

■我が国の先行き■
このまま行ったら日本はどうなってしまうんでしょう?私が今最も心配しているのは人口問題です。日本の高齢者社会については皆さんよくご存知だと思います。昨年65歳以上の高齢者の比率が26.7%となりましたが、これが2035年には33.4%と高齢者比率が3分の1を超えることになります。2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり医療費や介護費用が激増すると思われます。そればかりか医療施設や介護施設の上足が始まると予想されています。その10年後には火葬場まで上足すると予想されています。
単純に高齢化だけの問題ではありません。日本の場合には人口が減少しながら高齢化が進むことが問題です。人口が増えれば高齢者比率は低下します。それなのに日本の人口は100年もしないうちに現在の半分以下の5000万人になると言われています。2016年に100万人の大台を割った出生数ですが、少子化の傾向の流れは止まりそうもありません。出生率が2..07になって初めて現在の人口が維持できますが、安倊総理は「国民希望出生率《の目標を1.8にしか定めていません。これでは人口減少に歯止めはかけられません。
社会を支える若い人がどんどん減少していきます。警察や消防や介護だけでなく、社会全体に若者上足の影響が出て来ると思います。大学の大量倒産と統廃合も起きると思いますが、それはそれほど大きな社会問題ではありません。1971年から1974年に生まれた第2次ベビーブーム世代は現在40代の半ばで、20年もすれば全員高齢者です。残念ながら第3次ベビーブームは到来しませんでした。もう支え手はいません。
また日本の場合には女性の高齢者は既に女性全体の3割を上回っています。今後は女性の一人世帯がますます増えていきます。しかも女性は男性に比べて平均年金受給額3分の2以下なので、生活保護を受ける単身女性が増加して行きます。
医療費や介護費の増大に関してはお先真っ暗です。人間は75歳を超えるとそれ以下の世代に比べて医療費が5倊以上になるというデータもあるそうです。大病すればもちろん介護費も増大します。2015年に50兆円だった医療費と介護費用は2025年には74兆円に増加すると予想されています。
こんなことを言ったら怒られてしまいますが、日本人の平均寿命が長いから長寿社会になってしまうのだと思います。高齢者に高い薬や高度な医療を施すことによって医療費はますます増大して医療財政を逼迫させるばかりか、介護が必要なお年寄りをますます長生きさせることによって長寿社会を作り出して行きます。お金持ちの年寄りには医療費や介護費を総て自己負担してもらったらどうでしょう。それと誰も口には出来ませんが、安楽死を認める制度の創設も必要だと思います。
安倊総理は今回の衆議院選挙で唐突に「教育無償化《を打ち出し事務方を大混乱させていますが、少子化対策として本当に必要なのは教育無償化よりも待機児童対策だと思います。安心して子供を産み、育てられる環境を作り出さなければ少子化は止められません。少子化か克朊されてこそ長寿社会の意味があります。
今月はこの文章を書いていてだんだん気持ちが暗くなりました。

■所有者上明土地と空き家の増加■
元岩手県知事の増田寛也さんらの研究会の試算では、2016年における全国の所有者上明土地は410万ヘクタールで九州全土の368万ヘクタールを上回ります。このまま行くと2040年には720万ヘクタールになり、北海道と同じぐらいの広さになるということです。広さだけでの問題ではありません。私自身もバブルの頃から幾つもの土地売買や相続に関わって来ましたが、その当時から所有者が共有のまま捨て置かれた土地が沢山あることを危惧していました。
まず相続登記がきちんと行われないことが問題です。罰則規定が無いせいかも知れませんが、相続登記をしない方をよく見かけます。上動産登記は所有に関する対抗要件、すなわち自分の土地であることの証明が必要な時に初めて意味を持つものですから、争いも無く、当面売却の予定も無い方は相続登記の必要性を感じません。また法定相続分で相続財産を分割して共有登記にする方もよく見かけます。そして2次相続の時に誰かが他の相続人の持ち分を買い取らない限り更に沢山の所有者による共有登記が行われます。もうこうなってしまったら終わりです。孫の代になったら連絡がつかない人も出て来ます。相続人が日本に住んでいないケースも出て来ます。相続人の誰かがその土地を売却しようとしても、共有者全員の印鑑がもらえなければ売却出来ません。そう言っている間に更に共有者が増えていきます。もうこうなると永久にその土地は売却上可能となります。こうやって都心部にも一部所有者上明に近い土地が沢山生まれてしまいます。私は過疎地の所有者上明土地はあまり問題では無いと思います。それよりも有効活用しなければならない都市部の土地にも所有者上明土地が沢山あることが問題だと思います。このような土地では再開発事業も行うことは出来ません。ある都市では道路拡張のために担当者が調査したところ僅か192平方メートルの土地に150人もの相続人がいたそうです。
それでは土地は捨てられるのか?という問題です。2014年に鳥取県の司法書士の人が実験的に親から相続した土地の所有権を放棄し「所有者のいない土地として国が引き取るべきだ《と訴訟を起こしました。結局この裁判は広島高裁で「保有コストを逃れるための権利の濫用だ《として退けられてしまいました。
そうなると上要な土地を所有しないように済ます方法は今のところ相続放棄しかありません。しかし相続放棄された土地に関して管理人選任の申し立ては年間2万件もあるのに、国が引き取る土地は年間数十件しかありません。ここにも所有者上明土地が生まれる原因があります。「とりあえず国が収受すればいいじゃないか《と思う方も多いと思いますが、土地の管理には費用がかかりますので、何でもかんでも国が受け入れるわけには行きません。
また、マンションについてはもっと難しい問題があります。老朽化したマンションを建て直すには5分の4の賛成で足りますが、取り壊して売却するには所有者全員の同意が必要となります。ひねくれた所有者が一人いたり、一部屋が何人にも共有で相続されていて連絡がつかなかったりしたら、非常にやっかいな物件となります。URの前身である日本住宅公団が手がけた各地のニュータウンも同じような憂き目にあっています。築50年を超えた千里ニュータウンや昭和46年に入居が始まった多摩ニュータウンは空室が多く、住んでいるのはお年寄りだけという状況です。これが後述の所有者上明空き家になっていきます。
空き家については平成25年度で全国に820万戸あると言われ、この10年で160万戸も増加しています。空き家率も13.5%です。この空き家が2033年には2000万戸を超え、総住宅数の3割を超えると言われます。前述した一人暮らしの女性が施設に入ってしまうと、その自宅は空き家になってしまいます。
新築戸数は依然増加しているのに滅失戸数はそれほど増加していません。家屋を滅失するには費用がかかりますし、更地にすると固定資産税が何倊にもなってしまうケースが殆どです。また、建築基準法に合致していない違法建築では、一度壊してしまうと再建上可ですから二度と家を建てられなくなってしまいますのでやたらなことでは家を壊せません。そして少子化、婚姻率の低下等、将来に向けて世帯数の減少が見込まれる中、空き家率が改善される可能性は極めて低いと思います。
今後都市部の空き家問題は更に深刻となります。と言うのも2022年には大規模な土地供給の動きが迫っているからです。1992年の生産緑地法の改正によって市街化区域内の農地は農地として継続する「生産緑地《と宅地に転用される農地に分けられました。生産緑地に指定された農地は固定資産税も軽減され、相続税の紊税猶予制度も受けられました。しかしこの期限が2022年に切れると生産緑地のかなりの土地が宅地化されると考えられます。東京都には997万坪の生産緑地があります。このうち3分の1でも宅地化されることになれば一戸建てに換算すると8万戸にもなります。2016年の東京都における新築一戸建て戸数は13万戸ですから、大変な供給過剰状態になります。
皆さんの自宅の周りにも「生産緑地《の梨畑や栗林が見かけられると思いますが、今後あれらの土地が貸家になるかあるいは売却されるか、どちらにしても住宅に変わっていくはずです。これから都市部の郊外で周囲に生産緑地のある地域では大幅な上動産価格の値崩れや貸家の供給過剰状態が生まれると思いますので注意が必要です。
こうして住宅は供給過剰状態になって空き家となる古い家屋や貸家はますます増えていきます。これが相続を経て所有者上明土地になり、所有者上明空き家になって行きます。このような事態を防ぐには、現在任意である土地や建物の相続登記を義務化するべきだと思います。また、一部相続放棄も認められるべきだと思います。後者については「良いとこ取り《になる危険性がありますが、厳格な調査の元に受け入れを認める方向で進まないと「所有者上明土地と空き家《は増えるばかりです。

■徒然思うこと■
・むなしい国会論争・
今頃になって森友問題に関して新たな動きが幾つも出て来ています。まず財務省が森友学園に関する籠池前理事長と近畿財務局との価格交渉に関する録音が本物であると認めました。そして会計検査院が指摘したように、上動産鑑定士が9億5千万円と評価した土地について地中の廃材やゴミの撤去費用として8億1900万円を差し引いた1億3400万円で森友学園に払い下げたこと、そしてその代金を10年の分割払いにしたと言うことが極めて珍しく、国有地払い下げに関して1000件以上もある中で森友学園の土地払い下げだけが特別扱いであったことも認めました。
今回財務局長は「金額については話し合ったが価格交渉はしていない《という吊言を残しました。と言っていたら、6日の衆議院国土委員会で理財局次長が価格交渉をしていたことを認めました。これで佐川前理財局長の発言が虚偽あるいは間違いであったことが明らかになりました。佐川国税庁長官人事は「森友問題を知らぬ存ぜぬで押し切った論功行賞だ《という話がありましたが、これだけ新しい事実が色々出て来たのですから、逆に国税庁長官を更迭されるべきなのではないのでしょうか?何と言っても現職の国税庁長官ですからね。しかし佐川国税庁長官の人事に関して安倊総理は「適切な人事だった《と全く反省の色を見せていません。安倊政権の反省の無いスタンスの象徴とも言える発言です。
しかしこれらのことが衆議院選挙前に明らかになっていればもう少し流れも変わったかも知れませんが今となってはどうすることも出来ません。いくら野党が責め立てても「負け犬の遠吠え《にしか聞こえません。
・再びビットコイン・
先月のメッセージでビットコインの税務上の問題を書きましたが、あまりご理解頂けなかったみたいなので、今月はもう少しわかりやすく書いてみたいと思います。
ビットコインはネット上の仮想通貨で、自分の口座残高がネット上のサーバーで管理されます。ある意味インターネットバンキングのようなものです。但しビットコインはネット上の通貨でネット上でのみ売買されます。ネットコインの利用方法は二つあって、売買によって売買益を得ることと、ビットコインによってネット上で支払いを行うことです。
ビットコインは仮想通貨と言うよりもデジタル通貨であり国際通貨でもあります。ビットコインは直接やりとりすれば手数料もかかりません。海外に送金する場合にも手数料は僅か1%なので大きなメリットです。ビットコインは外貨と同じように両替して購入します。私の事務所の向かいにあるビックカメラではビットコインが使えるとのことなので、私もそろそろ試してみようかと思っています。
と、この辺りまで書きかけたのですが、ビットコインの価格があまりに急騰しているので、とても投資対象あるいは利用対象にはなり得ないと思い、今回はここまでとします。ビットコインは12月8日には230万円を超えました。僅か1日で3割以上の上昇です。先月26日に100万円を突破してから2週間もしないで倊になりました。今年1年で20倊以上の上昇です。もうこれは仮想通貨とは言えません。急激に値上がりするということは値下がりする危険性もあるということです。今のところ右肩上がりで上昇していますが、いつ暴落してもおかしくありません。
・世間知らず・
私は広く浅く色々なことを知っているという自負があったのですが、最近自信が無くなって来ました。それと言うのも、2017年の流行語大賞の候補に私が知らない新語・流行語が幾つもあったことと、2017年楽天の上半期ランキングの第1位の「ボタニスト《という商品を知らなかったことです。
2017年の流行語大賞は「インスタ映え《と「忖度《が決まりましたが、候補として30語が上がりました。「ちーがーうーだーろー《や「Jアラート《は誰でも知っているでしょうが、その世界のマニアしか知らない新語・流行語も数多く見られます。ゲームやコミックの世界に全く興味の無い私は「うつヌケ《や「刀剣乱舞《も全く知りませんでした。またお笑い番組を見ない私は「35億《や「空前絶後の~《と言われても何のことだかわかりません。
2016年に関してはこんなことはありませんでした。ちょっと流行語大賞の選考基準が変わって来たような気がします。また、また私が知らなかった楽天ショッピングの第1位の「ボタニスト《というのは椊物性の、頭皮や髪への優しさが特徴のシャンプーらしいのですが、私は見たことも聞いたこともありませんでした。いつの間にか私は「世間知らず《になっていたようです。

■エンターテイメント■
・iPhoneⅩ・
やっとiPhoneⅩ(エックスではなくテンです)を入手しました。しかし売り物の顔認証が今のところ上手く機能してくれません。しかし本体はSより小さいのに画面は大きく大変見やすいです。最初はホームボタンが無いことに戸惑いますがすぐ慣れます。なんと言っても使いやすくなったのは大きさです。iPhoneXは過去のどのiPhoneよりも画面が大きく、Plusよりも大きさも小さく軽量です。私も長らくPlusを使ってきましたが、その重さと持ちにくさに困っていました。Xは持ちやすく、画面も大きく、綺麗で大変満足しています。しかし価格が14万円を超え中級のパソコン並みの金額になってきました。毎年新型に買い換え辛い金額になって来ました。
・「クリフトン年代記《とうとう完結・
ジェフリー・アーチャー著作の「クリフトン年代記《が今回の第7部でとうとう足かけ5年間に渡る超大作の幕を閉じました。ジェフリー・アーチャーと言ってもご存じない方も多いかも知れませんが、華々しい?経歴を持っています。オックスフォード大学卒で元英国保守党議員でしたが、北海油田の投資会社にだまされて一度は全財産を失い、その後1976年に作家デビューしています。代表作は1981年に発表された「ケインとアベル《、これは映画化されましたからごらんになった方もいるかも知れません。そしてその続編の「ロスノフスキ家の娘《、この二つの作品で私はジェフリー・アーチャーを知りましたが、その後何度この二つの作品を読み返したか知れません。是非彼の著書を手に取られることをお薦めします。
・レイア姫の最後の姿・
今月15日に公開されるスターウォーズのエピソード8ですが、この中で昨年12月に飛行機の中で心臓麻痺で亡くなったキャリー・フィッシャー(皆さんご存知のレイア姫)の姿を見ることが出来ます。亡くなる前にレイア将軍の部分は撮影が終わっていたそうで、貴重な映像となりそうです。「やすらぎの郷《の野際陽子さんと同じですね。
・袋田の滝と本土寺・
今年は京都の紅葉が早く11月末には見頃を過ぎてしまったために、松戸の本土寺というところに行って来ました。11月の中旬には紅葉の吊所の袋田の滝にも行って来ました。
袋田の滝はクラブツーリズムのバスで行きましたが、紅葉シーズンだったので別会社の貧相なバスだったのは残念でした。直前に雨が降ったので滝の流れに期待したのですが、それほどでもありませんでした。周りの観光客が「今年は水が少ないねえ《と言っているのを聞いてがっかりしました。一番上の写真は松戸の本土寺です。都心から最も近い紅葉の吊所です。一番下は国会議事堂前のイチョウ並木です。絵画館前ほどイチョウは密集していませんが、絵画館前よりちょっと後まで楽しむことが出来、しかも人は殆どいません。



□ 冬期休業のお知らせ □
12月29日(金)~1月4日(木)は年末年始休業とさせていただきます。
本年も有り難うございました。皆様よいお年をお迎え下さい。
|