

■今回の危機を本当に危機だと思っている人はどれぐらいいるのか■
まだ今回の危機がどれぐらいの経済危機になるかハッキリわかりませんが、とてつもない金融危機が始まっていることが実感出来るようになって来ました。米国の5大投資銀行が総て消滅し、米国というより世界最大の金融グループであるシティグループが国有化されつつあります。英国でもRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)に続いてロイズ・バンキング・グループが実質的に国営化され、英国4大銀行の内2行が国営化されることになりました。米国保険最大手のAIGが2008年第4四半期の10月〜12月の僅か3ヶ月に6兆円近い損失を計上しました。AIGに対する政府の支援額も14兆円を超えています。我が国でも与謝野経済財政担当大臣が、とうとう今回の経済危機を「戦後最悪。戦後最大の経済危機だ」と認めました。9月の総裁選で「蚊に刺されたほどではないが、蜂に刺された程度」だと発言し、その後国会でも小池百合子氏の質問に対し、「まだ蜂に刺された程度と考えている」と答弁していた経済音痴の的外れの大臣が、やっとこの経済危機の深刻さを認めました。それでも1世帯数万円の定額給付金で景気対策になると思っているようでは認識が甘い、としか言いようがありません。
またマスコミも少しでも明るいニュースを送りたいのか「景気が底を打つのはいつか?」だとか「消費者の購買意欲に復活の兆し」などとアホなことを報道しています。本当に日本のマスコミは頭が悪いのか自民党に借りでもあるのでしょうか?「徒に人々の不安感を煽るのはよくない」という発言をよく聞きますが、今回の危機が本当に100年に一度の恐慌となってしまったら、発言の責任を取りきれるのでしょうか?
今回の危機が経済恐慌になるかどうかはわかりませんが、一大金融危機が起きたことは間違いありません。その影響で不動産関係の会社の大型倒産が続いています。純資産が2600億円もあるはずのSFCG(旧商工ファンド)までもが民事再生法を申請しました。いつ倒産するか時間の問題と言われながらも中国からの資金を当てにして破綻を引き延ばしていたパシフィック・ホールディングスも会社更生法を申請しました。特に多くの中小企業に融資をしていたSFCGの破綻は年度末にかけて多くの中小企業の破綻を招くことになるはずです。でも世の中はまだまだ恐慌を感じさせる雰囲気はありません。確かに高級品は売れず、外食も減り、家庭で食事する人が多くなっているようです。でも実体経済が縮小に向かっていることは実感出来ません。その一方、世の中では新円切替だとか預金封鎖だとかデノミだとかいう本が急に増えて来ました。慎重に慎重に経済の動きをウォッチしていきたいと思います。

■何をもって「国策捜査か」■
民主党の小沢代表の違法献金問題で政界は大揺れです。「国策捜査」という言葉が話題になっていますが、一部のマスコミでは「アメリカ国策捜査?」という記事も報じられるようになりました。米国と一定の距離を保とうとする小沢代表の失脚を米国が仕掛けたのではないかということです。
ロッキード事件の田中角栄元首相失脚が、やはり米国の陰謀だと言う説はいまだに根強いものがあります。当時日中交流を進めた田中元首相に対して、日本の中国接近を危険視した米国が田中元首相の失脚を謀ったのではないかというものです。今回の中川外務大臣の大不祥事にしても、うがった見方をすれば中川氏がある勢力から早めに葬られたとも見ることが出来ます。中川氏の父親の中川一郎氏も昭和58年に怪死していますが、この死についても「ソ連寄りの中川氏をCIAが抹殺した」という説が未だに残っているくらいです。
小沢代表も以前から日米間に一定の距離を置くことを主張していますし、今回のヒラリー・クリントン国務長官との会談にもそれほど気乗りしない様子が報道されました。また、我が国の防衛に関しても「第7艦隊だけで十分」と発言して物議を醸しています。今後、経済危機克服のために200兆円もの財務証券すなわち国債を発行しなければならない米国としては、自国の言うことをホイホイ聞いてくれる従順な政権が日本になくては困ります。ですから藁をも掴むような気持ちで、呼ばれればあちこち外遊に出かけて支持率回復に一縷の望みを託している麻生首相を真っ先にワシントンに呼んで、大統領が会見したわけです。それを理解している日本人は「オバマ政権は対日関係を重視している」などとは決して思いません。しかし、このような見方があることを日本の大マスコミは絶対報道しません。そのような意味で日本のマスコミの報道は全く当てになりません。
麻生総理はきっとオバマ大統領に、日本がさらに米国債を買い増すことを約束してきたに違いありません。もし民主党が政権を取ったら、これまでのように米国債を米国の言うがままに購入することはありません。それで先を見越して小沢氏の失脚を謀ったのではないかと言われています。何と言っても小沢氏はロッキード事件で葬られた田中角栄氏の秘蔵っ子ですから。
また、今回の捜査に関して盛んに民主党サイドから「国策捜査だ、国策捜査だ」という発言がありますが、そもそも「国策捜査」とはフリー百科事典「ウィキペディア」によると「事案の原因と責任の所在を明らかにすることではなく、国民の前に「生け贄のヒツジ(スケープゴート)」を差し出して、失政に対する怒りや不満をそらすことである」とあります。すなわち「国益のための捜査」ではない、ということです。もし短期的な国益を考えたら、この時期に政治不信を煽り、徒に政治的混乱を招くような捜査は「国益に資する」とは言えないと思います。現に最近の円安は小沢代表に対する捜査もその一因と言われています。また、民主党にダメージを与えて自民党を利するためにこの捜査が行われたとしたら、捜査直後の世論調査で自民党や麻生総理の支持率が全く上昇しなかったことを受け止め「やはり民主党に対するちょっとやそっとのダメージでは麻生政権の支持率は全く上がらない、すなわち国策捜査は失敗だ」ということで、逮捕された秘書については不起訴あるいは起訴猶予ということで幕引きを図るのではないでしょうか?小沢代表の辞任を求める声が50%を超えている一方、望ましい首相としては麻生総理よりも小沢代表の方が支持率が高いのですから、麻生総理はどうにもなりません。「幾ら民主党がエラーを重ねても得点出来ない自民党」という感じです。また今回の事件は民主党にとっては、あの口下手な小沢さんを総理に担がないで済むのですから逆にウェルカムだと思います。あの小沢さんの「あーうー釈明会見」には本当にがっかりしました。小沢さんが総理になってあんな口調での答弁を毎日聞かされるのではやりきれません。それに比べて米国のガイトナー財務長官の格好良いこと。発音もしゃべり方もキレがよくてほれぼれします。
もし民主党が今回の捜査が民主党にダメージを与えるために行われたのだと考えているとすると、あまりに考えが浅いと言わざるを得ません。目先の攻撃に対する反発ではなく、これを政権奪取及び、より現実的な民主党政権の確立に向けての良い機会として考えるべきだと思います。しかしこんなことばかり起きていると、株式市場は政治と切り離されたところで動きそうです。これだけ自民党政権と民主党代表に対する評価が落ちまくればもう政治は株価下落の材料足り得ないと言えそうです。
いやあ、しかし裏読みしていくと世の中の出来事って面白いですね。

■妙な動きの日本の相場■
「どうも上がる理由も無いのに日本の株価が戻っているような気がします。与謝野さんが「何らかの株価対策が必要」と言った途端の戻りですから、政府筋から現在の「一大株買い支え力」である年金に対して買い指令が出たのかも知れません。まあそういう無理は長くは続けられず、逆に空売りの絶好のターゲットになりかねません。と言っていたら、NY市場が連日の暴落となり、我が国の株価も崩れて来ました。毎日のように新安値を更新していますが、先物相場を見ていると、どうも先安感が強くありません。日経平均は下げているのに、先行き更なる株安を予想するプットのオプション価格が本来ならば値上がりするはずなのに値下がりする日もあります。先物を売っていた人は確実に儲かっていますが、オプション価格は相場の動きに連動しない妙な動きとなっています。
また3月に入ってNY市場の株価は下げ続けるのに、東京市場の株価は下げ渋ると動きが続いていましたが、3月10日過ぎになってNY市場の株価が戻り始めたら、それに追随して日本の株価も戻り始めました。NYの下げには連動せず、上げには連動するという妙な相場展開になっています。やはり何らかの株価操作が行われている感じです。信託銀行を経由した年金買いが妙に相場を歪めているのではないでしょうか。きちんとした方針も無いまま、徒に3月末の株価下落を防止するために年金が買いに入っているとしたら、こんないい加減な買いはありません。私達の年金原資を株価操作に使っているようなものです。目先は典型的な「節分天井彼岸底」になるかと思っていましたが、恣意的な操作が行われているとしたら、逆に4月になって株価はさらに下がると思います。ただ株価については絶対的な指標が無いところが辛いところです。「株価はもっと下がるだろう」と言っても、「じゃあ、幾らまで下げるんだ?」と言われると誰も答えられません。「世界的な危機の割には下がり足りない」と感じる人は多くても、この水準から更に売り浴びせてよいものかどうか迷うところです。
そう考えると為替の方が相対的評価ですからわかりやすいです。今は一時的にドル高になっていますが、これだけドルがジャブジャブ乱発されていく中でドル高が続くはずがありません。いずれドルは安くなりますが、それは円に対してとは限りません。ドル売りを仕掛ける場合には通貨としてもっと信用出来る通貨に対してドルを売らなくてはなりません。その通貨が何かを判断するのは非常に難しいですが、ユーロではないでしょう。スイスフランかカナダドルか、以前からお話ししていた豪ドルあたりでしょうか。週刊エコノミストではこれを通貨の「不美人投票」と揶揄していますが、まさにその通りです。となると少しでもましな「不美人」(これはもうセクハラですねぇ)はどれか皆さん一生懸命探し回るということになります。やはり分かりやすいのは通貨ではなく金に代表される貴金属かも知れませんね。
でもアメリカ国民って凄いですね。このような状況になってもシティバンクに対する取り付け騒ぎは起きませんし、皆がジム・ロジャースのようにドル資産を総て売却することもありません。円、ドル、ユーロを比べた場合、私がその中ではドルが一番強いであろうと考える根拠は、国民の政府や自国の通貨に対する信頼が最も高いのが米国であると思うからです。我が国と違って自分の国の政治を信じられるアメリカ国民は幸せです。

■エンターテイメント■
「ベンジャミン・バトン」が好評ですが、私は全く感動しませんでした。作品のレベルとしては「チェンジリング」の方が遙かに上だと感じましたし、テレビ初放映の「ミッドナイトイーグル」の方がよっぽど感動的でした。また話題の「オーストラリア」ですが、極めてオーソドックスな映画でした。大体予想通りに筋書きが展開します。意外感の無い映画ですがそこそこに楽しめました。
一方、先週封切りの「ジェネラル・ルージュの凱旋」ですが、話としてはわかりやすく期待通りでした。まあ、そういった意味では「オーストラリア」と同じですが、多分制作費の違いぐらいスケール感が違います。「オーストラリア」の方が制作費が何十倍もかかっているのではないでしょうか?それで日本で同じぐらいの興行収入を狙うのは厚かましすぎると思います。まあ主演女優の差ぐらい二つの映画には差があると思って頂いたほうが良いと思います。でも竹内結子もニコール・キッドマンと比べてしまっては気の毒かも知れません。
それから話題のシルク・ド・ソレイユの「コルテオ」ですが、出演者の麻薬使用の方が先に話題になってしまいました。一生懸命持ち上げていた「特ダネ」の小倉さんが気の毒です。ただ、「コルテオ」は初めて観客が両側に配列された舞台を用いています。両側に均等に気を遣って芸をするせいかどちら側の観客もすこしずつ消化不良な感じです。芸をしている人の背中を見ているのも妙な気がします。但し、技はこれまでのシルク・ド・ソレイユの中で最も洗練されていて、単なるサーカスのレベルよりずいぶん上がって来たように感じます。
なお、ご覧になる方は中段ぐらいの席でどうぞ。通常でしたら前の方の席の方が良さそうに思えますが、今回の舞台は上空で演技が行われることが多いので、前列に座っていると全貌が見えず、また首も疲れてしまいます。
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