■都議会議員選挙■

 直前の予想では自民党が第一党の予想もあった都議会議員選挙ですが、都民ファーストの会の圧勝となりました。自民党は23議席しか取れないという大惨敗です。しかも開票開始直後に都民ファーストの会はいきなり30人近い当確が出たのに対し、自民党の当確が出始めたのは午後10時過ぎ、当選した議員も下位当選が殆どです。

 開票が始まる前から安倍総理は麻生副総理や菅官房長官と四谷のフランス料理店で、都議選後を話し合っていたそうですが、党首が開票を見届けずに延命を相談しているとはみっともない話です。安倍政権幹部は「地方選なので国政とは無関係」と発言して、国政への影響を最小限に止めたいとしていますがそう簡単には行きそうもありません。辞任した下村都連会長は、自分のことを含めて国会における自民党批判が大敗の理由とコメントしています。

 自民党の戦犯として「THIS」の4人が挙げられています。Tは「このハゲー」の豊田真由子議員、Hは加計学園問題の核心文書で名前の出た萩生田官房副長官、Iはもちろん自衛隊法違反の応援演説を行った稲田防衛大臣、Sは選挙直前ばかりでなく、選挙後も様々な加計学園との関係を指摘される下村元文科大臣です。特に下村元文科大臣は稲田防衛大臣と同様に法律違反(受託収賄罪と政治資金規正法違反)の恐れもあります。

 しかし発言から僅か数時間で罷免が決まった今村復興大臣の「あの地震が東北で良かった」と言う発言は確かに不謹慎でしたが、別に法律違反の発言ではありませんでした。今回の稲田防衛大臣の「自衛隊として投票をお願いする」という発言は明確に自衛隊の政治活動を禁止している自衛隊法違反です。それを意地でもかばい続ける安倍総理の異常さが際だっています。当の稲田大臣は「誤解を招くような発言をして申し訳ない」の一点張りですが、どう考えても明確に法律違反の発言であって誤解の招きようがありません。しかも稲田大臣は弁護士資格を持つ法律家です。

 そう言っていたら、またもや稲田大臣が問題を起こしました。九州豪雨の救助の真っ最中の6日の昼に70分間防衛省を不在にしたことが明らかになりました。この間のうち40分間は政務三役が全員防衛省に不在であることが明らかになりました。しかし稲田大臣ってこれだけ自分の発言に非難が集まっている時に、防衛省を不在にして勉強会に出席したら後で問題になることがわからないのでしょうか?それほどのお馬鹿を大臣にしてしまった安倍総理の責任は本当に重大です。それと稲田大臣に関しては6月に大変な問題発言をしています。米軍普天間基地の辺野古移設を巡り「米軍との調整が整わなければ普天間基地が返還されないこともあり得る」と発言をしたのです。これまで政府は「辺野古移設が普天間返還の唯一の道」として辺野古移設を強行して来ましたが、必ずしもこの件に関して米軍の確約が取れていないことが明らかになりました。この件に関しては沖縄県議会では大問題になったようですが、何故かマスコミはこの問題を大きく扱いませんでした。どこからか要請があったのでしょうか?安倍総理は8月初めの内閣改造で稲田大臣を交代させるつもりのようですが、これでは意味がありません。問題発言をしたときに即座に罷免しなかったことが問題になっているのにそのことを全く理解していません。

 それと先月の通常国会の会期末に共謀罪法案が参議院の法務委員会の採決を経ずに中間報告で参議院本会議で強行採決された理由が少しわかってきました。何故あれほど無理なことをしたのかと思ったら、参議院の法務委員会の委員長は公明党の議員だったんですね。法務委員会で強行採決が行われたら公明党の委員長が野党の議員に囲まれてもみくちゃになるシーンがテレビで何回も映ることになってしまうのでそれを避けたのではないかという説が最近になって報じられて、私もなるほどと納得しました。やはり自民党は公明党にはずいぶん気を遣ってるんですね。

 しかしその公明党も都議会議員選挙の結果を受けてずいぶん発言が変わって来ました。これまで改憲論議に異を挟まなかった公明党の山口委員長が「政権の仕事は改憲ではない」と言い出しました。公明党にこう言われては自民党もこれまでのようなペースで改憲論議を進めることは出来なくなるでしょう。

 ところでわざわざ都議選告示日の6月23日から政府が北朝鮮からのミサイルに対する避難方法をテレビ、新聞を通じて広報を始めました。問題は何故都議選告示日に始めたかです。特に何の兆候も無い段階での政府広報は都議選から目をそらすためとしか考えられません。4億円もの税金を使ってずいぶんセコいことをするものです。しかもこれはマスコミの報道にも影響を与えたようで、それ以降筆の矛先が鈍るマスコミが出て来ました。これもある意味で報道に対する圧力です。

 これから大変なのは小池都知事です。安倍政権の「魔の2回生」と同じように、議員経験の無い新議員を何十人も抱えることになってしまいました。たいした身体検査も行われずに公認候補としてしまったので、これから週刊誌ネタになる新議員も沢山出てくると思います。当選に舞い上がって血迷った発言をする議員も多いと思います。有権者の怒りが吹き出る前に新議員の教育を終わらせて欲しいものです。しかしいくら何でも49勝1敗というのは異常に勝ち過ぎですね。もし濃霧のため欠航となった八丈島への飛行機が飛んで小池都知事が応援演説に入ることが出来ていたら全勝だったかも知れません。

 しかし都民及び現在安倍政権に不支持を表明している国民も、それほど安倍自民党にお灸をすえたいのならば、2014年の衆議院選挙の時に気がついて欲しかったと思います。2012年の衆議院選挙は民主党のあまりにめちゃくちゃな政権運営に怒った選挙民が自民党を大勝させたのはわかりますが、2014年選挙はアベノミクスの行き詰まりから、安倍総理が公約としていた消費税率アップの先送りを宣言して、勝手に「これに対して信を問う」とかいう訳のわからないお題目で行われた選挙でした。それなのに公示前と殆ど同じ議席を与えてしまって圧倒的多数を維持させてしまったために、安倍政権はそれまでの2年間の政治の対する反省が全くなく強引に政治を進めてしまったのです。本当に反省すべきは2014年選挙で自民党に投票した人達です。

 しかし最近の安倍総理の発言を聞いていると、だいぶ精神的に参っているように見えます。6月24日にはこれまでの「獣医学部の設置は空白地に1校に限る」という告示を根底から覆して「地域に関係なく2校でも3校でも作る」と言い出しました。総理の周辺も火消しに大わらわかと思ったら、菅官房長官が「これまでの規制が明確でない。総ての分野で規制緩和を進める」と言い出し始めました。これに収まらないのが獣医師会です。需給関係を全く無視した唐突な発言に開いた口がふさがりません。切れやすい安倍総理の面目躍如の発言でした。投票日前日の秋葉原では「安倍やめろ」のシュプレヒコールにまともにとりあって「こんな人達に負けるわけにはいかない」と感情的に発言して自民党内部からも批判を浴びています。

 書店で平積みになっている元通産官僚の古賀茂明氏の「日本中枢の狂謀」という本を読みました。400頁を超えるボリュームのハードカバー本ですが本当に読み応えがありました。この本を読まれた方は安倍政権がどれほど酷い政権であるかと言うことに愕然とすると思います。特に酷いのが報道規制です。以前のメッセージでも書きましたが、安倍総理は自分に対する非難を一切認めようとしません。安倍総理に対する非難が起きないように総理の周囲は予めマスコミサイドに依頼したり、圧力を加えたりして表沙汰にならないようにします。その結果が「国境なき記者団」が発表した「報道の自由度ランキング」のG7最下位です。先進国中でも72位です。民主党政権時代は10位から20位だったのに対してあまりに対照的です。古賀氏のニュースステーション降板問題にしても菅官房長官がテレビ朝日の社長に電話をかけたとかいう話も当時出たことを思い出します。高市総務大臣も過去に放送法による放送ストップについて言及しました。これらのことが相まって、報道側も官邸の意向を受けたり、忖度したりした結果が読売新聞の前川前次官のガールズバー報道になったと考えられます。マスコミのこの政府に逆らえない姿勢を何とかしないとこの国に未来はありません。



■ふるさと納税■

 総務省が平成28年度のふるさと納税の寄付金額を公表しました。前年度比72%増の2844億円です。これは栃木県や群馬県の地方税収に匹敵する金額だそうです。件数も75%増の1271万件です。そろそろ歯止めを考えないと都市部の自治体は大変なことになります。総務省が返礼率の引き下げや資産性の高い品目をお礼の品とすることの自粛を求めていますが、「2千円の負担で米も野菜ももらいたい放題」に味をしめた納税者の動きは止めようがありません。

 29年度のふるさと納税による東京23区の減収額は200億円にも上る見込みです。とりわけ世田谷区のふるさと納税による税源流出額は本年度は30億円にも上ると予想されています。この額は100人規模の保育園の30ヶ所分の年間運営費にあたるそうです。ふるさと納税による税収減は国の地方交付税で75%補填されますが、東京23区は不交付団体なので全く補填されません。私も一時は「ふるさと納税をやらない人の顔が見たい」と推奨していましたが都市部の自治体の減収減がこれほどの規模になると、そろそろ税収減の大きい自治体に対する配慮が必要になると思います。

 とは言え、1件でもふるさと納税を利用すれば、その後の寄付に関しては全額補填されると考えると、意味のある寄付はやはり行いたいと思います。寄付する方も寄付される方もWINWINの関係にあるような寄付を心がけたいと思います。私は最近はふるさと納税でゴルフプレー券をお礼の品として貰うことが多くなりました。プレー券は所属するゴルフ場の従業員のイベントの商品として提供すると皆さん喜んでくれます。自分自身のためだけでなく、世のため人のためのふるさと納税を考えてみたいと思います。



■何で年金電話が有料なのか?■

 私も老齢年金を受け取れる年齢になりましたので「日本年金機構」から年金請求書が届きました。とりあえず受け取る必要も無いので繰り下げの手続きをしようと思ったら、手続きを説明してもらうのにずいぶん時間がかかりましたが、その電話代は有料なんですよね。年金請求手続きの質問の電話から料金を取らなくてもよいと思いますけどね。

 ところで本来の年金受け取り開始年齢は65歳ですが、60歳からの繰り上げ受給を申請すると30%減額されてしまいます。逆に70歳からの繰り下げの手続きを取ると、70歳になってからの受給額が65歳から受け取るのと比べて42%増額されます。この損得を具体的に年齢で考えてみると、81歳以上長生きする人は70歳からの繰り下げを選択した方が有利になります。逆に60歳からの繰り上げ受給をした人は76歳8ヶ月以上長生きすると、本来の受給額に比べて不利になってしまいます。要するに自分が何歳まで生きるかによって有利不利が決まるわけです。しかし数理的にはこの優劣ははっきりしています。男性60歳の平均余命は23.55年(平成27年簡易生命表より)ですから、平均的に83歳以上まで生きるわけです。それなら繰り上げ受給どころか、繰り下げ受給しなければ絶対に損ということになります。本来の65歳で考えた場合の平均余命は約20年ですから、繰り下げて受け取った方が明らかに得です。もちろん「早く受け取って使いたい」とか「年金制度に不安があって、将来本当にもらえるかどうかわからないから早めに受け取りたい」という方はそうされれば良いと思います。但し、老齢年金は数少ないインフレ連動の終身年金です。現在存命の方で高齢の方は月額30万円以上の年金を受け取られていると思いますが、将来安泰間違い無しです。

 ところで「トンチン」という言葉をご存知でしょうか?これはイタリア人のロレンツォ・トンティと言う人が17世紀に考案した年金商品で、生き残った人が全員が掛けた掛け金を分配して受け取るという商品です。長生きすればするほど特になりますが、早めに亡くなると支払った掛け金は戻って来ません。

 超高齢者社会で問題となるのが「長寿リスク」です。現在販売されている生命保険会社の年金商品は殆どが有期年金です。以前は保険会社は終身年金も販売していましたが、今は見かけなくなってしまいました。有期年金ですと75歳とか80歳になると氏年金の支給を打ち切られてしまいます。上述したように長生きした時に最も頼りになるのは公的年金ですが、現在の年金制度の下では長生きした場合にはそれだけでは生活していけません。そこでまだ現役で働かれている方にお薦めしたいのがトンチン年金です。長生きすればするほど得になります。本来のトンチン年金ならばもし年金受け取りが始まるまでに死亡したら支払った掛け金は全く戻って来ませんが、現在我が国で販売されているトンチン年金は7割ぐらいの金額が戻って来てしまいます。長寿リスクのカバーという観点からは、そんな中途半端なことはせずに、年金受け取り開始前に死亡した場合には全くの掛け捨てにしてしまえば良いと思うのですが、それだと売れない(売れ行きが悪い)そうです。我が国では昔から掛け捨て保険が不人気で、何かしらの戻りが無い商品は人気が無いそうです。そのため現在販売されている商品は本来のトンチン年金よりパフォーマンスが低くなっているのが残念です。具体的な数字に関しては来月ご説明します。



■徒然思うこと■

・フランス政府が突然2040年迄にガソリン車とディーゼル車の販売を禁止すると発表しました。マクロン政権の大英断です。大企業とのしがらみが無いと、いきなりこういう動きが出来るんですね。感動しました。中国も電気自動車に大きく舵を切りましたし、HV車や高度な技術を用いた水素自動車に傾注していて、電気自動車に関しては出遅れた感のあるトヨタ自動車の今後の動きに注目です。

・試験的試みだった飛行機内のインターネット接続が現実に始まりました。今回の沖縄旅行では機内でストレス無くインターネット利用を楽しめました。先月の香港往復では3時間で13ドルと有料でしたが、国内線は無料です。ただWi-Fiビデオプログラムは期待するとがっかりします。私も「忍びの国」が見られるのかと期待しましたが、僅か10分のスペシャルムービーでした。しかし画期的ですよね。インターネットに繋がるということはインターネット電話がかけられるということです。機内でCAに「電話をかけても良いんですか?」と訊いたら「機内での通話はご遠慮頂いています」と言われてしまいました。ということは機内で通話が出来るということでしょうね。凄いなあ。

・今年の株主総会シーズンで画期的だったのは黒田電気の株主総会で、旧村上ファンドの村上世彰氏が率いる投資会社レノの株主提案が通ったことでしょう。これまで過去に村上氏側は何年も提案を退けられていました。しかし今年はこれまでのように何人もの取締役選任を迫るのではなく、元通商産業省官僚の安延氏一人に絞ったことで他の株主の十数%も村上氏達の株主提案に乗ったと思われます。それにしても敵対的株主の提案が通るとは驚きです。

・滅多にないことですが、7月10日に国会で閉会中審査が行われました。これは加計学園問題を受けて衆議院文部科学委員会と内閣委員会の両委員会の連合審査のかたちで行われました。特に目新しい事実は出て来ませんでしたが、都議選までは全く閉会中審査に応じる気を見せていなかった内閣が、都議選の自民党の圧倒的敗北を受けて開催に同意したことが印象的です。これからは内閣も自民党も多少は謙虚になるかも知れません。しかし文科省の高等教育局長が萩生田官房副長官と面談したことは認めても会談の内容については「記憶にありません」と押し通したことは腹立たしいですね。文書にまで残っているあんな大事な会談の内容を全く記憶していないほどの頭だったら文科省の役人を務めさせるわけには行きませんね。



■エンターテイメント■

 もう終わったものをご紹介してもあまり意味が無いとは思いますが、大変素晴らしかったので六本木ヒルズの森アーツセンターで開催された「エルミタージュ美術館展」をご紹介しましょう。18世紀後半に、ロシア帝国を支配したエカテリーナ女帝が収集したサンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館から移送した85点の作品が鑑賞できました。

 また、これも東京公演は終わってしまいましたが、藤原歌劇団のオペラ「ノルマ」は本当に素晴らしかったです。ソプラノの女王デ・ヴィーアの日本最後の公演と銘打たれた公演で、お相手は以前から皆さんにご紹介している笛田博明です。ラストシーンでは涙する人も見かけられ久しぶりに感動的なオペラでした。

 九州が大雨に襲われている時に不謹慎にも沖縄の夏を楽しんで来てしまいました。今回沖の島と関連遺産群が世界遺産に登録されることになりましたが、沖縄にも沢山の世界遺産やパワースポットあります。


世界遺産の〈今帰仁城跡〉



パワースポットの〈古宇利島のハートロック〉



同じくパワースポットの〈備瀬のワルミ〉




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