■大凶となったトランプ大統領■
吉と出るか凶と出るか注目されたトランプ新大統領の政策ですが「大凶」でしたね。毎日のように大統領令を発令していますが、1月27日の中東、アフリカ7か国の国民の90日間米国入国禁止令は大混乱を巻き起こしたばかりでなく、世界中で非難の声が吹き荒れています。トランプ大統領はこの大統領令に従わなかった司法長官代理をあっという間に更迭してしまいました。しかも準備不十分で出されたこの措置では、米国永住権を持つ者まで入国拒否してしまったために大混乱となりました。該当7か国の国民は、各地の空港で搭乗拒否されていましたが、ワシントン州の連邦地裁が大統領令の一時差し止めを命じました。それによって全米で大統領令が停止され、該当7か国の国民の入国が可能となりました(今回決定を下したのは州の裁判所ではなく、連邦裁判所の地方裁判所でしたから、その効力が全米に及びます)。司法省はトランプ大統領の意を受けて早速この判断の即時取り消しを求めて連邦控訴裁判所に上訴(いわゆる控訴ですね)しましたが控訴裁判所はこれをとりあえず却下しました。控訴裁の最終判断までは数日かかる見込みで、この間に7か国からの大量の人々が米国を目指すことになると思われます。と言っていたら控訴裁判所の判断で大統領令の差し止めが継続されることになりました。そうなると判断は最高裁判所にまで持ち込まれることになりますが、この場合にはかなり長期間に渡って大統領令は停止されることになります。しかし、トランプ大統領は新たなる規制を考えているようですからまた混乱を引き起こしそうです。しかも今回の連邦地裁の判断に対してトランプ大統領が担当判事を個人的に非難したことで、「三権分立をないがしろにしている大統領」とのレッテルが張られてしまいました。
またオーストラリアのターンブル首相との電話会談中に難民問題で激怒したトランプ大統領が1時間の会談予定を25分で切り上げるという前代未聞の事態が起こり、共和党幹部が事態収拾に走り回る結果となりました。まるで子供みたいで良識のかけらも感じない行動が目立って来ました。米国大統領の発言を伝える新聞が「無鉄砲」とか「支離滅裂」等という形容詞をつけたのを見たことがありません。米国大統領として相応しくない行動に目を背ける支持者も多くなって来ました、と思っていたら入国禁止の大統領令に関してロイター通信のアンケートでは49%の人が支持していて41%の反対の人を大きく上回っています。私達からすれば考えられない反応ですが、それが現実です。ここでも「表立っては賛成出来ないが、実は賛成だ」という隠れ賛成派が多くいることがはっきりしました。大統領選挙の「隠れトランプ派」です。米国が大国だからと言って、米国人がみんな大国の国民としての自覚を持っているわけではなく、案外利己主義の人が多いことが明らかになりました。周囲の人がもう少しコントロール出来ないかと誰しもが思っていたら、ペンス副大統領までもが「連保地裁の判断はおかしい」と発言しています。政権中枢が異常な人々で占められています。
そういう中で、一部のマスコミは1年後のトランプ大統領の弾劾による辞任を予想しています。またイスラム教徒や特にISを名指しで徹底的に非難していることから暗殺の危険を予測する人もいます。暗殺はともかく、こんな滅茶苦茶なことばかり4年間も続けることが出来るとは到底思えません。
2月10日の安倍総理との首脳会談によって、今のところの懸案事項の一つである駐留米軍の問題と尖閣諸島に対する日米安保条約の適用についてはほぼ片がついたと言えるでしょうが、残りの懸案事項のうち、まず貿易不均衡問題で、トランプ大統領はトヨタを名指しで非難して日本の自動車産業を攻撃していましたが、今回の会談ではその点には触れられませんでした。安倍総理はトヨタを始めとする日本の自動車産業がどれだけ米国の雇用に貢献しているかを説明する予定でしたが何も言わなくて済んだようです。為替操作問題についても特に触れられていません。駐留米軍の経費についてはマティス国防長官が「駐留軍経費負担については日本はお手本」と発言したことで流れは出来ていたようで、「我が国が駐留軍経費を十分負担していない」と言っていたトランプ大統領の誤解は解けたようです。ウェークアップで辛坊治郎さんが「誤解は解けるが曲解は解けない」と言っていましたが、曲解ではなく良かったです。
それと、もう一つ厄介なのはTPPでしたが、こればかりは幾らその意義を説明しても「永久離脱」の大統領令に署名したばかりのトランプ大統領が聞く耳を持つはずもなく、安倍総理は耳を傾かせることが出来ませんでした。と言っても今回の首脳会談で、もしTPPの「T」と言っただけでトランプ大統領がそっぽを向く可能性があるからということで、事前にTPPについて触れないことになっていたそうです。その代りトランプ大統領に「尖閣諸島に安保5条を適用する」と言ってもらえることになったそうです。と言うことで。国会では「トランプ大統領と会ったらTPPについて理解を求める」と言っていましたが、これに関しては全く実行されずに終わりました。14日からの国会で安倍総理が何と説明するか楽しみです。きっと実績、特に共同声明に「尖閣諸島に安保5条が適用される」と盛り込まれたことを強調するばかりでしょうね。しかし安倍総理が国会で「云々」を「でんでん」と読んでしまったのにはビックリしました。「未曾有」を「みぞうゆう」と読んでしまった麻生元総理も親近感を覚えていることと思います。
しかし我が国外交としては、今回の首脳会談は大大大成功でしたね。TPPに関しては行く前から望み薄でしたし、それ以外は満点に近い回答だったと思います。ただ、世界中から批判と非難の対象となっているトランプ大統領とこれほどの蜜月関係を築いてしまって大丈夫でしょうか?「アベはこれからは何でも私の言うことを聞いてくれる」とトランプ大統領が勘違いしていないと良いのですが。しかし歴代首相の中でこれほど米国大統領に厚遇された人はいません。世界においてトランプ大統領が孤立状態にあるからでしょうか?
最後にずいぶん前の話になってしまいますが、オバマ前大統領の退任演説は本当に素晴らしかったですね。自分の功績には殆ど触れず、真の民主主義を語った格調高い演説でした。誰かさんとは人間としての器が違う感じでした。米国一国にとっては素晴らしい大統領ではなかったかも知れませんが、世界においては最も良識ある米国大統領だったと思います。まだまだ続けてもらいたかったですね。
■トランプ相場■
大統領令のハチャメチャはある意味で予想通りですが、相場の方は全く先が読めません。そもそもトランプ大統領の誕生は円高と株安を招くはずでした。しかし昨年11月9日の開票日には予想通り動きましたが、それ以降は一転して真逆の動きとなりました。日経平均は一時2万円に迫りましたし、為替も1ドル120円近辺まで上昇しました。その間NY市場も史上初めて2万ドルを突破し、現在も2万ドルを維持しています。一方トランプ大統領の「日本は為替操作をしている」発言を受けて為替が一挙に円高に進んだものですから、日経平均はあっという間に1万9千円割れとなってしまいました。
投資雑誌を開くと「トランプ相場で儲かる銘柄はこれだ」の文字が乱れ飛んでいます。しかしこんな話に飛びついてはいけません。そういっている人はみんな「トランプが大統領になれば株は暴落する」と言っていた人達ですから。12月のメッセージでもエコノミストの為替の予想がどれほど当てにならないかをお話ししました。トランプ大統領の登場で一番儲かったのはトランプ大統領に関する本を書いた人と出版社ではないですかね。何しろ今は、「トランプ大統領」と「老後資金」とタイトルをつけた本がよく売れる時代です。私も「トランプ相場で老後資金を作る ミスターX」という本でも出したら売れるかも知れませんね。
トランプ大統領が発言するたびに株式相場も為替相場も上下します。特に注目されるのが10年間で1兆ドルの戦後最大のインフラ投資、法人税率を35%から15%に引き下げ、中間層の所得税を減税する等のトランプ大統領の政策です。本当にこれらの政策によって米国経済が成長すれば株価も上がり、為替もドル高となると思いますが、その結果が出るのは相当先のことです。それまでは口先による経済効果を狙うでしょうから、ドル安政策に動くと思われます。
と言うわけで、不透明な相場が続くと思いますが、その中で唯一お薦めできるのがFX会社です。株価はこの先上がるか下がるか誰にもわかりません。確かに日本に対して防衛力強化を求めて来るでしょうから、防衛産業の株価は堅調になると思いますが、それ以外は「これは」と思えるような銘柄はありません。それに対してこれからも為替相場は大きく変動することは間違いありません。FX会社は為替相場が変動すればするほど投資家が動きを見せるので業績がアップします。円高になろうが円安になろうが関係ありません。現在のような為替の上下の動きの激しい時期の投資銘柄としては最適だと思います。と言っても上場している会社は2社しかありません。マネーパートナーズとGMOクリック証券だけです。両社とも大企業の傘下にあり、経営に関しては心配ありません。
尤も2月6日の日経新聞の報道によると、個人のFX取引量が細っているそうです。昨年11月の大統領選挙の時に評論家のお薦めに従った人が大きな被害を被ったようです。私もFX取引は全くお薦めしませんが、FX会社の業績はますます好調になると思います。
それと皆さんにはお薦めしませんが、原油のETFやETN(指標連動証券)は狙い目だと思います。米国とイランの関係は悪くなる一方ですし、米国大使館のエルサレムへの移転が本当に実行されると中東紛争の引き金になりかねません。田中秀征さんがトランプ大統領の行為で最も心配されるのはこれだとコメントしていました。宗教に関してノー天気な私達には理解出来ませんが、3大宗教の聖地であるエルサレムに大使館を移転するというのは大変なことなんだそうです。米国とイスラム圏諸国の軋轢が深まれば原油高は必至です。
トランプ大統領はパイプラインの建設を認めたように、化石燃料重視派です。米国にとっても原油相場がシェールガスの採掘コストに見合ってくることは歓迎だと思います。5月のOPECの総会で現在の減産体制が維持されるかどうかによって原油相場は大きく左右されますが、何か突発的なことが起これば原油相場は一気に高騰します。投資対象として少しは保有しておいても良いと思います。
■マイナンバーを使った初めての確定申告■
さあ、マイナンバーを使った実務が本格的に稼働します。本人が申告する場合にはマイナンバーカード(個人番号カード)のコピーを添付しなければなりません。扶養家族がいる場合には扶養家族欄の下に各人のマイナンバーを記載しなければなりません。
もしマイナンバーカードをまだ持っていない人は、番号確認書類である通知カードかマイナンバーの記載がある住民票の写しと運転免許証等の身元確認書類のコピーを添付しなければなりません。マイナンバーカードは昨年11月時点で900万枚しか発行されておらず、事務の遅れが目立っています。まだ国民全体にマイナンバーカードを取得しようという意欲?が希薄で、事務手続きの遅れと相まって発行枚数が伸びません。
本年1月から行われる予定であった日本年金機構への照会も7月に延期されることになりました。同じく1月から運用開始予定のマイナポータルの運用も始まりません。私たちはいつになったらマイナちゃんと会えるんでしょうね?「住基カードの二の舞になる」との危惧はまだ消えていません。
ところでマイナンバー制度が始まるときに戦々恐々とした銀座のクラブや六本木のホステスの兼業問題はどうなったのでしょうか?あの時は「副業が会社にばれると困る」とか「今まで申告していなかったので大変だ」とか大騒ぎしましたね。少なくとも所得があるのに扶養家族になるといった話は今年から無くなります。完全に所得がマイナンバーで名寄せされます。また源泉徴収されたホステス報酬等がある場合に確定申告しないと言うことは出来なくなります。と言うよりも、これまでも確定申告する必要があったのですが、名寄せされていなかったために税務署がわからなかったと言うのが実情です。
ホステスさん以外でも、ちょっとしたアルバイト収入があった場合にも支払先にマイナンバーを通知しているはずですから、その所得は必ず補足されます。と言って、マイナンバー制度によって「申告漏れ」を防ぐことが出来るわけではありません。「申告漏れの摘発漏れ」を防ぐことが出来るだけです。本当はマイナポータルでそういうことが出来れば良いんですけどね。国も申告逃ればかり追及しないで、納税者側が申告漏れをしないようにマイナンバー毎に予め合計所得を計算出来るシステムがあれば良いと思います。
しかしマイナンバーカードを取得している人が本当に少ないですね。いつまで申し込まない気ですかね。今後もずっと通知カードと身元確認書類の2点セットで行く気でしょうか?私の事務所でもマイナンバーカードを取得していない者がいますがいい加減にしたらどうでしょう?
■エンターテイメント■
先月のメッセージで予告した通り「本能寺ホテル」は面白い映画でした。しかし他人に薦めるほどの映画ではありませんでした。ただ織田信長という重厚な役柄の堤真一が、現在放映中のテレビドラマで「スーパーサラリーマン左江内氏」でとても阿保な役を演じているので、その姿が目に浮かぶ人にとっては最悪の配役だと思います。
また、機内で見た映画では東野圭吾の「疾風ロンド」はまあまあでしたが、現在封切られている「マグニフィセント・セブン」は出だしから残虐シーンが多くてとても見続けられませんでした。全くお薦めしません。
ところでこれらの映画は沖縄便の機内で見ましたが、現在JALでは機内で無料Wi-Fiサービスを行っていて、便利なことこの上ありません。何故機内でWi-Fiが使えるのか仕組みは全くわかりませんが、有料でWi-Fiサービスを提供する航空会社も増えて来ました。電話はかけられませんが、メールはし放題です。但しさすがにグーグルマップは使えませんでした。位置情報は取れないみたいです。
せっかくですから沖縄名物の巨大ステーキの写真をお見せしましょう。500グラムで2280円です。オージービーフなので味は薄いですがとても柔らかかったです。
また映画ではありませんが、1月中旬から友人に勧められて読み始めた広瀬隆氏の「日本近現代史入門」という本はとてつもない本でした。広瀬隆氏というと原発関係の書籍で有名ですが、この本は日本の明治維新から昭和50年頃までの間の日本の近現代史を解説した本で、は明治初期からの軍閥と財閥系企業の極悪非道な振る舞いをつぶさに記述しています。もしこの本に書いてあることが本当だとすると、我が国は中国や韓国にいくら謝罪しても足りないほどの侵略行為を重ねて来たことになります。たとえ、この本の記述に事実と異なる部分があったにしても、朝鮮や満州を日本軍が支配した行動は侵略行為以外の何物でもありません。特に韓国併合前後の弾圧は目に余るものがあり、伊藤博文初代韓国総督が暗殺されたのにも理解できる面があります。
今一度この本に書いてあることが全て真実であるかどうか検証が必要ですが、日本人をこれほど悪者扱いした本は見たことがありませんので、一度手に取られることをお薦めします。と言っても600ページ近いハードカバー本ですし、内容は出来れば読みたくないことばかりですから、なかなかページが進みません。私も読み終わるのに10日以上かかりました。この本を翻訳してAPAホテルの部屋に置いておけば韓国人と中国人が狂喜乱舞すること請け合いです。
今日も事務所の前を右翼の街宣車が走り回っていますが、斜め前のアパホテルの本社に向かって大賛辞を送っています。例の本がホテルの部屋に置かれているからです。街宣車がほめ殺し以外で人を褒めているのを初めて聞きました。
最後になりますが、年賀状でお見せした私の所有(と言っても共有ですが)馬が1月15日の新馬戦で勝利しました。中央競馬では3歳の9月末迄に1勝しないと、地方競馬に回されてしまうか、乗馬クラブに売られてしまうか、ペディグリーチャムにされてしまいますので、最初のレースで勝ち上がってくれてホッとしています。しかしまさか勝つとは思っていなかったので馬券の儲けは大したことはありませんでした。因みに単勝は5番人気で、配当は780円でした。写真の一番左に映っているのが私です。
レースの動画のリンクを張っておきますので興味のある方はご覧ください。
http://hirata-cpa.jp/mov/201702-4.mov
ところでこの沖縄からの帰りの便で大変怖い思いをしました。本来の航路と全く違った方向に飛行機が向かってしまったのです。当日は房総半島から羽田空港に向かう航路を飛んでいました。左手に海ほたるが見えたと思ったら、突然飛行機が北上を始めたのです。そして外環道を越えて筑波山が見えても北上を止めません。機内放送では「使用滑走路が変更になりました」との放送しかありません。私は機内で冗談抜きで「遺言」を書き始めました。幸いWi-Fiが使えたのでメールで遺言を書き始めたら機が反転を始めました。左側の窓を見ると九十九里海岸が見えています。大洗近辺から反転したようで、それから再び房総半島上空を経由して羽田空港に着陸しました。僅か2時間の飛行時間のはずが45分も遅れたのに何の説明もありませんでした。よほど滑走路が混んでいたのかと思って後から調べてみましたが、遅れたのは私たちが乗った機だけでした。何が起きたのか未だに謎です。
追伸:グアム島にはケンタロスはいないみたいです。
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