

■迷走する民主党■
民主党政権が迷走を始めてしまいましたね。典型的なのが普天間基地移設問題です。岡田外務大臣の一挙手一投足に注目が集まっていますが、それも明確な意志がはっきりせず、朝令暮改的な発言が多く、鳩山首相がそれに振り回されて、平野官房長官は形だけ収集に動くという感じです。全く存在感の無いのは北沢防衛大臣、レベルとしては防衛庁長官でも荷が重そうですね。
結局社民党に気を遣って越年となってしまいそうですが、いくら時間をかけても「県外、国外」を唱える社民党の要求には答えられるはずもありません。鳩山首相のいう「グアム移転」は誰もが望むことでしょうが、現実味はありません。新聞では最近辺野古のジュゴンや海洋資源の話から、実は住民は移転に賛成しているのだという話がよく取り上げられるようになりました。物事の本質を考えずにこれまで素人受けする反対住民の声ばかり取り上げて来たマスコミの方針変更でしょうか?
しかし、民主党政権では各閣僚が好きなことを言い放っていますが、閣議というものは何のために開かれているのでしょうか?閣内不一致というよりは全く相談している気配を感じません。そこを自民党に攻め込まれています。野党の時には敵の粗をついていれば良かったのですが、与党になったら総てに関して齟齬無く運営しなければなりません。これまでのように攻める時は各侍大将が好き勝手にやっていても何とかなったが、守る時は一丸とならなければ守れないということがはっきりしたということでしょう。
でもこうやって色々揉め事が起きると「政治家としての器」を感じさせられてしまいます。
やはり仙石さんの存在感は抜群ですね。岡田さんはまあまあ、前原さんはちょっと軽いかなという感じです。ほかの大臣は????。細野さんと馬淵さんに早く大臣をやらせてみたいですね。閣僚以外ではやはり存在感があるのは枝野さんでしょうかね。
しかし、補正予算の金額の国民新党との揉め方といい、連立の歪みが一挙に吹き出た感じですね。さあ、小沢さんは参議院過半数にどこまでこだわるか見物です。もし来年夏の参議院選で民主党が単独でも過半数を取れることがはっきりすれば連立解消もあり得るかと思います。

■日本経済低迷■
今年の新規株式公開会社数が19社になりそうです。2000年の204社,2006年の188社と比べて約1/10、昨年の49社と比較しても半分以下です。どうしてこんなことになってしまったのでしょう?原因は色々考えられます。まず日本経済全体が低迷する中、多くの新興企業が業績不振に苦しんでいます。また新興市場に上場した企業の不祥事が多発して、公開審査も格段に厳しくなっています。公開準備会社にとっても、J−SOXの導入によって審査対応に膨大な時間とコストがかかるようになってしまいました。公開後の人的、経済的負担も増すばかりです。一方、公開時の調達金額はここ数年減少の一途を辿り、公開メリットが失われてきています。また、ここ数年は大監査法人はリスクばかり高くて手間暇がかかる新規公開ビジネスから腰が引け気味でした。これらのことが相まって、新規公開会社数が激減したわけです。この動きがしばらく変化することはないと思います。日銀により資金は金融市場に大量に供給されていますが、証券市場では大企業の資金調達のための新株発行が花盛りで、とてもベンチャー企業にまで資金が回る環境にありません。
世の中も本当にデフレ感に満ちて来ました。買い物に出かけると「安いなあ」と思われることが多くなったと思います。ニトリとユニクロとABCマートに1万円札を何枚か持って行くと、急にお金持ちになったような気がしますし、池袋のLABI日本総本店に行くと物の値段というものがわからなくなります。ビックカメラとの戦いもあるでしょうが、今は電化製品は世界で池袋が最も安いと言われています。是非雨の日曜日の夕方に覗いてみて下さい。ポイントまで考慮すると4割引近い価格で新製品が購入出来ます。通常ですと価格コムで掲載されているようなネット激安価格を見せても量販店には通じませんが、今はそれに近い価格での交渉が可能です。「これが欲しい」と拘らずに、「こんなのが欲しい」という気で買い物をすれば幾らでも安く買うことが出来る時代になって来ました。

■就職浪人対策が必要■
10月1日現在の来年3月大学卒業予定の就職希望者42万8千人のうちまだ16万人の就職が決まっていないそうです。また2000年頃の就職氷河期に逆戻りです。つい2,3年前には企業の大量採用により売り手市場だったのに、リーマンショック以来様変わりです。就職氷河期に当たってしまった学生が気の毒なのは、この時期に大企業に就職できずに卒業してしまうと、既卒扱いになってしまい、大企業に就職する道が極端に狭まってしまうことです。たった1年卒業年度がずれたことによる運不運が一生を左右することになってしまいます。新卒絶対指向を改めて、卒業年度による不利をサポートする体制が産業界に求められると思います。しかし現在の需給ギャップがマイナス6.7%、金額にすると35兆円もある現在において、企業に採用数の増加を求めることは困難です。
また就職が大変なのは新卒だけではありません。私の業界のことで申し訳ありませんが、今年の公認会計士試験の合格者が11月26日に発表され2229人が合格しました。合格率10.5%、昨年に比べて1396人の減少です。それに対して3大監査法人、及びそれに続く中堅監査法人の採用予定者数は1200人にもなりません。私の出身の新日本監査法人に至っては前年比66%減の226人しか採用しません。1000人以上の就職浪人発生の危機です。
米国と比べて公認会計士の数が少な過ぎる、だから企業の不正が多い、という短絡な発想で2018年までに現在2万人の会計士を5万人規模にと、徒に公認会計士の人数を増やそうとした結果がこれです。そんなに公認会計士の人数を増やしても監査法人の収入も増えず、採用人員も増えないことがわかっているのに、これに強く反対して来なかった監査法人や公認会計士協会にもこの責任はあると思います。
可哀想なのは一所懸命勉強して合格したのに就職浪人となってしまう合格者達です。一般企業に就職しようにも一般企業の就職も氷河期です。業務補助を受けられなければ、3年後に公認会計士になることも出来ません。と言っていたら、8日金融庁が大量の就職浪人の発生を受けて、公認会計士試験の見直しの検討を始めると発表しました。民主党政権になって、確かに間違ったことを改める動きが早くなって来たのを実感します。大塚副大臣、偉い偉い。
でも司法試験合格者は公認会計士以上に悲惨です。法科大学院の司法試験合格者数も制度実施時に唱われた数より遙かに少なくなってしまっています。当初は新司法試験においては合格率を7〜8割と想定していましたが、2009年においては3割を切る有様です。それに加えて、たとえ合格してもイソ弁どころかノキ弁(既存事務所の名前だけ借りて机もなく細々と活動を続ける弁護士、「のき先」を借りる、の意味で「ノキ弁」と呼ばれるようになった)にも成れない有様です。収入がサラリーマンのそれにも満たない弁護士が沢山生まれてしまいました。
しかしこれだけの弁護士と公認会計士の大量就職浪人を生み出してしまったのは「大人の責任」です。就職の「氷河期」は企業に責任があるわけではありません。多少見通しはいい加減だとしても、好況で人手が足りなくなると思えば採用を増やすし、不況になって業績が悪化すれば採用を減らす、当たり前の企業行動です。投信販売のために大量離職を見越して大量採用するメガバンクは論外ですが、一般企業の行動としては責めるわけには行きません。それに対して司法試験と公認会計士試験の合格者の決定権は法務省と金融庁(厳密には公認会計士・監査審査会)にあります。試験制度があるとは言え、合格者の人数は政治的判断で決定されています。特に法科大学院制度まで作って大量の大学院生まで募集しておいて、出口のところで当初より大幅に合格者を絞ったことは到底許されることではありません。法科大学院の卒業生は修了後5年以内に3回という受験制限があります。このままでは今後司法試験も受験出来ない修了者が多数世の中に排出されることになります。怒りのやり場に困っている受験生が沢山います。特にサラリーマンから転職した人は本当に気の毒です。知り合いの法務副大臣に提言してみましょう。
弁護士業界では一度は大増員に賛成した弁護士会も業界をあげて弁護士の増員に反対するようになってしまいました。弁護士同士の過当競争の結果、先月のメッセージでお話したような貸金業への「過払い金返還訴訟」に手を染める弁護士が多数出て来てしまいました。

■未払い残業代請求訴訟■
週刊ダイヤモンドの12/5号に気になる記事がありましたのでご紹介します。これは先ほどの「食えない弁護士」の話の延長上にある話でもあります。高井重憲弁護士によりますと、先月お話しした巨大なビジネスに成長した「過払い金返還請求訴訟」が急激に増加した理由として、@最高裁の判断により、定型的な処理により、容易に過払い金が回収出来るようになったことA弁護士の競争激化と広告の解禁の二つがあるとのことです。しかしこの弁護士にとっての「過払い金バブル」も消費者金融大手が続々破綻しても返還が見込めなくなったので、食うに困った弁護士が次に狙うのは「未払い残業代請求訴訟」とのことです。
残業代請求訴訟は
@資料の入手が容易
A請求額の計算が単純
B企業側の反論が認められにくい
等の性格を有しているようで、非常に訴訟を仕掛けやすい事案のようです。
未払い残業代の請求にあたっては、「2年間の短期消滅時効」というネックがありますが、時効にかからない2年分の請求額だけでも数百万円になるケースもまれではなく、安心出来ないとのことです。
多くのベンチャー企業では、ある意味で利益は社員の残業代の未払いで構成されていると言っても過言ではありません。辞めた社員が次々に訴訟を起こす事態が出てくるかと思うとぞっとします。既に地下鉄の車内中吊り広告に残業代請求を促す広告の掲載が始まっているそうです。ベンチャー企業に限らず備えが必要です。

■とち狂った鳩山元総務大臣■
「9億円もの子供手当をもらっている」と鳩山総理を揶揄した谷垣総裁に大恥をかかせた鳩山邦夫氏がとち狂ったことを言っています。まず、「私の政治資金報告書には兄のような虚偽記載は無い」と威張っていますが、周りから見れば「あんたは虚偽記載はしていないかも知れないが、記載洩れだろう」ということになります。次に、兄と同額の年間1億8千万円、5年間で9億円もの母親からの資金提供を贈与として申告する、と言い出しました。本人はどれほどの贈与税がかかるかわかって言っているのでしょうか?年間1億8千万円の贈与に対する贈与税は8720万円、5年間で4億3600万円です。これだけの巨額の贈与税を簡単には払えるわけがありません。尤も鳩山兄弟は膨大なブリジストン株を所有していますから、それを売却すれば払えるかも知れませんが・・・。もし支払う贈与税の分まで母親から贈与を受けたらそれこそ笑いものです。尤もそのお金にもまた贈与税がかかりますけどね。

■最近の話題■
多少もたついていましたが、金価格が私の予想通り上昇して来ました。金投資に走る主婦を「金妻」と言うそうですが、私自身はインフレヘッジとドル安に備えて金を購入しているので、ちょっと価格が上昇したからといってすぐ売却することはしません。また、金の売却益は総合譲渡所得になってしまうので、税額が馬鹿になりません。国としても日本全体の金の備蓄を考えるならば、この辺りの税制も検討する必要があるでしょう。
ところで私が先月のメッセージで所得税申告漏れ問題でこき下ろした脳科学者の茂木健一郎氏が3月からのNHK番組から降板することが決まったそうです。当たり前のことですが、視聴者からの抗議を受けてやっと降板に踏み切ったNHKが今度は反省すべきです。

■□ 年末年始休業のお知らせ □■
下記期間は、年末年始休業とさせていただきます。
12月29日(火)〜1月4日(月)
本年もありがとうございました。みなさまどうぞ良いお年をお迎え下さい。

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