■世界情勢平穏化へ トランプ政権軟化■

 4月下旬には一触即発と思われた米国と北朝鮮の緊張関係ですが、俄に平穏化の動きが出て来ました。その流れの裏には韓国大統領選における「共に民主党」の文在寅候補の優勢があったと思われます。トランプ政権も北朝鮮に対する穏健な態度を示す文氏が大統領になるとすると米国だけが北朝鮮に強硬姿勢をとり続けるわけにもいかず、軟化の姿勢に転じて来たようです。トランプ大統領が「状況が適切なら金正恩委員長に会う」と俄には信じられない発言をしたとも報じられていますし、ノルウェーで米朝が極秘会談を行ったとも報じられています。

 ただ米国にとっての一つの誤算はやっと効果を上げてきた中国の北朝鮮に対する締め付けが文大統領の誕生によって弱まってしまうのではないかということです。何しろ現在、中国と北朝鮮は歴史上最悪の関係となっています。北朝鮮は中国に対して「中国がレッドラインを超えた」と強く非難しています。これは中国の共産党機関誌系のメディアが直前に「米中に多少の意見の相違はあったにしても、北朝鮮の新たな核実験を阻止することが不可欠である」と報じたからです。両者は批判合戦を続けていますが、これは大変な出来事です。北朝鮮にとって中国はまさに保護者であり、石油をはじめとした貿易の大部分を中国に頼っています。もし中国が本格的に北朝鮮に対する貿易をストップしたら北朝鮮は立ちゆかなくなってしまいます。それでも中国に強く反発する北朝鮮をみていると常軌を逸しているとしか思えません。北朝鮮を取り巻く環境は平穏化してきているかも知れませんが、北朝鮮内部は依然過激な状況にあると思われます。

 ただ米国と北朝鮮の接近には上述の北朝鮮と中国との関係悪化があるのかも知れません。北朝鮮も世界中から孤立するわけには行きませんからね。但し、文在寅氏が大統領選に勝利したことで、北朝鮮を巡る動きにも変化が出て来ると思われます。そのような動きの中で全く蚊帳の外に置かれているのが日本です。どこからも何のアプローチもありません。

 4月29日の朝、北朝鮮のミサイル発射の報道に東京メトロは全線を停止しました。北朝鮮の脅威に関しての初めての行動だったと思います。本来鉄道各社は全国瞬時警報システム「Jアラート」の作動があった場合に運行を停止することとしていましたが、今回はJアラートは作動しておらず、いささか勇み足だったかも知れません。

 私の事務所でも核ミサイルに備えて、スタッフにヨウ素錠を配布しました。ネットでは「ヨウ素錠、ヨウ素錠」と大騒ぎでしたが、そのような対応を取った人は私の周りにはいませんでした。これも勇み足ですかね。でも、もし永田町にミサイルを撃ち込まれたら、私の事務所は一瞬にして地上から消え失せてしまうので何をやっても無駄でしょうね。

 しかしマスコミも現金なもので、最近はあれだけ騒がれた空母カールビンソンがどこにいるのか全く報道しなくなってしまいました。



■フランス大統領選■

 ヨーロッパでも大きな動きがありました。フランス大統領選で中道派のマクロン氏が極右のルペン氏を破って勝利しました。選挙の主要なテーマは「EU離脱」です。親EUのマクロン氏対脱EUのルペン氏との戦いで、フランス国民は親EUのマクロン氏を選びました。EUに対して一定の距離を置く英国民と違い、フランス国民はドイツと共にEUを支える途を選びました。

 しかしこれは極右のルペン氏を避ける層がマクロン氏に投票したことによる大量得票であり、必ずしもマクロン氏がフランス国民から強く支持されているわけではありません。そもそも議員経験ばかりか殆ど政治経験の無いマクロン氏が今後きちんと政権を運営していけるのか疑問です。マクロン氏の政治経験はオランド政権における2年間の経済産業デジタル大臣だけです。それが僅か1年前に政治運動「前進」を立ち上げて、あれよあれよという間に大統領の有力候補に昇り詰め、圧勝してしまいました。

 そもそも今回の大統領選では元首相のフィヨン氏が本命視されていましたが、議員時代の妻や息子に対する秘書給与不正疑惑で一気に人気が下落し、今回の混乱した大統領選挙を招くことになりました。選挙前にオバマ前米国大統領をフランス大統領候補に担ぎ出そうという動きが出たくらい国民の選択肢の無さが問題となりました。そこで突然浮上してきたのが何のスキャンダルも無かったマクロン氏です。

 今後は「政治経験の無さ」が大きなマイナスとならないような政局運営を迫られます。僅か1年前に立ち上げた政治運動「前進」はまだ政党ではなく、国民議会に1つも議席を持っていません。すなわち現在与党議員は1人もいないわけです。今後は「前進」が6月の国民議会でどれだけの議席を獲得出来るかがポイントです。ブームによって過半数を獲得するという予想もあるようですが、ある程度の議席数が確保できないと今後の政局が不安定になります。ただ大統領選挙では敗れたとはいえ、極右国民戦線も大幅に議席を増やすことが見込まれ、先行き予断を許しません。

 ただとりあえず極端な候補が選ばれなかったということで、世界の市場は大きく上振れしました。北朝鮮情勢の平穏化もあり、金も原油も下落、世界の株式市場は高騰しました。我が国でもユーロ高に端を発した円安に引きずられて株高が進みました。6月のフランスの国民議会選挙と9月のドイツの連邦議会選挙までは大きな動きは無いと思います。

 しかし政治経験無しの39歳の大統領です。若いというだけでは何の意味もありません。メディアでは「ナポレオン以来の最年少宰相」という報道がなされていますが、何の意味があるのか全くわかりません。

 私が最もマクロン氏を評価するのは25歳も年上の高校時代の先生を奥さんにしていることです。誠実さを感じます。ずいぶん前のテレビドラマの松嶋菜々子と滝沢秀明を重ね合わせてしまいます。



■東芝が監査法人を変更?■

 東芝が2017年度決算から監査法人をPwCあらたから、他の監査法人に変更するという報道が盛んになされています。2016年度の第3四半期決算に関してPwCあらたから承認を得られないという異常事態となりましたが、本決算まで「意見不表明」ということになれば東芝の上場廃止は必至です。現在、巷では中堅監査法人の太陽監査法人が次の監査人を引き受けるのではないかと言われていますが、大法人と中堅法人では組織の規模が段違いで公認会計士の数も何十分の一です。太陽が東芝1社の監査に全職員を投入しても到底まかないきれません。それなのにどうしてこのような話が出てくるのか私たち専門家にとっては全く理解できません。

 ただPwCあらたがこれだけ頑なになっているのは本国のPwCからの強い指示があることが予想されますし、そもそもPwCあらたはカネボウの粉飾事件をきっかけに解散に追い込まれた中央青山監査法人のPW(世界的な会計法人であるプライスウォーターハウス)部門が分離独立して作られた監査法人ですから、粉飾決算に対するアレルギーは人一倍強いと思います。

 もし太陽監査法人が2017年度からの監査を受けるにしても、2016年度の監査はPwCあらたに委ねられます。現状ではPwCあらたが決算を承認するとは到底考えられません。開示の期限まであと数日ですが、またもや延期となりそうです。そうなれば金融庁が最も恐れる「東芝の上場廃止」ということになりかねません。私は村上ファンドの村上世彰氏が大量に東芝株を買い集めているので、「絶対東芝は上場廃止にはならない」という何らかの裏付けがあるのかと思っていましたが、ちょっと危うくなって来ました。皆さんはくれぐれも東芝株には近づかないようにして下さい。



■日本は一流国か?■

 皆さんは日本を一流先進国と考えられていると思いますが、様々なデータを見ていると決してそうでないことがわかります。

 まず1人当たりGDPですが、これが世界で何と22位でちょっとびっくりします。ただ米国は8位ですが、ドイツは19位、英国は21位と我々が1人当たりGDPが高いと考える国が必ずしも高いわけではなく、国民の裕福度とは関係が無いようです。国別のGDPランキングはと言えば、米国、中国、日本、ドイツ、イギリス、フランスと皆さんが予想する通りの数字となります。

 また日本は情報公開度ランキングでは世界では50位以下です。2012年までは20位台でしたが、2013年に原発事故の情報公開が不十分だということで一気に30位も下落しました。その後特定秘密保護法の制定等もあり、50位以下に低迷しています。これは先進国の中で最低です。但しこれには我が国特有の「記者クラブ」という制度があり、フリーランスの記者が入り込む余地が少ないことが大きな原因となっているようです。マスコミもそれをわかっているので、自分たちの問題を明らかにするのが嫌なので、この数字に関しては全くと言ってよいほど報道しません。しかし記者クラブの存在は報道にしがらみが入ると言うことですから決して良いことではありません。

 またちょっと前の話になりますが2014年に発表された「3年間に渡って調査された世界156ヶ国の幸福度ランキング」で日本は何位だと思われますか?何と43位です。上位にはデンマーク、ノルウェー、スイス、オランダというヨーロッパ諸国が並びます。米国は17位、英国は22位、失業率が高く、国民の間に不満が渦巻いていると言われる韓国でも日本より上位の41位です。日本人の多くは自分たちは世界の中でかなり幸福だと感じていると思いますがそうでもないようです。

 また我が国は世界有数の男尊女卑社会で、先進国で最も女性の社会進出が進んでいない国です。政府は女性の管理職比率を一生懸命高めようとしていますが、そんなことは人に言われてやることではありません。男性が女性を見る目が変わらない限り、我が国の体質は変わることはないでしょう。

 そして我が国は世界一の高齢者社会です。「2025年問題」をご存じでしょうか?我が国は2025年には1947~1949年生まれの「団塊の世代」が全員75歳以上の「後期高齢者」となります。以前からこのメッセージにもよく書いていますが、我が国の経済、あるいは人々の社会行動の中心をなして来たのがこの「団塊の世代」です。学生時代も企業でも大変な競争社会の中で生きてきて時代を支えて来ました。

 本当は最も恵まれているのは「団塊の世代」のちょっと上の世代です。戦後すぐ生まれた人達ですから人口は少なく、部下は沢山いて、社会保障費負担も少なく、老後の生活については十分に恩恵を受けています。自己負担額に比べて遙かに多い給付を死ぬまで受け取れることが出来ます。その人たちに比べれば多少劣りますが、団塊の世代の人たちは現役世代に比べれば遙かに手厚い社会保障を受けています。しかし最近マスコミで「キレる老人」と報道される多くがこの世代です。ちょっとしたことで駅員に殴りかかったり、病院で大騒ぎする老人達を見ていると、世の中から阻害されていると感じているんだろうなと思ってしまいます。

 我が国では一気に高齢化社会を迎えたために、高齢者が円満に老後を過ごせるプログラムがありません。どうやったら平穏な老後を送れるかを個人任せではなく、国を挙げて考える必要があると思います。



■徒然思うこと■

 相変わらずエイチ・エス証券が不気味な商品を販売しています。トルコリラ建ゼロクーポン債で、10年後に2.75倍になるそうです。他にも利回り10%以上の債券を色々販売しています。現在のような世界的低金利状態の中で異常な高金利ですが、もちろんリスクも高いわけです。金融知識の乏しい一般大衆に対してこのようなハイリスクハイリターン商品を販売してよいものかどうか強い疑問を感じます。リーマンショックほどの大事件は例外としても、かなりのリスク発生の確率があるからこれだけ高利回りなわけで、表面的な数字だけで購入される人がいないように祈ります。

 また犬を飼い始めました。依然飼っていた犬が昨年の9月に病死してしまったため寂しい思いをしていましたが、一気に家族の顔が明るくなりました。ペットの存在って大きいですね。前の犬は臆病な犬でしたが、今度の犬は大変活発で、その差に驚いています。今回はブリーダーさんから直接購入しましたが、ブリーダーさんって親切ですね。前は獣医の紹介でペットショップで購入したので何の知識も与えられませんでしたが、今回お世話になったブリーダーさんには子犬の育て方を1時間も講義されてしまいました。前に犬を飼っていたのに知らなかったことばかりで、前の犬に可哀想なことをしたと感じてしまいました。ただ猫可愛がりすれば良いと言うわけではないということがよくわかりました。しかしなぜ犬可愛がりとは言わず猫可愛がりと言うのかと思ったら、犬の場合には可愛がりすればそれだけ買い主になつくという見返りがありますが、猫の場合にはいくら可愛がっても恩返しの気持ちが全く無いということでこの表現を使うそうです。



 今年の春は桜ばかりでなく色々な花を見たいと思い、あちらこちらに行ってみました。私がこの時期に一番好きなのはバラです。写真のバラは昔住んでいたマンションの向かいの本郷の給水所公苑のバラです。花が大きいのはマリア・カラス、もう1枚はチャールストンです。

   





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