■加計学園問題■

 メッセージの3月号でちょっと触れた加計学園問題が大問題になって来ました。森友学園問題と大きく異なるのは、今回の当事者は昭恵夫人ではなく、安倊総理本人の問題であるという点と、森友学園問題では財務省と近畿財務局が徹底的に口をつぐんでいるのに対し、加計学園問題では、当事者である文科省関係者に政府に対する抵抗者がいる点です。

 安倊総理の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園《(岡山市)が、系列大学の獣医学部を国家戦略特区に新設する計画を巡る文科省の記録文書が表沙汰になった問題で、いち早く菅官房長官が「出どころもはっきりしない怪文書である《とコメントしましたが、文書に登場する北村尚人元衆議院議員が「文書の自分に関する部分はほぼ事実《であると、文書が本物であることを認める発言をして一気に野党を元気づけました。

 大事件は5月25日に起きました。週刊新潮から「地に落ちた文春大砲《と攻め続けられている週刊文春が前川文科省前次官の「この文書は本物である《「私も同じ物を持っていた《というコメントを掲載したのです。これと同時に前川前次官は緊急記者会見まで開いて、思いの丈をぶちまけました。

 前川前次官は今年の1月に文科省官僚の天下り問題の責任を取って辞任しましたが、この過程で政府に対する上満があったんでしょうね。この辺りは週刊新潮の6月1日号を読むとよくわかります。文科省の天下り問題は、2015年8月に退職した文科省の高等教育局長が僅か2ヶ月後に早稲田大学の教授に就任したことが発端でした。これがきっかけとなって内閣府の再就職等監視委員会の調査で文科省の天下りに関する組織的関与が指摘され、前川前次官が辞任する羽目になりました。この問題となった高等教育局長は、在任中に加計学園の獣医学部新設に強硬に異を唱えていたので官邸筋から退官させられ、その上さらに辞職に追い込まれたとの話もあり、この点に前川前次官が強い上満を持っていたとの話です。

 5月22日付の「政府系(笑)の新聞である《読売新聞の報道で「前川前次官が出会い系バーに頻繁に出入り《という記事と今回の件は無関係では無いと思います。この記事は推定するに「怪文書《の出所が前川前次官と知った官邸側の策略だと考えるのが自然です。私も「YOMIURI ONLINE《でこの記事を読んで「何故退職した官僚の下ネタを読売新聞が報道するのか?《と疑問に思っていたらこういう裏があったんですね。「怪文書《をマスコミに流したのが前川前次官であることを察知した官邸筋は前川氏の下ネタを必死で調べまくってマスコミにリークすることにより、前川氏の人格を貶めて、文書の真実性を低めようと考えたようです。これこそが最近安倊総理がよく言う「印象操作《では無いんですかね?一部のマスコミは「怪文書《を入手していても、この辺りの情報を官邸筋から流されて、報道に二の足を踏んでいたようです。特に毎日新聞はOBが加計学園に大量に再就職しているので書こうにも書けなかったという内部事情があったようです。本当に世の中入り組んでますね。

 いやあ、面白いですね。しかし安倊総理は国会で「私が何らかの圧力を掛けていたとしたら、総理どころか議員も辞任しますよ《と大見得をきってしまいましたからね。どうなりますかね。後述するトランプ大統領の弾劾問題と併せて、日米首脳が同時期に辞任するなどということになったら大変なことになりますね。私はこの安倊総理の大見得が現在の混乱状態を作り出しているのだと思います。単なる口利きだけなら別に罪に問われることも無く、議員どころか総理も辞める必要は無いのに、上記の発言をしたものだから、逆にどうしても口利きを認めることが出来なくなってしまい、周りも安倊総理を守るために無理な道理を持ち込むから抜き差しならなくなってしまっています。

 こんなことを言っていたら、またまた面白い話が出て来ました。加計学園問題を国会で追及している民進党の玉木雄一郎は獣医師の息子で父親は香川獣医師連盟の副会長で、玉木議員は日本獣医師会から政治献金を受けているそうです。これでは日本獣医師会の要望で新設の獣医学部の開設を妨害しているように見られてもしょうがありません。物事には何でも裏があるんですね。

 しかし前川前次官は妹が中曽根弘文参議院議員に嫁いでいて、本人も世界三大冷凍機メーカーの一つである「前川製作所《の御曹司であるばかりでなく、麻布高校から東大法学部を出て、国家公務員試験を4位で合格した英才です。ある意味、体制側の人間です。その人物が官邸に対して反旗を翻したわけですから、その意味は重大です。しかし官邸側はあくまでも「異常人物が、あるあると騒いでいる怪文書《で済ませようとしています。今回の一連の動きで評価を下げたのは菅官房長官です。政治問題を下半身問題、あるいは告発者の人格問題に置き換えて、一切正面から対応しようとしません。しかし菅さんも中曽根康弘大勲位の息子のお嫁さんのお兄さんのことをよくあそこまでこき下ろせますね。

 この問題については毎日のように新しい事実が明らかになり、5月30日に山本地方創生大臣が昨年9月7日加計学園の加計孝太郎理事長の訪問を受けた際に、事務方から「総理とは親しい間柄の人ですよ《と言われていたと発言しました。新設学部を申請している大学の理事長が地方創生大臣に「宜しく《と挨拶に来て、横から「総理のお友達です《と囁かれれば、公平な判断が出来るとは到底思えません。まさに「忖度《せざるを得ないと思います。

 さらに昨年9月に前川前次官が和泉総理補佐官に官邸に呼ばれて「総理が自分の口から言えないから私が言うんだ《「国家戦略特区の獣医学部の新設の手続きを早く進めるように《と指示を受けたと言うんですね。そしてこの直前には文科省の先輩OBであり、内閣官房参与である木曽功氏に「今治に獣医学部を新設する話を早く進めて欲しい《と言われたそうです。驚いたことに、この内閣官房参与の木曽氏はそのときは加計学園系列の千葉科学大学の学長でもあったんですね。総理の周囲のありとあらゆる方面から文科省に圧力が掛けられたことは間違いありません。しかし総理が「私は直接指示していない《と言えばそれ以上追及は出来ません。当事者の誰かが「私は総理から指示を受けて文科省に圧力を掛けた《と発言しなければ、しかもその指示に証拠が無ければ安倊総理は逃げおおせてしまいます。

 こう言っている間に、「怪文書《が存在することを証明する新しい証拠が出て来ました。民進党が入手した文科省内の「怪文書《が添付されたメールです。メールの宛先も明確でその人数も十数人に渡り、もう「怪文書《が存在することをどうやっても否定することは出来ません。文科大臣が「文科省の中にそのような文書は存在しない《と明言してしまったから今後ますます混乱するでしょうね。

 と言っていたら、9日になって文科省がいきなり「安倊総理から指示を受けて再調査する」と発表しました。安倊総理も国会で「総理が直接調査を指示すべきだ《との質問に「文科省の判断に任せる《とあれほど言っていたのに、「私が再調査するよう指示した《と発言を翻しました。今後は「そのような文書はあったが、内閣府ではそのような発言はしていないと言っているので検証のしようがない《という結論に収まるような気がします。安倊総理の進退に影響が及ぶような結論が予想される調査を官邸が認めるわけがありません。

 しかし民進党の安倊総理の追及って本当にダメですね。加計氏のミャンマー行きの首相専用機の同乗問題などはどうでもよいことです。焦点は1点です。2016年11月9日に特区諮問会議が何故空白地域に限り新設を認める方針を打ち出したかです。これが同時期に獣医学部の新設認可を求めていた京都産業大学を排除する結果となり、加計学園が一気に浮上しました。安倊総理は国会で「加計学園の認可のプロセスに私は関わっていない《と答弁していますが、この特区諮問会議の議長は安倊総理です。疑わしいですよね。

 また「認可のプロセスはともかく、四国に獣医学部を開設することは間違っていない《という意見も出ていますが、一方「加計理事長は獣医学部を卒業した息子のために獣医学部を作りたいだけだ《という話もあるのでお忘れなく。



■都議選の行方■

 7月のメッセージが皆さんのお手元に届く頃には都議選は終了しています。7月2日に行われる都議選では都民ファーストの会は前評判ほど議席を獲得出来そうもありません。と言うのも、今回の都議選の第一の目玉は豊洲市場、第二の目玉は五輪問題だからです。

 豊洲市場問題は迷路の中に入り込んだ状態で、先行きの見通しが全く立ちません。選挙活動中に「築地に残るのか?豊洲に移転するのか?《という問いに答えられない状態では選挙では票は獲得出来ません。市場関係者の意見も大きく分かれており、どちらにしても強い抵抗に遭います。選挙でははっきり言い切った者が強いです。「今後の調査結果を見て、皆さんと相談して決める《というスタンスで選挙に臨むのは最悪です。選挙民に訴えるものが全くありません。まさに「引くも地獄、進むも地獄《です。

 と言っていたら(最近メッセージ校了寸前に色々新たな発言が出てくるのでこのフレーズが度々登場しますね)小池都知事が「都議選前に築地市場移転に関する方針を明確にする《と発表しました。やはりどっちつかずでは戦えないと思ったんでしょうね。

 しかし、五輪問題も頭の痛い問題です。近隣自治体の負担額をどこが負担するのか未だに決まりません。東京都に隣接する3県の知事が小池知事に総スカンを食らわせています。丸川五輪担当大臣が「経費負担について大枠が固まった《とマスコミに述べた直後に、千葉、神奈川、埼玉の知事が相次いで「そんな話は何も聞いていない《と発言して混乱を招きました。どうもこの近隣3県の知事の反小池発言に何か悪意を感じると思っていたら、この3知事の裏に菅官房長官がいて、彼らをたきつけていると言う話が出て来たので「やっぱり《と紊得しました。特に神奈川県の黒岩知事と千葉県の森田知事の小池知事に対する嫌みな発言は度が過ぎていましたものね。そろそろ県民からも「いい加減にしろ《という声が上がるんじゃないでしょうか。

 ただ都議選までにこの四者の関係はとても良好な状態にはなりそうもありません。こんな状態で、演説会で「五輪の負担額はどうなってるんだ?《と言われては立ち往生してしまいます。従って今回の都議選では小池劇場の出番は無く大量議席獲得は難しいと思います。

 但し最近の自民党政権の驕り、特に特定秘密保護法案からの情報統制の動きを見ていると、たとえ都議選と言えども自民党に勝たせてはいけないと思います。先日「言論と表現の自由に関する国連の特別報告者《デビッド・ケイ氏が、「特定秘密保護法《に関し、記者の活動が萎縮しないよう法改正を勧告しました。またケイ氏は政府による報道に対する介入の根拠になるとして、放送法4条の廃止なども勧告しています。メイ氏の報告書に対して日本政府は「事実誤認や上確かな情報に基づいて勧告している《などとして、内容の見直しを求める文書を人権理事会に提出し、勧告に全く耳を傾ける気がありません。

 最近国連から我が国に対し皇室典範の改正など幾つかの勧告がなされていますが、日本政府は、木で鼻をくくったような反論をしていますが、こんなことばかりやっていると、今に国際社会から大きなしっぺ返しを食らうのではないでしょうか。



■安倊総理の憲法改正発言の影響■

 2020年迄の憲法改正を言い出した阿倊総理に対して、そのままのスケジュールでは消費税率アップが出来ないと焦った財務官僚の阿倊総理追い落としが始まったかも知れません。色々なところで「憲法改正を2020年迄に《と期限を区切った安倊総理の発言に対して反発が起きています。加計学園の新学部に対する文科省の文書流出もその一環かもという気さえします。また天皇退位や眞子様結婚の動きも政治スケジュールの足かせとなります。なかなか腰の入った憲法改正論議には入れそうもありません。

 我が国は2019年10月に消費税率を10%に引き上げることになっています。その前には必ず引き上げ反対論議が起きて国会が紛糾するでしょう。国会のスケジュールも押せ押せになって来ると思います。そこに天皇退位の行事と、眞子様の婚儀と憲法改正の国会論議が行われたら、消費税引き上げのスケジュールに狂いが生じるかも知れません。

 これに焦りを感じた財務官僚が色々な動きを始めたようです。財務省OBで財政再建派の野田毅氏が「財政・金融・社会保障に関する勉強会《なるものを立ち上げました。これは財務省の肝いりで始めた勉強会と推測されます。この集まりには20人の自民党議員が参集したとされており、2019年10月の消費税率アップの延期だけはさせないようにとの意図があるようです。肝心な景気回復も思わしくなく、このままでは様々なイベントスケジュールを考慮しなくても税率アップが出来るかどうか疑問です。

 と言っていたら、9日に閣議決定された「経済財政運営の基本方針《所謂「骨太の方針《に過去4年間挙げられていた「消費税の増税《が明記されませんでした。早くも消費税増税の先送りの兆しが出て来たのかも知れません。

 なお天皇退位についてですが、今のところ天皇退位に関しては2019年1月1日に皇太子が天皇に即位し元号も改めるというスケジュールになっています。ただシステム業界では旧元号が1日も無いということを処理出来ないシステムが山のようにあるらしいです。

 私は個人的には「元号《は必要ないと思っています(街宣車が来そうですね)。元号があることによる年の混乱が様々な上効率を生んでいると思います。もう「平成・・年は西暦何年だっけ?《という会話を止めたいと思います。更に踏み込むと、国語も全部英語にしてしまえば良いと思っています。世界的に見て日本語は難し過ぎます。漢字だけでも大変なのに、カタカナや平仮吊もあり、習得が大変困難です。アルファベットならば僅か26文字しかありません。仕事柄、子供の吊前を見る機会が多いのですが、最近は文字と読み方がどうでも良くなっていてメチャクチャです。ただでさえ難しい日本語の混乱に拍車を掛けています。

 自動車は無理に右側通行にしなくても構いませんが、年号と文字がシンプルになれば、我が国の国際性も高まることになると思います。



■目が離せないロシアゲート■

 加計学園問題と同様にトランプ大統領に関わる「ロシアゲート問題《も次々と新たな事実が公表されています。そもそもこのロシアゲートは、ロシア側が大統領選挙に関してヒラリー氏に対して何らかの上利な動きをしたのではないかということで始まりました。

 しかしその後トランプ陣営の何人もがロシア側と接触していたことが明らかになり解任されています。まずフリン大統領補佐官が政権発足前にロシア側とロシアに対する経済施策について話し合っていたことが明らかになり解任されました。

 しかしトランプ大統領がこのフリン氏に対する捜査を止めるようにコミー前FBI長官に発言していたと報道され、これに従わなかったコミー氏が電撃解任されたことで問題が大きくなりました。コミー長官は米議会公聴会で「トランプ氏からフリン前補佐官に対する捜査を中止するよう求められた《と発言し、これまでの一連の情報が裏付けられました。司法妨害は明確な犯罪です。またトランプ大統領の娘婿のクシュナー氏が選挙期間中にロシア大使と接触していたり、政権発足前に極秘ルートの設置を持ちかけていた疑いで捜査対象となっていることが明らかになりました。

 コミー前長官の電撃的解雇によっていきなり大問題に発展したトランプ大統領のロシア疑惑ですが、市場関係者はこの件から片時も目が離せません。米国実体経済の回復ぶりに買い上がっていきたい気持ちはあっても、ロシアゲート問題でトランプ大統領が弾劾にさらされることになったら市場から一斉にお金は引き上げられてしまいます。それなのに新高値を更新するNY市場の動きは私には理解出来ません。もしかしたら市場関係者はロシアゲートを市場のリスクとは捉えていないのかも知れません。と言うのは、今後もこのような政治の混乱状態が続くのならば、ロシアゲート問題でトランプ大統領が弾劾されたり、辞任する混乱よりも、トランプ大統領の辞任によって新たな大統領が任命される方が市場にとってはプラスであると考えているのかも知れません。尤もトランプ大統領は未だに支持率が40%以上あるので辞任の恐れは全く感じていないようです。



■エンターテイメント■

 第一作に続き「家族はつらいよ2《を見てきました。前作とはちょっと変わった内容でしたが、それなりに楽しめました。と思いながら帰って来たら、主役の橋爪功の息子の橋爪遼が覚醒剤所持で逮捕されていました。偶然と言えば偶然ですが、こんなこともあるんですね。

 ところで、これからの邦画は戦国時代物ばかりですね。6月3日からは野村萬斎の「花戦さ《が封切られています。これは野村萬斎演じる池坊専好というお坊さんが花を武器に武将との戦いに勝つという映画ですが、予告編を見た限りではシリアスな内容をとぼけた俳優が演じている感じで、私はあまり見る気は起きませんでした。

 7月1日に封切られる「忍びの国《は嵐の大野智が主演で、織田信長の息子の織田信雄が伊賀に攻め入って、伊賀衆の奇策にあって敗走するという内容ですが、面白そうなアクション映画です。

 そして8月26日公開予定の岡田准一主演の「関ヶ原《、これは石田三成役の岡田准一の演技が楽しみです。そういえばNHKの大河ドラマ「天地人《では7月28日公開の「君の膵臓が食べたい《に出演する小栗旬が石田三成役を演じていましたね。もう一つ邦画で注目しているのが6月17日公開の「TAP THE LAST SHOW《です。水谷豊が監督主演で、実は息子の友人がタップダンサーとして出演しています。

 外国映画ではやはり7月1日公開の「パイレーツオブカリビアン 最後の海賊《でしょう。期待を外すことはないと思います。あと見たいと思うのは、「パトリオット・デイ《と「ハクソー・リッジ《でしょうか。

 それとこの冬に公開される「8年越しの結婚式《は絶対泣けますからお薦めです。



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