているものですから需給が逼迫しています。ロサンゼルスではマスク着用が義務付けられ罰則まで適用されることになりました。また、感染源となった中国では国内で生産されたマスクを欧米諸国に寄付して「マスク外交」を展開しています。この騒ぎが起きる前に日本のマスクの8割を生産していた中国からの輸入は殆ど期待出来なくなるでしょう。

 「そんな高いマスク買えるか!」と反発されている方もいるかと思いますが、いくら国内生産が増えてもマスクの需給関係は改善しないと思います。国内で正規に販売されるマスクも徐々に価格が上昇していくと思います。早朝からマスクを求める行列に並んで風邪を引いたという笑えない話も聞きます。マスクに関しては以前の価格を忘れて早めに手に入れておいた方が良いと思います。

 しかし嘲笑の嵐となっている布製アベノマスクですが、何で感染者のいない岩手県の山奥の世帯にまでマスクを配るんでしょうね?しかもこの配布にかかる経費は466億円だそうです。「そんなマスクは要らない」という署名運動でもすればよかったですね。



■徒然思うこと■

・東京オリンピック・

 東京オリンピックに関して私が先月予想した通り1年の延期が決まりました。幸い当選したチケットはそのまま使用できることになりそうですが、本当に1年後に開催出来るかどうか疑問です。先月のメッセージでも書きましたが途上国の感染拡大はこれからです。検査もできず医療設備も無い中で不潔な生活を続けていれば感染大爆発は目に見えています。もし途上国で感染大爆発が起きた場合にはそれが終息するまでには今から1年以上かかることを予想すると、とても来年オリンピックが開催できるとは思えません。

 但し、もしオリンピックが中止になったら我が国の経済に与える影響は今回の新型コロナウィルスどころではないと思います。先月も書きましたが間接的には10兆円を超える経済損失になると思います。しかもこれは新型コロナウィルスの被害が世界中であるのに対して、この損失を被るのはわが国だけです。世界における日本の経済的地位が低下することが危惧されます。

・今後品不足が続く商品・

 現在建築業界では中国で生産しているトイレやキッチンが輸入出来ず工事が止まっている現場が数多くあるそうです。小さなお子さんをお持ちの方の必需品であるママチャリもフレーム部分が中国から入ってこないということで市中には在庫が無い状態です。

 今後品不足が予想されるのがビニール傘です。これも中国で生産が進んでいないようで、不要不急の品物ではありますが、将来的に手に入りにくくなるかも知れません。

 次に心配されるのがコンドームです。世界最大のコンドームメーカーであるマレーシアのカトレックス社が世界的なコンドーム不足を警告しています。マレーシアの工場が活動制限令受けて活動停止に追い込まれ、この1ヶ月で1億個の供給減少に見舞われたとのことです。世界のコンドームの5分の1を生産するカレックスの生産停滞は世界的なコンドーム不足を招くと思われます。それに加えて世界の人口の半分以上が外出自粛に追い込まれているので需要が急増しているようです。

 日本のコンドームメーカーと言えばオカモトと相模ゴム工業ですが、相模ゴム工業では生産を主としてマレーシアで行っているようなので少々不安があります。まさかこのメッセージでコンドームの買いだめを推奨することになるとは思いませんでしたが、必要な方は買いだめしておくことをお勧めします。

 なお、これはブラックジョークに属する話になるかも知れませんが、外出自粛とコンドーム不足が続くと来年の世界の出生数が激増するかも知れません。もうずいぶん前の話になりますが1977年にニューヨークで大停電が起きました。わずか数日のことでしたが、その10ヶ月後に出産ラッシュが起きたのは有名な話です。

・許せない人々・

 最近の様々な報道を見ているとどうしても許せない人々がいます。小池都知事の自粛要請の当日、しかも入院患者4人が新型コロナウイルスに感染したと発表した当日に慶応病院の研修医40人が大規模な研修打ち上げパーティーを実施し8名の感染者を出しました。医療従事者として許されることではありません。そのおかげで100人以上の医師が自宅待機となっています。東京の医療を支えるべき慶応病院の医療体制をガタガタにしてくれました。三次会でカラオケまで行って、そのうち十数人は翌朝まで飲み明かしたそうです。彼らの医師免許を取り消してしまっても良いと思います。

 次に許せないのは「おばあちゃんの原宿」として親しまれている巣鴨の地蔵通り商店街に行ったお年寄りです。毎月4日は「お地蔵様」と言って縁日が開かれます。その日は普段と異なり特別な賑わいを見せます。今月の4日の地蔵通りでは露店まで出て賑やかに縁日が開かれました。当日の人出はいつもと全く変わりませんでした。なぜ外出自粛要請が出ている日に多数の高齢者が賑やかな縁日に繰り出したのでしょう?自殺行為です。「若者が特に外出を自粛して」とよく言われますが、意識の低い年寄りの方がもっと問題だと思います。

 最後は安倍総理があれほど4月7日の日に「接触を8割減らしてほしい」と国民に呼びかけたのに、翌日「8割減なんてできるわけない」と嘯いた二階幹事長です。公園での花見の自粛が叫ばれていた3月23日に芸能人を含めて十数人の会食をしてレストランの庭で花見をした昭恵夫人ともども罷免してしまった方が良いと思います。

最後になりますがベストな感染防止対策は1ヶ月、最低でも2週間一切の経済活動を停止してしまうことだと思います。2週間なら国民全員我慢出来るのではないでしょうか?

 

・速報です・

 4月10日14時からの記者会見で小池都知事が休業自粛に協力した業者に対して1事業者あたり50万円を、複数店舗を営業している事業者には100万円を支給することを公表しました。スピーディな判断だと思います。



□営業時間短縮のお知らせ□

 緊急事態宣言発令により、当面の間、営業時間を短縮して業務を行います。
 お客様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解ご協力のほど何卒宜しくお願い致します。

 短縮期間  令和2年4月8日(水)より当面の間
 営業時間  10:30-16:30



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